柳川の水路と田んぼの美しさに後ろ髪をひかれながら、散歩の4日目の次の目的地へと出発です。
いつか有明海北部の堀割の残る地域を歩き尽くしたいと、また壮大な宿題ができました。
鹿児島本線だと久留米駅から水巻駅まで1時間半ほどで行けるのですが、原田(はるだ)線と福北(ふくほく)ゆたか線を乗り継ぐと、距離は短いのに倍の時間がかかります。
2021年に山陽新幹線の車窓から遠賀(おんが)川とその両岸に広がる美しい水田地帯と、その川の歴史を知りました。
その直前に小倉駅のあたりで見えたそびえ立つような八幡製鉄所と、小学生の頃に習った「筑豊」がつながりました。
その翌年に熊本からの鹿児島本線の車窓から見えた洞海湾と、半世紀前には4大工業地帯と習った北九州工業地域、少しずつ頭の中でつながっていきました。
水田と川と工業地帯、どんな歴史があるのか歩いてみよう。
それが4日目の計画でした。
*JR原田線で分水嶺を越える*
西鉄とJRは並走して走っている区間も多いのに駅が離れているので、案外と乗り継ぐのは難しいものです。西鉄大牟田線とJR原田線も途中で交差しているというのに、乗り継ぐことができないというトラップです。
結局、西鉄久留米駅からJR久留米駅へバスで向かい、鹿児島本線に乗りました。
途中、筑後川を渡ると、前日の雨のために茶色の流れでした。鉄橋から東側に見えた河合に県境があり、一旦、佐賀県へと入りました。堤防の近くに何か石碑が見えました。行ってみたいですね、困りましたね。
しばらく走ると、また県境を超えて福岡県になり、原田駅に到着しました。
0番線から出るJR原田線に乗って桂川まで行きます。「けいせん」と読むようです。
ちょっとタバコくさい昔のどっしりした車両でした。
切り通しと竹藪の間を抜けると西鉄と交差し、筑後川支流の宝満川を越えて麦の植っている丘陵のそばを列車はゆっくりと上っていきます。筑前山家駅のかわいらしい駅舎を過ぎると、更に山あいに入り、山と瓦の美しい家の風景です。
トンネルを抜けると棚田と谷津が見えました。圏外にはならないのですが、途中、GPSは止まっていました。
と、長いトンネルになり、圏外になりました。
いよいよ筑後川水系から遠賀川水系へと、分水嶺を超えたようです。
トンネルを抜けると畑があり、田おこしが終わっている棚田と小さな川が見えました。山の斜面には竹の山腹工が施されています。
小さな川は穂波川で、南の夜須高原のあたりから流れてくるようです。
筑前内野駅の手前には、黒と赤の瓦屋根が混在した美しい集落です。
切り通しを通る線路ギリギリまで竹藪が迫っていくるので、手入れが大変そうですね。
急に開けて、立派な家々と田んぼと山の際に水路が通っているのが見えました。
西から山口川が合流し、上穂波駅を過ぎ、11時33分に桂川駅に到着しました。
ずっと初夏のような暑さだったのに、桂川駅で下車すると冷たい風が吹いていて少し寒く感じました。
*福北ゆたか線で、いよいよ遠賀川沿いへ*
桂川駅で福北ゆたか線に乗り換えです。また「国鉄」の趣のあるどっしりした車両だろうかと思ったら、ロングシートにも2人がけにもできるFライナーのような背もたれのある座席の新型車両でした。
残念ながら座っていると背もたれ部分が高過ぎて車窓の風景が見えません。直方(のおがた)駅まで30分ほどなので立って風景を見ることにしました。
遠賀川支流の穂波川にそってゆっくり列車は下って行きます。しだいに真っ黒な瓦屋根の多い飯塚駅周辺の風景になり、その先で穂波川は遠賀川本流と合流するようです。
地図ではいよいよあの美しい遠賀川沿いに列車が進みます。
この先の「鯰田(なまずだ)駅」では、遠賀川がぐんと近づくはずです。が、生垣で全く川もは見えず、ようやく遠賀川右岸から左岸へと渡る鉄橋から念願の中流域の流れを見ることができました。ゆったりと蛇行して、近くの山々と美しい風景です。
黒や灰色の瓦屋根の美しい家々が、堤防より低い場所に広がっていました。
地図ではずっと遠賀川のそばを線路が通っているのに、実際には堤防と道路からかなり下を列車が通っていたので、遠賀川の川面は全く見えなかったのでした。
12時20分に直方駅に到着し、ここで同じ福北ゆたか線の門司港行きに乗り換えです。
地図を見ると、直方駅からはJR福北ゆたか線と筑豊電気鉄道が遠賀川をはさむように通っている場所です。何度も眺めては、ここから河口まで両岸のどの辺りを歩こうと妄想の散歩をしていました。
ロングシート席でしたが、空いていました。新入(しんにゅう)駅のあたりからはまた真っ黒な瓦屋根が多くなり、初めて山陽新幹線の車窓から遠賀川を見た時に印象に残ったそのものの風景です。
美しい!
筑前植木駅の辺りは麦秋が美しく、その向こうに新幹線の高架橋が見えました。
高架橋の北側に出ると、広々とした水田地帯になり、鞍手駅のあたりでは田植えをしていました。
筑前垣生(ちくぜんはぶ)駅の先で遠賀川右岸へと再び渡り、今度は車窓の左手に水路や水田を眺め、12時48分に折尾駅に到着しました。
下流に行くにつれて、車窓からでも風が強くなっていくのが見えたのですが、ここからいよいよ遠賀川の河口近くを目指します。
無事に歩けるでしょうか。
*おまけ*
だいぶ九州北部の路線図も頭に入ったつもりでしたが、筑豊炭田といえば筑豊本線なのにそれはどこを通っているのだろうと、帰宅してからわからなくなりました。
Wikipediaの「筑豊本線」を読んで、なんとまさにその路線に乗っていたことに初めて気づきました。いやはや。
それにしても筑豊本線の駅名は難読が多いですね。
「散歩をする」まとめはこちら。
新幹線の車窓から見えた場所を歩いた記録はこちら。
工業地帯と田んぼの境界線を歩いた記録のまとめはこちら。
たばこについてのまとめはこちら。