小金がまわる 49 「時は金なり」の葛藤

交通費を節約するために一駅間を歩くようになったのですが、最近はさらに数キロの区間を歩くようになりました。

 

ここ半年ほど、年金を想定した収入になるよう段階的に仕事を減らしてみました。

今までの半分にも満たない収入だとどのレベルまで生活を切り詰める必要があるのか、本格的に年金が支給される前に試しています。

まずは食費や日用雑貨ですね。収入が減るのと反比例に自由な時間と生活にかける時間は増えますから、これは案外と切り詰めることができ、消費税も節約することができて一石二鳥ですね。

光熱費や通信費も試行錯誤しています。

 

まだまだ見直して節約できるところはありそうですが、あまり自分を追い詰めても辛いですからね。

 

 

*交通費の大きさにびびる*

 

生活の中でけっこうな割合を占めていたのが交通費だったと、最近実感しています。

夜勤がある仕事だと出勤が2日にまたがるので定期券にはなじまず、勤務先からは実費分で支給されていました。

オートチャージではないふつうのPASMOで通勤も私用の運賃も支払い、時々チャージするという方法ですが、紙幣を挿入するときに今までにはない高額感を感じるようになりました。

 

今までは思い立ったらふらりと日帰りの散歩や買い物に出かけ、車窓の風景を眺めるために座席指定のないグリーン車にも乗り、気軽に「ピッ」と改札を通過していました。

グリーン券なんて1000円ぐらいかかることが、今になって「なんと贅沢をしていたのか」とびびっています。

それでも全国各地の交通費の地域差を考えると、交通網も網羅されているし交通費はまだマシな方でしょうか。

 

 

*「時は金なり」か、それとも「節約の方が金なり」か*

 

 

さらに、気軽に電車に乗って新宿とか吉祥寺とか買い物に行っていたのですが、往復すると数百円かかります。

ほんのちょっと前は、まるで打ち出の小槌のPASMOが支払ってくれるかのように、何も気にしていない額でした。

 

食費や日用品や光熱・通信費を削るだけ削って、残るはこの交通費です。

 

近所の商店街も文具店や服屋さんがなくなり、少し大きな駅へと行かないと買えないものも増えました。

今までは列車の時刻や「最も早く目的地に到着する方法」の検索のために使っていた「乗換案内」でしたが、最近はまず「最も安い料金」を見ています。

 

往復は無理だけど片道数キロぐらいなら歩いて行こう、そうすれば200円くらい節約になる。

物ひとつ買うにもそういうことが増えました。

 

今まで電車だと15分ほどでしたが、1時間半くらいかけて歩きます。

「う〜ん。これは時間の無駄遣いだろうか。いやいや途中の街の風景を定点観測できるし、歩くのは健康にもいいし」という葛藤の中、200円ほどを節約できた達成感は大きくなってきました。

まあ、食料品の買い物一回ですっ飛ぶ消費税分ですけれどね。日用品の消費税も節約するならやはり1往復以上歩くことが必要ですね。

 

 

*「いつか行く道」*

 

こうして年金生活をイメージして生活してみると、半年ほど前には思ってもいなかった気持ちの変化が出てきました。

「65歳からの減額」にはどんなものがあるだろうと、それが楽しみになってきました。

少し前なら、自分はまだまだ若いと思っているし、給与生活だと実感がないので私には必要ないと思っていたのですけれどね。

 

ショックだったのは、東京都のシルバーパスがいつの間にか70歳からになっていたことでした。

最初は無料だったのですね。1973年だと老人というのは60歳以上でしょうか。

高齢者は社会のお荷物かのような社会の雰囲気にさせる政治で、また老人と認められるのが先延ばしになりました。

そして70代以降、そのシルバーパスが使える最寄のバス停まで歩いていけるでしょうか。

ちょっと不安になってきました。

 

母が70代半ばで体調を壊した時に「タクシー代は気にしなくていいから運転はやめて」「貯金は私たちに残そうと思わなくていいから自分のために使って」とお願いした時に、「収入がなくなることの大変さをわかっていない」と言われたことを実感するようになりました。

 

あの時には「(年金があるじゃない)」と思っていたのですが、いやあ、やはり心細いものですね。

何より、自分が何歳までどんな感じで生きるのかがわからないので、多少の貯金なんて吹っ飛びそうですからね。

 

歩けるうちは歩いて、100円でも200円でも節約しよう。

やはりアリの生活は、「節約は金なり」ということになりそうです。

 

でもあまり節約すると、それはそれで社会が回らなくなるのではという葛藤もありますね。

 

 

 

 

 

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