今日のタイトルは「シュールな光景」にしようかと思うほど、虚をつかれるようなアメリカのニュースでした。
「新生児に15万円の口座」を政府が作ること自体、「自由経済」のアメリカにしては「社会主義」とか「共産主義」と嫌がられそうなことなのに、それが「投資口座」ということにやはり成金同士の融通が現代の「政治・経済」なのだと突きつけられた感じ。
イデオロギーなんてそんなもんですね。
翌日にはさらに驚く見出しのニュースがありました。
「トランプ口座」は株主経済の始まり、民間拠出拡大に期待=財務長官
(2025年12月4日、ロイター編集)
べセント米財務長官は3日、大型減税・歳出法に基づき創設させれた新生児向け投資口座制度「トランプ口座」について、今後多くの富豪や財団、企業による資金拠出を期待すると述べた。
べセント長官は米紙ニューヨーク・タイムズ主催のディールブック・サミットで「株主経済の始まりだと思う」と語った。(以下、略)
ここ30年ほどの社会問題の解決方法と政治・経済の方向がなんか噛み合っていないと思ったのが、腑に落ちました。「株主経済」というのですね。
*生まれた直後から投資のリスクのある人生*
アメリカはほんと何でもありの国だなあ、日本のような学資保険とかないのかなと思いながら「新生児、投資」で検索したら、なんとわが国にも2021年ごろに「0歳から始める子どものための資産形成」なんて記事がありました。
約35万円の積み立てを18年間も続けるのはかなり大変なことだと思います。もっと負担を軽くする方法はないでしょうか。
「約35万円の積み立て」とは、あくまで全く運用を行わない預金ベースのお話です。つまり過去記事で紹介したような投資商品を吟味・検討することで、より効率的に運用できる可能性はあるということです。
例えば、もし投資信託・不動産・個別株などの組み合わせで3%の利回り(複利)で運用できた場合は、以下の通り積み立て額は約22万円/年でOKという結果になります。
(「RENOSY マガジン」より抜粋)(強調は引用者による)
そんな上手い話なら年金だってその手がありそうですが、表の最後にこう書かれています。
もちろん投資にはリスクがつきものなので、実際の運用の際には例えば半分を預金、半分を投資商品に振り分けるといったルールを定め、最適な運用方法をご自身で考えてみることが必要です。
「ご自身」といっても新生児ではないですけれどね。
いやはや、新生児まで株主にしてしまうという発想、すごいですね。
これが新しい資本主義とやらの「金融リテラシー」ですかね。
新生児は「成金の失敗」も知る由もなく、「そんなリスクは負いたくない」とか「親の資産を当てにしない人生を送りたい」「自分の人生は自分で決めたい」とか言えないですからね。
*「帝王切開の3割負担はそのまま」の意味が読めてきた*
ちょうどなぜ分娩が保険適用で無償になるのに「帝王切開の3割負担はそのまま」なのだろうと考えていた時に、この「新生児の投資口座」のニュースがあって、アリの妄想は広がりました。
2000年代ごろからでしょうか、それまでは民間の医療保険ではあまり妊娠・出産がカバーされなかったものが、さまざまな「保険商品」が出されるようになりました。
最近は「まさか自分が帝王切開になるとは思わなかった。医療保険に入っておけばよかった」という声が少なくなった印象です。
この帝王切開の健康保険分を国が「無償」にしてしまうと、民間の医療保険との兼ね合いみたいなものがあるのでしょうか。
ここ最近、「胎児もカバーされる」とか「生まれたその日からの新生児にも対応する」といった民間保険を見かけるようになりました。
月額1000円程度の共済保険的なものなら助かりますね。病気になるというのは何かとお金がかかりますから、掛け捨てでも助かりますね。小金が社会を支えるのが保険ですからね。
ただ、この民間の医療保険の行末が気になります。
よく読むと、妊娠中の不調での通院や自宅安静もカバーすればそれなりの額の掛け金なので、しだいに公的な医療保険の割合を減らして民間の医療保険が国の医療費を担うアメリカ型の医療に向いていくのではないか、と。
やはり日本の国民皆保険をぶっ壊したいと虎視眈々と狙っている人たちがいるのだろうな。
さらに学資保険という預金ではなく、新生児投資口座(あるいは日本のNISAの年齢制限を下げるとか)に向かせることがこの医療保険でも起こるとなると・・・。
「株主経済の医療」とはどんな世界なのだろう。
*医療が「稼ごう、儲けよう」とすれば・・・*
やはり働き者のアリを奴隷のままにして、お互いに助け合ってみんなが豊かにではなく一部に富が集中する社会になってしまうのではないか。
「持つものは最高の医療を受けられ、持たないものはそれなりに」でしょうか。
1世紀ぐらい前に逆戻りですね。
2013年に引用した「医療を受けるということは借金を抱える時代だった」あの頃へ。
当時は保険もくそもおまへん。薬やら注射やらものすごいお金がいったらしいて、田地田畑を売ったり、親戚や銀行から借金をしたりしたらしいんです。「田んぼ売って注射○本」「〇〇から借金して薬1週間分とか」、父親やら兄やらがよう言うてた。
そして当時の産婆にとってお産は「営業」であり、「稼いで稼いで稼ぎまくろう」と言う時代。
国民皆保険がぶっ壊されたら、助産師になるというのはまた稼ぐことが目的の時代へ逆戻りし、代替療法やら「胎児にこの民間保険を」「新生児に投資を」と営業しなければならなくなるのかな。
「株主経済」からそんな嫌な妄想をしてしまいました。
妄想のようでも、実際に2000年代に「産科医が足りないなら助産師に緊急時の処置をさせればいいじゃない」と経済財政諮問会議なるところで話し合われていたのですからね。
あれも「株主経済の医療」へとつながっていたのだと納得しました。
*おまけ*
そういえば10年ほど前に国民皆保険全廃・病院の株式化、儲ける医療の番組を記録していました。
記録は大事ですね。
「小金がまわる」まとめはこちら。
骨太のまとめはこちら。
失敗とリスクのまとめはこちら。