地図の溜池や史跡をつないで何となく歩いてみただけで、古代の巨大な人工池に出会うのが奈良ですね。
案内板がなければただの窪地の草むらにしか見えない場所に、また再び奈良を訪ねて本当によかったと満足しました。
ここからは御厨子(みずし)神社の竹藪を抜けて、香具山と畝傍山と耳成山を眺めながら、途中、香久山小学校のそばを通りました。大和三山の名前がついた小学校に通うのは、どんな気持ちだろうとちょっとうらやましく感じる風景です。
大和三山はだいぶ見慣れたのでどれがどの山かわかると自負していたのですが、このあたりで眺めると少し山の形が変わるのか、一瞬、方向感覚を失いました。
しばらく田んぼの中のまっすぐな道を歩き、水路に沿って北へと曲がり、またまっすぐ近鉄耳成駅へ向いました。
水路には轟々と水が流れています。一部、コンクリートの壁にピンク色の塊が見えました。水量の割に周囲の田んぼにはあまり水が入っていなかったのは、水深を低くするためだったのでしょうか。
水路はJR万葉まほろば線の踏切から、ぐいと西へ向きを変えて流れていきました。
あと600mほど北へ歩くと、近鉄耳成駅です。昨年4月に訪ねたときの駅改修工事が終わっていました。
ここから近鉄線八木駅で乗り換え、石見(いわみ)駅のそばにある新池の東屋で休憩したことを懐かしく思い出しながら車窓に集中していると、その先にまた美しい風景が現れました。三河池のあたりのようです。
ああ、また歩きたい宿題が溜まっていきますね。奈良ですからね。
*筒井城址へ*
寺川、大和川そして佐保川を越えて、12時37分近鉄橿原線筒井駅に到着しました。
先ほど超えた佐保川がこの辺りから近くをまっすぐ南北に流れます。そして目指す次の環濠集落の近くでは、複雑に何本かの水路が合流する場所があります。
そこまで歩くのにこの筒井駅を選んでみました。
駅から北東200mほどのところに筒井城跡があり、水色の小さな堀が地図にあります。せっかくなので立ち寄ってみることにしましょう。
駅前に「つついてくてくまっぷ」がありました。
かつての筒井城の外堀と内堀が黄色い線で描かれ、現在もある寺社がそれにそって配置されていたことが一目でわかる地図でした。
「筒井順慶 顕彰会」の方々が作成されたもので、「誰もが愛する町づくりを念頭に、その偉業を讃え、語り後世に伝承しつつ筒井地区を発展させたいと発足しました。(平成11年11月8日発会)」とあり、地図の下に「筒井順慶公エピソード 『元の木阿弥』『洞ゲ峠』『筒井筒』」と書かれていました。
筒井順慶、どんな人だったのだろうとWikipediaの説明を読みましたが、戦国時代の歴史は目が滑ってしまいます。
唯一、「天正8(1580)年、居城を筒井城から郡山城へ移した」「筒井城が低湿地の戦国城で守りに向くが、水害の影響を被りやすく平時の拠点には不都合だった」が頭に入りました。
まさに大和川の河合に向けて、何本の川が集まる低湿地ですね。
地図では、駅前の南北に通る道が吉野街道でかつては北市場と南市場があったようで、そこが駅前商店街になったのでしょうか。
そこから東へ曲がると、静かで奈良らしい家々が続き、畑がぽつりぽつりとありました。真正面に奈良盆地を囲む東側の山々がすぐ近くにあるかのように見えます。
筒井土地改良区の倉庫のそばに、蓮の葉が青々とした小さな池がありました。
美しい路地です。平城宮跡での催しが掲示板に貼られていました。奈良ですねえ。
大きな鎮守の森が見えてきました。鬱蒼とした中に八幡様が鎮座されています。赤い鳥居が美しい古い神社で、境内はきれいに掃き清められています。
そこから少し北へは専念寺とその周辺の住宅が、美しい家並みとして続き、西へ曲がると私のマップにはなかった菅田比売神社(すがたひめじんじゃ)が、また鬱蒼とした鎮守の森の中にありました。
この辺りが筒井城址のようです。
地図にあった堀はよくわからなかったのですが、住宅の間に水路がありました。
駅前の「つついてくてくマップ」に描かれた外堀のうち側は、現在も静かな城下町のような風情の場所でした。
100mほど東を南北に通る県道108号線に出ました。
西側を走る近鉄線の線路から緩やかに段々になって田んぼがあり、県道から東は平面で田んぼが佐保川の方へと続いています。
筒井城があった場所は微高地でしょうか。
*積乱雲に急かされながら歩く*
南の方からまた黒い雲が近づいてきました。
一昨日と昨日は雨柱に避けてもらえたけれど、今日はどうなるでしょう。
お腹が空いたので、近くのカフェに入りました。
これまでの失敗から入るのをためらうと夕方まで食事にありつけないですからね。
美味しいパスタとコーヒーで元気になりました。
田んぼの広がる場所にポツンと意外な美味しいお店があるのが奈良盆地です。
さあ、もうひと頑張り歩きましょうと空を見ると、真っ黒だった雲が近づいて灰色の雨柱に変わっています。
あと1時間後ぐらいにはあの雨の中だろうか、それともそれてくれるだろうか。
急がなければと焦ったら、もう一箇所訪ねたかったところに行くのをすっかり忘れてしまいました。
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