水のあれこれ 441 垂仁天皇陵から安康天皇陵までの周濠とため池

いやあ、それにしても暑い奈良です。

散歩の4日目は期せずして御所(ごせ)の環濠も見ることができたし、早々に散歩をやめようかと思いました。当日の気温を記録し忘れていたので検索してみると、どうやら32度近くあったようです。

「一般的に、6月の奈良は梅雨の時期で湿度が高く、平均気温は22℃、最高気温は26℃程度。年によっては30℃を超える真夏日のこともある」とAIが教えてくれました。

そりゃあ暑いわけです。

 

とりあえず橿原神宮前駅まで戻って、お茶でも飲んで考えることにしましょう。

近鉄御所駅から近鉄南大阪線尺土駅まで、3駅だけの短い御所線があります。数キロくらいなので、暑くなければ歩いてみたかったのですが、短い路線に乗るのもまた醍醐味ですね。

御所駅の周辺は静かだったのに、結構な乗客で出発しました。

Wikipediaの説明を読むと、ラッシュ時には4-5往復あるようです。

今度は、この葛城山から金剛山の山裾に広がる地域の溜池と水路をぜひ歩いてみたいものです。

 

尺土駅で乗り換え、11時50分に橿原神宮前駅に戻ってきました。お腹もすきました。熱中症予防のためにも何かを食べましょう。以前から、食べてみたいなと思っていた駅構内にあるうどん屋さんへ。迷わずに親子丼とうどんのセットにしました。

駅構内なので全てセルフサービスかと思ったら、会計までスタッフが対応してくれています。ちょっとほっとしたのでした。各地から来るさまざまな年代の参拝客のためでしょうか。

関西風の出汁がとてもおいしく、食べたら元気になり、もう一ヶ所歩けるような気がしてきました。

 

ならば、あの場所へ行こう。

12時42分発の大和西大寺行きに取りました。近鉄線は乗車数の割に本数が多いので、ほんとすごいですね。JRの大和路線まほろば線も好きですが、奈良に行くたびに近鉄線のファンになります。

 

畝傍御陵前駅田原本町駅石見駅筒井駅そして大和郡山駅と、この沿線もだいぶ歩きました。

どの駅で下車しても、古代から現代への水の歴史に出会うのが奈良ですね。

 

突然、列車が竹林と林の中に入るとそこは薬師寺から唐招提寺の裏手というのも奈良ですね。

ここを過ぎると、大きな周濠と田んぼが見えて尼ヶ辻駅に到着です。

涼しかった車内から外に出ると、日傘を差してもクラリとしそうな暑さです。ここから近鉄奈良線菖蒲(あやめ)池駅まで、周濠と溜池をたどって歩く予定です。4kmほどなのですが、上り道の上にこの暑さ、どこまで行けるでしょうか。

 

 

*垂仁天領陵の周濠と田んぼ、そして・・・*

 

尼ヶ辻駅から住宅地の細い路地を抜けると、目の前に垂仁(すいにん)天皇陵と周濠とその周囲の田んぼが広がる風景です。

今回は、周濠の南側から宝来地区へ歩いてみましょう。

 

東側には東大寺のある山並みが見え、駅よりも低い場所の盆地へと田んぼが少しずつ段々になっている風景です。田植えが終わってどれくらいでしょうか、10センチほど伸びて株が増えた稲の間の水面に、真っ青な夏空が映っています。

 

せっかくですから、垂仁天皇陵へ参拝してみましょう。周濠と南側の中谷池の間の参道へ入ると、なんとネジバナの群生です。

ここまでの畦道には一本も見かけなかったのに、不思議な花の広がり方です。

暑さでくじけそうになっていたのが、どこまで広がっているのだろうと歩いてみたくなりました。

そして野に咲くアザミも、また薄紫色が美しいものですね。

 

ふと顔を上げると、田んぼの向こうを近鉄線の特急が走り、線路の南側の林に五重塔が見えました。

振り返ると、美しい周濠の水面。いったい今はいつの時代だろうと混乱していると、たぬきが道路を横切っていきました。

 

水路に沿って歩くと、90年代とか2000年代頃の住宅地でしょうか、住宅の間に垂仁天皇陵の古墳の森が見えました。ほんの少し前の時代は、この辺りも田んぼだったのでしょう。

古墳や周濠とともに生活する、うらやましい限りです。

 

 

安康天皇陵へ*

 

水路には水が勢いよく流れています。ところどころにある小さな水門も現役のようです。

しだいに勾配がきつくなってきます。水路に沿って曲がりながら上っていくと空き地にまたネジバナが咲いていて元気が出ました。

 

広大な空き地があり、県立病院跡地だそうです。振り向くと、垂仁天皇陵が下の方に見えました。

病室からもあの美しい周濠が眺められていたのかもしれませんね。

 

さらに坂道を上ると、宝来地区に出ました。地図では海老尾池、瓢箪池、六条池、八王子池などたくさんの溜池がある地域です。すべてを見てみたかったのですが、体力が持ちそうにないので新池の横をまっすぐに歩くと、国道308号線のジャンクションの手前に安康天皇陵がありました。

宮内庁の小さな表示がなければ、庭か公園かと思ってしまいそうですが、周濠に囲まれた森がありました。

そしてここにもネジバナが、ぽつりぽつりと咲いていました。

 

周囲は住宅とところどころ畑がありますが、いつ頃からこのあたりに溜池と水路が造られて、どのように管理していたのでしょう。

そして安康天皇陵の周濠の水はどこから来ているのでしょう。

 

4日目は、宣化天皇陵の周濠と鳥屋池から御所の街を歩いてまだ12000歩ほどですが、暑さのために限界がきそうです。

さらに高いところの溜池からの水路らしい太池川まで来ましたが、しだいに勾配がきつくなってきたのでここで挫折しました。

 

安康天皇陵から北東に250mほどのところにあった今池のそばから、大和西大寺駅行きのバスがあるようですから戻ることにしましょう。

そのわずか数百メートルほども足が疲れてゆっくりになりましたが、途中、東の方に東大寺の屋根と山が見えました。

これが奈良ですね。

 

大和西大寺駅から再び近鉄線に乗って、ホテルへ戻ることにしましょう。

今日は、奈良盆地の東側から南へと積乱雲が発達しているようで、天理市の山側に雨雲がかかっているのが見えました。

ダイナミックな奈良盆地の空です。

ひとたび大雨が降れば、その水が全て大和川水系で盆地の底に集まり、日照りが続けば一気に水が乏しくなってしまう奈良。

そこにたくさんの溜池を作り、水路で繋ぎ、そして吉野川からも導水路で水を得るようになった。

すごい水の管理にただただ畏敬の念が湧き上がりながら、車窓の田んぼを眺めました。

 

散歩の4日目も計画をだいぶ断念しましたが、また訪ねる口実になりますからね。

さて、最終日の午前中のお天気はどうなるでしょう。残された4時間ほど、どこを歩きましょうか。

 

 

「水のあれこれ」まとめはこちら

周濠のまとめはこちら

ネジバナのまとめはこちら