年金生活になる前に急激なインフレ時代への突入になりそうなので、緊縮財政の生活です。タイミングの悪い人生ですね。
でも何でも「安ければいい」「得した、損した」という雰囲気にさせる時代は好きじゃないので、反動は仕方がないですね。
そして、ちょうど嗜好も子どもの頃の食べ物に戻っているのか、1960年代ごろの栄養はなんとか取れるようになったけれどまだまだ質素だった食事でも大丈夫です。
ただ、あの頃と違うのは、お米や海苔など日本の食卓に普通にあった国産の食品が買えなくなったことです。
アジやイワシや鯖でさえ買うのを躊躇う値段になりました。ああ、そういえば4年前の遠出では「疲れて豪華な食事はいらなくなり、おにぎりになってしまう」と書いたのですが、そのおにぎりがまさかの贅沢品になってしまいました。
ここ数年、缶詰やチルドの魚の出番が増え、1980年代から90年代に行き来していた東南アジアで、漁師の家なのに魚を食べることができずに缶詰の魚を水と塩でかさ増ししたものがご馳走だったことを思い出しながら食べていました。「一網打尽でとった魚の高級なものは日本へ、それ以外は捨てられていた」地域でした。
そして昨年あたりから、そのイワシやサバといった魚の缶詰がどんどん高くなって買わなくなりました。
幸いなことに、子どもの頃に贅沢だった豚肉と鶏肉はなんとか買える価格で助かっています。
でもそれは、売り場の半分以上を占める輸入の肉類が安いので、国産の肉が値上げできないのだろうと心を痛めながら国産のものを購入しています。
何かの歯車がくるったら、もう肉も買えなくなりそうな不安定な流通に感じながら。
だって、はるばる遠い国から輸送費をかけて運ばれてくる食品の方が安いというのは、どう考えてもおかしいわけで、どこかで誰かがその犠牲になっているのだろうと思いますからね。
そして輸入されるエビや貝が国産の魚に比べて安くなり、人間が食べる缶詰よりも犬猫様用の高級な缶詰が並ぶというシュールな世界になりました。
*「強い競争力」という幻想の成れの果て*
1960年代、私が子どもの頃からちょうどそれまで贅沢品だったコーヒーやチョコレートそしてバナナなどが身近な食べ物になり、豊かな生活になったと「農産物の貿易の自由化」を肯定的に受け止めていました。
そのうちに、「日本の農畜産物も競争力をつける必要がある」と、みかんやりんごなどが輸出され始めました。日本の食べ物が世界に認められるとなんだか明るい話題でしたね。
ところが、みかんはグレープフルーツやオレンジに、りんごはニュージーランド産に売り場がせばめられて国産品は高級な果物になってしまいました。
以前は毎日のように食べていた国産のりんごでしたが、ここ数年は1年に1~2回食べるかどうかです。
「競争力をつけた食品」は軒並み、食卓から遠ざかりました。
それを「自由に選べる」「輸入品で十分」と思う人が出てきたことも、10年ひとむかしですね。
そして最近は抹茶ですか。
「日本の抹茶が好き」という外国の方が少し増えるだけで、需要と供給はこんなにもバランスを崩してしまうのですね。
大好きなコーヒーが値上がりしたし、やはり日本のお茶もいいかもと思い直した時には日本人には手がでないものになりそうです。
当たり前のようにお茶を飲んでいた半世紀前には考えられないことですね。
かくいう私も80年代に食べたベトナム料理への郷愁があってフォーやライスペーパーを購入していたけど、その私のエスニック料理への貪欲さは生産国の需給にどのような影響を与えたでしょうか。
*「農産物の自由化」への反動の時代へ*
さて、先日、「ああ、どの国も自由貿易が吹き荒れた半世紀に苦しんでいるんだな」と思うニュースがあったので記録しておきましょう。
じゃがいも投げつける農家に警察が催涙ガスや放水で応戦 EU首脳会議会場近くに1万人以上 南米との自由貿易協定に抗議 ベルギー
(2025年12月19日、FNNプライムライン)
ベルギーで行われたEU(ヨーロッパ連合)の首脳会議の会場近くに農業に携わる1万人以上が集まり、EUが署名を目指す南米との自由貿易協定に対して抗議の声を上ました。
ベルギーの首都ブリュッセルで行われているEU首脳会議では、ブラジルやアルゼンチンなどで作る南米の関税同盟メルコスールとEUの自由貿易協定(FTA)の発効に向けた承認手続きが進められています。
これに反発してブリュッセルのEU議会議事堂近くに18日、ベルギーやフランスなど27ヶ国から1万人以上の農家が集まりました。
地元メディアによりますと、農家の人たちがジャガイモを投げつけるなどの行動に出たほか、警察側が催涙ガスや放水で応戦するなど衝突に発展したということです。
農家側は、南米諸国と自由貿易協定を締結することで、十分に規制を守っておらず安価な南米産の肉や野菜がヨーロッパに流入するとして強く反発していて、農業国であるフランスも反対の姿勢を鮮明にしています。
EUのフォンデアライエン委員長は、18日に農業団体と面会し、EUの予算において農家に対し強力で継続的な支援を行うと説明して理解を求めましたが、一部メディアによりますとその後、現地時間の18日夜になって一転、署名を来月に延期するとEU加盟国に伝えたということです。
現代の「政治・経済」の中で使われる「自由」というのは普通に考える自由とは違うことに、社会が気づくのが遅れた半世紀でした。
そして生活に必要な食品や日用品に、「競争」というのはそぐわないのではないか。
そんなことを思うことが増えました。
人を平気で「労働市場の資源」と思うような経済学者や政治家や資本家がいつの世の中にも出現するわけで、言葉を変えても「人間の基本形」はあまり変わらなさそうですね。
今年はどんな年になるでしょうか。
虚業の世界に牛耳られることが少しでも減りますように。
「10年ひとむかし」まとめはこちら。
骨太のまとめはこちら。
魚や漁師や漁港のまとめはこちら。