田んぼの中の古墳をぐるりと回って巻向(まきむく)駅に到着した時には、2~3km南側の桜井市は日が照っているのに西側からの真っ黒な雷雲がこちらに向かってきていて、そして北の奈良市の方向は灰色の雲で大雨が降っているという空模様でした。しだいに駅のホームも暗くなり、間一髪で土砂降りになる前に列車に乗ることができました。
先ほどまでの空の明るさが嘘のように、まほろば線沿線では雨に煙って風景があまり見えない灰色の土砂降りの世界でした。
まだ10時台ですが、今回の散歩は終了になりそうです。奈良駅に着いたら早めのお昼ご飯を食べて京都へ向かうことにしましょうか。
ところがわずか20分ほど列車に乗っている間に、またしだいに空が明るくなっていて、一つ手前の京終(きょうばて)駅近くではまだ雨で川も茶色の濁流になっていたのに、奈良駅に到着した頃にはポツポツぐらいに上がっていました。奈良盆地の天気、ダイナミックですね。
これなら、あの場所に向かおうとバスに乗りました。
*最後の最後まで周濠とため池を歩く*
なんといっても今回の目的はただひたすら周濠と古墳とため池を歩くですから、その原点ともいえるあの場所です。
航空自衛隊前バス停で下車し、周濠にはさまれた奈良基地正門前から水上(みずかみ)池、そして佐紀東町へと向いました。
最初に訪ねたのが2022年晩秋で、その後2023年には3月に3つの古墳と周濠が集まった場所、9月には佐紀神社の北側の周濠をぐるりと周りました。
住宅地を抜けると平城宮に復元された第一次大極殿院が広大な敷地に立っている、あの時を超えていくような感覚がなんともいいですね。
2年ぶりにまた周濠とため池のそばを歩いてみました。
静かな静かな場所です。
平城宮跡の北側に出ると、なんと一面にネジバナが群生していました。色や茎の太さや背丈など様々です。ほんと、不思議な花ですね。
そしてあれだけ目を凝らしても平城宮跡のツルボは幻のままなのに、ネジバナに出会えるとは。
奈良ですねぇ。
*二条町へ*
佐紀神社のため池の間の道を抜けて、今まで歩いたことのなかった西側の街へ入ってみました。
細い路地に、古い民家がよく手入れされながら残っています。
途中でぐいぐいっと曲がる場所があり、お煎餅屋さんがありました。きっとお土産屋さんで見にしているものですね。
そこから先もまっすぐではない細い路地ぞいに焼き板と白壁の家が続きます。
古墳と周濠とともに、そして平城宮跡とともに、静かに静かに生活をしている所でした。
南へと歩くと県道104号線に出て、交差点の真ん中に地蔵堂のような古い小さな建物がある場所に出ました。「二条町」と表示がありました。
二条町を検索していたら「奈良県の道標集め」という先人の記録があり、「歓喜寺地蔵尊」でそのそばにもう一つ小さな建物があり「弘法井戸館」だとわかりました。
いやはや、本当に正確に地道に記録をつける人で成り立つ国ですね。
バス停にはこれもまた屋根付きの場所があり、中には小さな座布団も備えられきれいに掃き掃除もされていました。
ありがたく座らせていただき、今回も充実した遠出だったことにしみじみと感謝の気持ちが湧いてきました。
鹿の絵が愛らしい奈良交通のバスが来ました。
奈良駅に戻り、2日目に目の前で「ランチ終了」の札がかかったお店にリベンジです。
奈良県産の野菜をたくさん使ったランチに満足し、充実の5日間の日程が終わりました。
*おまけ*
改札に入ると、万葉まほろば線が沿線の大雨で遅延しているという情報がありました。
どうやらあのあと、桜井市は線状降水帯が発生し大雨だったようです。歩いた場所の皆さんは大丈夫だったでしょうか。
ずっと雨雲から逸れたのは、勝手神社をはじめとする水の神様のおかげと思いたくなる不思議な5日間でしたが、自分が守られても他の地域に被害が出るのは辛いですからね。
散歩で立ち寄らせてもらう水の神様や地域の氏神様には、どうぞこの地域の生活が守られますようにとお願いするようになりました。
「落ち着いた街」まとめはこちら。
周濠のまとめはこちら。