散歩の3日目に魚津の街をぐるりと回ってホテルに戻ったら、ローカルテレビでちょうど前日歩いた生地(いくじ)のレポートを放送していました。
人通りはあるけれど閉店しているお店が多いのかなという印象だった商店街でしたが、お惣菜やお弁当を扱う仕出し屋さんや街の人たちの生活の活気を垣間見る番組でした。ちょっと歩いただけではわからないですね。
さて、散歩の4日目は雨のために入れ替えた立山カルデラ砂防博物館と常願寺川へ向かいます。
今回の計画は、当初4月初旬に予定していました。ところが「乗換案内」で検索すると富山地鉄立山駅への便数が少なくて、立山カルデラ砂防博物館をあきらめるか、それとも岩峅寺(いわくらじ)駅から歩くという無謀な方法しかなさそうです。
富山地鉄のサイトを見たら4月15日から11月30日まではほぼ1時間おきに列車があることがわかり、日程を中旬にずらしたのでした。
観光シーズンの始まりにあたるので混雑が心配でしたが、念願の立山カルデラ砂防博物館と、念願の常願寺川沿いを歩き、念願の富山地鉄に乗る計画です。
新魚津駅から乗車し、寺田駅で立山線に乗り換えて立山駅へ。
博物館を見学したら立山駅から岩峅寺駅で下車して常願寺川の両岸分水工や水神社を訪ね、そして常願寺川左岸の用水路沿いに歩き、途中の駅から富山地鉄不二越・上滝線で富山へ行き、電鉄本線で魚津に戻るという地鉄三昧、常願寺川三昧の一日です。
*電鉄魚津駅から寺田駅へ*
前日までくっきり見えていた立山連峰が雲の中です。今日は晴れの予報ですが、まだ山の方はお天気が悪いのでしょうか。
7時55発の富山地方鉄道本線電鉄富山行きに乗る予定ですが、初めてなので20分前には駅に着くようにホテルを出発しました。
通勤通学時間帯で生活の邪魔をしてはいけないですし、乗車券を購入するのに手間取ってもいけないですからね。
地下道を通って見上げるような階段で地鉄の改札口へ行くと、自動発券機ですんなりと購入できました。
立山駅まであらかじめ検索した料金は1640円でしたが、1820円だったのは値上げでしょうか。井原線の30数キロで1120円に比べてこちらは44キロで1820円ですから割高ですが、山岳地帯を通るからでしょうか。
運賃180円の倹約のために数キロを歩いている生活からすると高額ですが、富山地鉄に「乗って応援」ですからね。
2日目に電鉄石田駅から乗った時にはなんと乗客2人で、すれ違う特急もガラガラでした。
ところがこの時間帯は、並列して走るあいの風とやま鉄道の向かいのホームと同じぐらい通勤通学の人でいっぱいでした。
たくさんの乗客を乗せて出発。この時間帯はしゃべる人もいないので静かな車内で車窓の風景に集中できます。
前日に歩いた魚津城のあたりは瓦屋根も美しく、川や田んぼそして神社が見えました。
ところどころ麦が育つ水田地帯を、あいの風とやま鉄道の線路を挟んで列車が走ります。この二つの鉄道を持つ街の歴史はどんな感じだったのでしょう。
途中であいの風とやま鉄道と交差して、地鉄が内陸寄りになり、早月川を渡りました。
三色のチューリップが一面に植っている場所と、水路には豊かな水が流れゆるやかな段差で水鏡の田んぼが広がっている風景は散居村の雰囲気があります。
それぞれの駅舎は小さいのですが木造で、古い美しさがあります。なくならないでほしいと思うのは、「旅人の勝手な思い」でしょうか。
女子高生がたくさん乗ってきて静寂が破られました。また車窓に集中です。
列車は西滑川の手前から南へと向きを変え、上市川右岸の田園地帯を上っていきます。沿線に医薬品の工場があるのが富山ですね。
立山連峰の頂上が少しだけ雲の合間に見えるのですが、また雲に覆われてしまいます。
北陸新幹線の高架橋を超え、上市川を越えたあたりで田んぼに鮮やかな鳥が見えました。キジでしょうか。麦畑と製薬会社の工場が見え、住宅地になり上市駅に到着。
ここから列車は後ろ向きになって走り、8時38分に寺田駅に到着しました。
*立山線に乗り換え、常願寺川沿いを走る*
8時41分の立山行きは、特急のようなデラックスな車体です。検索した時には普通料金だったけれど大丈夫かなとビビったのですが、どうやら自由席のようです。
車内に入ると、あの「ゆふ号」の時のように突然外国に行ったかのようで、日本人は私一人でしょうか。登山客とも違う出立ちで、ちょっとむせるような香水が漂っています。
幸い窓席が空いていたので、車窓に集中しました。
前日から今年の観光シーズンに入ったからでしょうか、沿線の小学校で子どもたちが歓迎の見送りをしてくれていました。
旅番組でそういう場面を見ると気恥ずかしさがあったのですが、自然と手を振り返していました。
厳しい冬を超えて観光列車が通過する風景は、きっと何物にも変えられない安堵感があるのかもしれませんね。
今年もこの地域が平穏で幸せな毎日でありますように。
緩やかに列車が上りながら、チューリップやお地蔵さんや麦畑、黒い瓦屋根と美しい沿線の風景で、あちこちで見送りをしてくださっています。
常願寺川右岸の河岸段丘の端に近づいているのが、風景の変化で感じられました。
標高が高くなり少し足元がひんやりすると思った頃、岩峅寺駅に到着しました。
地図では常願寺川の扇頂部で頭首工がある地域ですが、ここから地図では「川沿い」を走っているのですが、全く川面は見えません。
横江駅を過ぎたところで横江頭首工と水路と常願寺川本流のエメラルドグリーンの水面が少しだけ見えましたが、案外水量が少ない川でした。
山岳列車の趣になり、先ほどまで時折青空が見えたので期待していたのですが霧に包まれました。
千垣鉄橋で常願寺川を渡る際に上流に有名な砂防ダムが見えるアナウンスがありましたが、反対側の席で見えませんでした。残念。
有峰口を過ぎて、さらに列車は急な勾配を上ります。
見上げるような斜面の森と山腹工がすぐそばに見えます。こんな斜面にどうやって鉄道を造り、管理されているのでしょう。
1820円の切符を高いと思ったことをちょっと恥じました。
本宮駅を過ぎてあと10分ほどで立山駅というあたりからはトンネルを何度も何度も通過しました。
車窓に石積みの美しい護岸が見えます。人の手で全てが築かれたことに畏敬の念が出る風景です。
苔むした石垣と少しゆるやかな斜面になり新緑が美しい森が見えたところで、もう一度常願寺川を渡り、9時28分立山駅に到着しました。
駅前の駐車場は満杯で、たくさんの人がケーブルカーに乗るために並んでいます。
残念ながら立山連峰を間近で見ることは叶わずあいかわらず霧の中ですが、念願の地鉄に乗って、地図を眺めながら想像していた常願寺川流域を見ることができて満足しました。
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