今日まで辰巳国際プールで「第10回アジア水泳選手権」が開かれています。
競泳を観戦し始めて12年ほどたちますが、この大会の名前は初めて知りました。Wikipediaによれば、1980年に初めて開催されて、およそ4年に1回開かれていたようです。日本での開催は1992年の広島大会以降、2回目のようです。
世界水泳やパンパシ大会、あるいはワールドカップではほとんど目にしない、ベトナムやタイの選手たちも健闘しています。
競泳の場合、わずか百分の一秒の差でも運命の分かれ道ですから、1秒以上遅ければ世界大会に参加することもできない過酷なスポーツだと改めて思いました。
1秒から数秒ぐらいの差で運命の分かれ道を痛感するのが、通勤時間帯です。「あと20秒早く家を出れば、余裕で1本早い電車に乗れた」と涙をのむこともしばしば。
時は金なり。
時は余裕を生み出す大事な数字の概念だと痛感するこのごろです。
そして時間は巻き戻せない。取り返すことができない。
子どもの頃から痛いほど身について来たはずの、その時間の概念をくずしたのが外国のサマータイムというシステムでした。
サマータイムが始まる時と終わる時に、時計の針を巻き戻したり進めたりすることができる。
世の中がますます時間の精度を高めていくなかで、空白の時間や同じ時間が2回くるなんて私には耐えられないと感じたのですが、それは気持ちの問題なのかもしれません。
ただ、人の出生に関わる産科に勤務していると、サマータイムの出生時間はどうなっているのだろうという現実的な問題について疑問がありました。
「わあ、やっぱりこういう面倒なことが起きるのだ」という「アメリカでどっちも年上の双子が生まれる珍事・・・どういうこと?」という記事がありました。
双子はだいたい同時に出産となるものの、どちらか先に生まれた方が出生証明書では兄、あるいは姉となります。
ところがアメリカで生まれたとある双子は、両方とも兄(年上)だと話題を呼んでいます。
いったいどんなパラドックスなのでしょうか。
その珍事は11月6日に起こりました。
両親のエミリーさんとセスさんの間に双子が生まれ、サミュエル君とローナン君と名付けられました。
まず、サミュエル君が最初に生まれ、次にローナン君が生まれました。
ところがややこしいことに、出生証明書にはローナン君が年上だと記載されているのです。
どんなからくりかと言うと、まずサミュエル君が生まれたのは11月6日、日曜日のAM1:39。
すると、日曜日のこの時間にちょうどアメリカの夏時間が終わり、1時間繰り上がったのです。
夏時間が終わるときは、AM2:00になったとたん1時間戻り、AM1:00となります。
ローナン君はサミュエル君の31分後に生まれたのですが、そのとき時計は1時間戻っていたことから、AM2:10→AM1:10となったのです。
その時間を看護師が記載し、日付と時間を記載する出生証明書上ではローナン君が年上となりました。
その結果、現実にはサミュエル君が年上、出生証明上ではローナン君が年上となったのです。
2人が生まれた病院の看護師は、「40年働いてきた中で、こんなケースは一度もなかった」と述べています。
夏時間をはさんだために複雑なことになった双子ですが、はたしてどっちが兄で、どっちが弟と呼ぶべきなのでしょうね。
出生時間が入れ替わった、現代のエサウとヤコブの人生は如何に。
サマータイムについては、「夏だけ生活スタイルを変えるのはやめてほしい」と夕方からの豊かな時間の過ごし方」を以前書きました。
「数字のあれこれ」まとめはこちら。