2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

記憶についてのあれこれ 12 <父の安全運転>

通勤途中に、交差点が坂道になっている場所があります。 交差点から入ってくる車はアクセルをかけて一気に坂を上ろうとしますが、片側一車線で、歩道部分も狭い道です。 しかもそのひとり分の幅があるかどうかの歩道の真ん中に電信柱が立っています。 その歩…

記憶についてのあれこれ 11 <両親それぞれの運転免許証>

私は30年ほど前に運転免許を取りましたが、今は身分証明書代わりです。 当時の教習所では、まだオートマティック車の教習はありませんでした。 都内の教習所に通っていたので、路上教習は主要幹線道路を走ることもありました。 途中で一度ダンプカーに接触…

出産・育児とリアリティショック  6  <「五体満足ですか?」>

新生児が母体外に生まれ出て、実際にお母さんと直接対面するまでには約30秒ほどのタイムラグがあります。 もちろん、「生まれたらすぐにへその緒がついたままでお母さんのおなかの上にのせる」のであればすぐに対面することにはなりますが、いくつかのリス…

「あなたは弓です」

「あなたは弓です」 これは「預言者」(カリール・ジブラン、至光社、1990年)の中に書かれている言葉です。 日本語訳は1990年に出版されたようですが、1980年代、私がまだ20代半ばの頃に東南アジアにある難民キャンプで働いていた時に出会ったアメリ…

出産・育児とリアリティショック 5 <「かわいそう」>

30数年前に看護学生の実習で初めて新生児を抱っこした時に何を感じたのだろうと思い返してみるのですが、両手に力が入って抱っこするだけで精一杯だった様子が浮かんでくるのですが、これは本当の記憶なのかそれともなんとなくできあがったイメージなので…

出産・育児とリアリティショック 4  <「まさか・・・考えてもいなかった」>

前々回、前回の記事と、いきなり精神疾患の話題から入ったのですが、それは正常と異常の境界なんてわかりにくいということの導入として書いてみました。 今回からしばらくは、こういう言動もまたリアリティショックの表現ではないかと感じている、妊娠中や出…

境界線のあれこれ 46  <精神の正常と異常>

月経周期による精神のアップダウンが激しかった時期でも、自分は「精神異常ではない」と思っていました。 今、精神的に安定した状況で毎日を過ごせるようになって、あの時期は異常ではないかもしれないけれど、正常でもなかったのではないかと感じています。…

出産・育児とリアリティショック 3  <周産期のメンタルケア>

「精神疾患」という概念が大きく変化した20年間のあいだに、周産期でもその妊娠から出産前後の時期の精神異常に対する研究が進み、その対応もある程度まとめられてきました。 1990年代には「マタニティブルー」が誰にでも起こりうること、その早期発見…

記憶についてのあれこれ 10 <1980年代、ピアスの広がりにはこんな気持ちがあるかもしれない>

前回の記事で紹介した論文では1980年代後半に日本にピアスが広がった理由まではかかれていませんが、あの時代の雰囲気を少し思い返しました。 当時の日本の女性にとっては、かごの鳥からはばたき始めた時代だったように思えるのです。 <海外へ自由にいける…

記憶についてのあれこれ 9  <ピアスの流行>

出産・育児の時期の精神的な変動について記事はできているのですが、ピアスについて調べていたらどんどん脱線していきそうです。 1980年代半ばに私がピアスを入れて日本に戻ってきた頃には、都内でピアスを売っている店はまだ限られていて、デザインもまだま…

世界はひろいな 9 <ピアス>

先日、「大阪市市教:『問題行動の即罰則』検討 暴力急増背景に」(毎日新聞、2014年5月18日)という記事がありました。 何が「問題行動」なのか読んでいくと、ピアスもそのひとつのように書かれていました。 あら、すみません。わたしも30年来ピアスをして…

出産・育児とリアリティショック 2 <マタニティサイクルと精神的な変動>

妊娠・出産・育児の始まりというのは、それまでの人生にないほどの不安、高揚感、あるいは挫折感などがいっきに押し寄せてくるような感じなのではないかと思います。 「と思います」としか書けないくらい、案外、このマタニティサイクルの女性の精神状態につ…

境界線のあれこれ 45 <女性の精神の揺れ>

私はそろそろ更年期も終わる頃で、「では次は老年か、いやまだ中年だ」などとその境界線を自分で勝手に模索しているこの頃です。 いえ、定義的にはまだ中年ですが。 更年期というと、体調が悪くなったり女性が何か大きなものを喪失していくネガティブなイメ…

出産・育児とリアリティショック 1

1990年代後半でしょうか、看護職のリアリティショックという言葉が使われるようになったのは。 「新人看護師のリアリティショックの実態と類型化の試み」という論文が公開されていました。 その「問題の所在」(p.31)では、リアリティショックについて以下の…

産科診療所から 15  <診療所で働く人たち・・・清掃や洗濯など>

産科診療所で働くスタッフで、この方たちがいなければなりたたないと思う仕事が清掃や洗濯など院内の環境を守ってくださっている方たちです。 クリニックの近くに住んでいる方たちが、スタッフ募集を見て働いてくださるようになりました。 クリニックで出産…

行間を読む 13 <病院で食べる食事>

最近は、カフェテリアがあって簡単な軽食まで食べられる病院ができる時代になりました。 私が看護婦として働き始めた1980年代には、考えもしなかったような変化です。 病院で食べる食事と言うのは、入院食だけでなく職員用の食事も含めて、なんとなく薄暗い…

産科診療所から  14  <診療所で働く人たち・・・食事>

私の勤務先に入院する方々が楽しみにして、たくさんの感謝の声を残していかれるのが、なんといっても毎日の食事です。 特別なことをしているわけではないのですが、小規模な施設ならではの「家庭的な味」が喜んでいただける理由なのかもしれません。 総合病…

産科診療所から 13  <診療所で働く人たち・・・医療事務>

だいぶ間があきましたが、また時々、このあたりから書き始めたテーマの続きです。 産科施設というと、どうしても医師や助産師・看護師のように直接、妊産婦さんに関わる職種が注目されやすいものです。 また、ブログ内でも看護職の国家資格・都道府県資格に…

記憶についてのあれこれ 8 <コーヒーの味>

自宅で飲んでいるコーヒーは、ここ十数年来、スターバックスの豆を購入しています。 1995年にスターバックスが日本に初めて出店したようですが、いつ頃から利用するようになったのか記憶にありません。 最初はおそらく、友達と飲みに行った後立ち寄ったのだ…

世界はひろいな 8 <コーヒーの入れ方あれこれ>

お茶にもいろいろな入れ方があります。 1960年代、私自身が幼児から小学生だった頃の記憶として、普通に緑茶を急須で入れる他、夏には麦茶をヤカンで煮出す方法もありました。 また、母が茶道を習ったことがあるので時に抹茶をたてるという風流なことを自宅…

記憶についてのあれこれ 7 <コーヒー>

今もコーヒーを飲みながら、このブログを書いています。 コーヒーが大好きで、半世紀ちょっとの人生のほとんどをコーヒーを飲んで過ごしてきたと、なんだか感慨深く思うこの頃です。 最初にコーヒーを飲んだのはたしか幼児の頃で、遊びに行った祖父の家だっ…

看護師基礎教育の大学化 25 <大学化の矛盾・・・助産師>

産科診療所に勤務していると、総合病院時代のように20代の若い助産師に接する機会が少なくなってしまいました。 先日、久しぶりに20代の助産師さんと話をする機会がありました。 大学化の流れの中にあって、ここ数年で新設された助産師専門学校を卒業された…

看護基礎教育の大学化 24 <大学化の矛盾・・・保健師と助産師の教育期間>

前回の記事で書いたように、看護大学で看護師資格にくわえて保健師課程も必須としたことで、保健師の資格を持つ看護職が急増しました。 それに対して、新たな助産師資格取得者数は微増でとどまっています。 たとえば平成26年の国家試験合格発表を見ると、保…

看護基礎教育の大学化 23 <大学化の矛盾・・・保健師教育>

少し行きつ戻りつしますが、また看護基礎教育の大学化についての続きです。 1990年代から本格化した看護大学の広がりと、その4年間の中で看護師・保健師そして助産師の資格取得もできる統合教育というものが始められたことで、実質的に教育時間を減らされた…

記憶についてのあれこれ 6  <カシューナッツ>

先日のらばQに「想像していたのと違う・・・『カシューナッツ』の収穫前の姿は意外と知られていない」という記事がありました。 そのカシューナッツの写真を見て、驚かれた方も多いのではないかと思います。 海外の食材が珍しくない現在でも、この実物をみた…

人を育てる ー プリセプターシップ

5月に入り、新人を迎えた組織も少しひと段落した頃でしょうか。 「経験は積んでいくもの」で書いたスーパーのレジ係の方たちのように、社会を構成している仕事それぞれに熟練していくまで人を育てるスキルがあり、それは個人個人の経験として言葉に表現しき…

看護基礎教育の大学化 22  <看護職を育てるには4年は必要>

長々と看護基礎教育の大学化について書いてきました。 少しまとめてみると、私個人は看護職を育てるには今までの専門学校の3年間では少なくて4年間ぐらいは必要だと思っています。 臨床で必要な基礎知識の理解に3年、そして臨床での研修に1年、計4年です…