2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

乳児用ミルクのあれこれ 40 <乳児用ミルクの「生活史」を知る>

1980年代半ばに私がネスレボイコット運動を知った時には、「哺乳瓶やミルクを見ると少し憎悪に近い感情」があったことをこちらに書きました。 哺乳瓶やミルクだけでなく、乳業会社から派遣されてくる栄養士さんにはできるだけ関わらないようにしようとしてい…

10年ひとむかし 22 <マタニティマークとヘルプマーク>

乳児用ミルクについてはもう少し続くのですが、今日は少し話題を変えてみようと思います。 20年ぐらい前のこと、つわりで入院されていた妊娠初期の方と話をしていた時に、「通勤がこわいですね。まだ初期だと妊婦だってわかりにくいから」とおっしゃるので、…

乳児用ミルクのあれこれ 39 <日本では誰がどのように乳児用ミルクの説明をしているのか>

先日、ぶらりと散歩をしていたら、栄養専門学校の前を通りました。 ちょうど国家試験も終わり、就職先が書かれた紙が張り出されていました。 病院に就職が決まった方もいらっしゃれば、官公庁という方もいらっしゃいました。 「栄養」という専門知識と技術を…

乳児用ミルクのあれこれ 38 <ミルク・ナースとは>

乳児用ミルクの「多国籍企業」批判のひとつが、乳業会社からの栄養士などの専門職が調乳指導のために産院へ派遣されていたことではないかと思います。 たとえば、「母乳の政治経済学」(ガブリエル・パーマー著、1991年、株式会社技術と人間)の「金持ちにも…

事実とは何か 29 <「母乳だけ」で新生児の生命が危機に陥ることもある>

「母乳にはメリットがある」ということは事実です。 ただし、全く母乳をあげられない場合でも、適切に与えればミルクで元気に育てることもできるようになりました。 ところが「母乳育児で簡単に幼い命を救えます」となると不正確な表現だし、とても危険な場…

事実とは何か 28 <「正義感」と「真実」のゆくえ>

「汚れたミルク/あるセールスマンの告発」という映画を観てきました。 公式サイトには、「ダニス・タノヴィッチ監督幻の話題作、世界初 子どもたちを守るため、男は世界最大企業を敵にまわした」とありました。 乳児用ミルクや母乳推進運動について、ずっと…

観察する 25 <観察されている>

六義園への散歩ですが、先を急いでいた理由があります。 だいぶいろいろなところを歩いたので、地図をみるだけでだいたいの所要時間と疲労度が、けっこう予測できるようになりました。 雑司ヶ谷から歩き始めれば、六義園の後に上野動物園にも行けると踏んだ…

散歩をする 16 <六義園周辺を歩く>

岩渕水門への行き方を考えながら地図をながめていると、六義園が目に入りました。 清澄公園と同じ、都立文化財庭園のひとつです。 公園に関心が出る以前から、とあることで気にしていた庭園です。 それはあの中村礼子さんや北島康介氏が練習をしていたプール…

つじつまのあれこれ 11 <補償問題は切り分ける>

「法は人に不可能を強いてはならない」で紹介した「なぜ、無実の医師が逮捕されたのか」の中に、「ああ、これがもしかしたら産科医療補償制度が始まるきっかけだったのか」と驚く話がありました。 「これは逮捕されちゃうな」(p.277〜)の中に、福島県が準…

つじつまのあれこれ 10 <「予見可能」とは>

先日、「原発避難訴訟、国の責任認める 『津波予見できた』」というニュースがありました。 福島第1原子力発電所事故後に福島県から群馬県に避難した住民ら137人が国と東京電力に1人あたり1100万円(総額約15億円)の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が17日、…

数字のあれこれ 17 <時間と充実感>

以前、「退屈に耐えられない」の中で、当時は「起きてからちょっと家の中のことをしていたらもう午後になり夜になり、一日が終わりという感じです」と書きました。 ブログを書く時間も必要ですし、泳ぎに行けば2〜3時間はあっという間に過ぎます。 休日は、…

散歩をする 15 <岩淵水門>

20年以上前、玉川上水に関心があって多摩川の上流から下流を歩いたことがありました。また、ダムなどを見る機会が多かったので、首都圏の河川について図書館で本を借りて読んでいました。 多摩川は支流はあってもそれほど複雑な流れや地形ではないので、地図…

発達する 9 <出来なかった時期を思い出せない>

トップスイマーのように泳ぐことを全身で理解できている河童族の最高位の人たちにも、水に入ると絶対に泣いていた頃があったことを私は知っています。 まあ、どこの病院の沐浴槽も新生児にしたら水深2mぐらいの感覚ですからね。 面白いのは、女の子は生後2〜…

発達する 8 <飛び込みに挑戦するための段階>

先日、スポーツ庁長官が高校の授業における飛び込みスタートの禁止について以下のように発言したことへの批判の記事がありました。 飛び込みという行為は楽しみでもある。飛び込みを思い切りできる環境や指導者への資質整備が大事。1mのプールでも飛び込みの…

観察する 24 <川風>

小名木川を歩いて、中川船番所資料館へ到着した時は日差しも暖かく、少し風がある程度でした。 中川船番所資料館には旧中川に面してテラスと休憩所があって、コーヒーやちょっとしたおやつも楽しめるようになっていました。 「よし、資料館を見たらここでち…

行間を読む 63 <「船舶衛生ガイド」>

2月のある日、海を見たくなってふらりと出かけました。家を出た昼過ぎには春のように暖かく晴れて、風もなく絶好のお天気でした。 ところが次第に風が出て、目的の駅に到着した頃には西の方に黒い雨雲まで出始め、吹き飛ばされそうな風が時折吹き始めていま…

水のあれこれ 58 <「赤道を越えても腐らない水」>

少し前ですが、ブラタモリの神戸編で、神戸の水は「赤道を超えても腐らない水」として世界中の船乗りに愛されていたという話がありました。 井戸や川から汲んできた水を溜めて生活用水にしたり、川で水浴びをしたり、一日にバケツ1杯の水しか使えない状況で…

散歩をする 14 <小名木川>

大横川親水公園から清澄駅へ向う途中に、大きくてまっすぐな川を渡ります。その橋の途中でふと東側を見たら、「あっ」と見覚えのある物がありました。 閘門です。 読み方も知らないほど馴染みのない施設ですが、 「水路をゆく」の中で紹介されていた、小名木…

記憶についてのあれこれ 113 <人はいつ頃まで素直に注意や忠告を受け入れるのか>

大人になると、なかなか人から注意される機会がなくなりますね。 注意だけでなく、助言でさえも自分自身を否定されたように感じて、なかなか素直に受け入れにくいものです。 そしてかえって感情的にこじれるので、周囲は腫れ物に触るかのように、そのことに…

気持ちの問題 38 <菜の花事件>

「菜の花事件」、ネットで検索してもWikipediaを見ても載っていません。 私が勝手に作った「事件」です。 2月中休園だった水族園が開館したので、葛西臨海公園に行きました。 水族園に入る前、いつものお気に入りの場所で海をしばらくぼーっと見ていました。…

散歩をする 13 <大横川親水公園>

向島百花園で過ごしたあとはどこを歩いてみようかと地図をながめていたら、墨田区を南北に貫くように作られた親水公園が目に入りました。 大横川親水公園です。 大横川の流れている一帯は付近にあった工場などからの地下水の汲み上げにより地盤沈下が激しい…

事実とは何か 27 <「風に吹かれて」>

ベトナム料理を食べて帰宅して、テレビの録画一覧を見たら、ちょうど「ハノイ発夜行バス、南下してホーチミン〜ベトナム1800キロ縦断旅」が録画されていました。 なんという偶然でしょうか。 1週間前に録画予約をしていたことも忘れていたのでした。 1980年…

食べるということ 15 <記憶や思い出が味覚の一部になる>

近くにベトナム料理のお店を見つけたので行ってみました。 いつものエスニック料理仲間とは日程が合わなかったので、一人で乗り込みました。 カウンターに座ってまずは生ビールと揚げ春巻き、っておやじっぽいですね。 女性が一人で飲んで食べても、「女のく…

気持ちの問題 37 <通勤電車の快適性>

明治時代の殺人的な通勤風景とまではいかなくても、1970年代から80年代の駅員さんが乗客のお尻をおして電車に詰め込んでいた風景は記憶にあります。 冷房もなかった時代は、ほんとうに悲惨だったことでしょう。 体力がない人や女性、あるいは障害を持った人…

気持ちの問題 36 <「夏の一定期間」の秘策ってなんだ?>

東京都議会の一般質問についてのニュースを読んで、なんだか嫌な予感がしました。 いえ、豊洲市場の件は信頼できる情報から判断すると、安全性についての専門的な知識を無視した茶番劇の続きのように見えますし、かえって昔の暴君のほうがまともに見えてきて…

事実とは何か 26 <地下鉄道網が広がった理由>

地下鉄についての興味深い本を、もう1冊読みました。 「東京の地下鉄路線はどのように作られたのか」 東京地下鉄研究会著、洋泉社、2017年2月2日 銀座線が一番古くて、昭和初期に国内で初めて開通したことなどは、20年ほど前に図書館で借りた本で読んだ記憶…

事実とは何か 25 <地下鉄と陰謀論>

前回紹介した竹内正浩氏の「地図と愉しむ東京歴史散歩 地下の秘密編」(中公新書、2016年)を書店で手にして目次の以下の箇所を見た時に、なぜか私は「陰謀論」と書かれていたように見間違えました。 第2章 都心の地下壕の話 皇室の防空対策 地下深く眠る陸…

記憶についてのあれこれ 112 <地下鉄のある風景>

私の地下鉄についての最初の記憶があります。 もちろん正確かどうかはわからないのですが、丸ノ内線の赤に白い波模様の車体の記憶があります。 おそらく1960年代前半頃に、池袋駅から乗ったのだろうと思います。 その後、しばらく父親の転勤にともなって地下…

10年ひとむかし 21 <梅の実の活用>

梅の花が好きになった理由のひとつに、1990年代半ばごろに住んでいた地域には、23区内でもまだ梅を栽培している土地が住宅地のなかにポツポツと残っていたことも関係していたかもしれないと思い返しています。 梅が咲き始める頃になると、ちょっと遠回りをし…