2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧
「整体」と称している療法はまさに百花繚乱という感じで、考え方も「施術」もさまざまだということが調べているうちにわかりました。 そして、妊産婦さん、あるいは産後のお母さんや赤ちゃんに対する整体もけっこうあるようです。 <野口整体> 野口整体とい…
おそらく助産師の中で「整体」という表現を使って妊産婦さんあるいは新生児・乳幼児になんらかの行為を行っているひとたちのほとんどが、前回の記事に書いたように母子整体研究会に関係しているのではないかと思っています。 その内容については、後に少しず…
いつ頃からでしょうか。 助産師の中に「整体」という言葉が聞かれ始めたのは。 よくわかりませんが、開業助産師さんたちの間では古いのかもしれません。 でも私たちのように病院・診療所で勤務する助産師にとって、整体というのは聞きなれないものでした。 …
昨日と今日は、第54回短水路日本選手権が相模原市で開催されています。 短水路というのは、25mの距離を競う大会です。 昨年2月の短水路と4月のオリンピック選考会で悔しい思いをした古賀淳也選手や酒井志穂選手が泳ぐ姿をみることができて本当にうれ…
前回の記事で参照した「我が国の分娩場所の推移」(pdf注意)を見ると、1950(昭和25)年代初頭にはほとんどが家庭分娩であり、1955(昭和30)年の時点でも助産所を含む医療機関での出産は20%以下に過ぎませんでした。 その後1960(昭和35)年頃には半数の出…
整体が妊娠・出産・育児の中で代替療法として残っている理由のひとつとして、「妊娠・出産は病気ではない」という認識が社会の中に根強く残っていることもあるのではないかと思います。 前回の記事で、野口晴哉氏が15歳で整体の療術団体を始めた1926(昭和元…
野口晴哉(はるちか)氏の講演をもとにした「誕生前後の生活」(全生社、昭和53年)を参考に、整体の中での妊娠・出産・育児の考え方について一部を紹介してきました。 その本が出版された1978(昭和53)年頃までは、「誕生前後の生活」が書かれた時代1とそ…
整体とはどのような手技なのか検索していくと、整体院のHPには「うちではボキボキしたり痛いことはしません」「マッサージとも違います」といったことがよく書かれています。 では整体とはどのような手技なのでしょうか? 特に新生児や乳児に対して、何を…
すこし間があきましたが、また「誕生前後の生活」(全生社、昭和53年初版)に書かれている、妊娠・出産・育児に対する野口晴哉(はるちか)氏の整体の考え方をみていこうと思います。 こちらの記事で書いたように、野口晴哉氏はちょうどトリアゲババ(男性の…
前回までに書いてきたように、正期産児(37週以降の児)、特に黄疸が増強しやすいアジア系の赤ちゃんに対しては臍帯の早期結紮(30秒以内に臍帯内の血流を止めること)が現在の医学的な考え方といえるようです。 ただし、とりわけ出産・育児には医学的な正し…
赤ちゃんがお母さんの体から生まれ出たら、すぐに体についた羊水や血液を拭き取りながら、しっかり自力で呼吸しているか確認します。 この呼吸開始を確認しつつ、コッヘルという器具で臍帯をはさみます。 これで、臍帯内の血流が停止されます。 そのあと臍帯…
臍帯切断とは医療行為であり、それを実施するには正当な理由が必要になります。 臍帯切断は「医療行為」であり、その中でより生理的あるいはより自然とは何か。 臍帯切断についての自然と不自然について、2回にわけて考えてみようと思います。 まずは臍帯切…
胎児は臍帯で胎盤につながっていて、子宮の中では胎児の血液が臍帯と胎盤の間を循環しています。 それによって肺呼吸に代わるガス交換や代謝を行っています。 出生と同時にその胎児胎盤循環は終わり、臍帯内の血管も閉鎖して自らの体内での血液循環が成立し…
前回の記事で紹介した、分娩後に「左右の骨盤が揃うまで、左右の体温を測定して一致するまでは安静臥床のまま過ごす」ということともに、もうひとつ、琴子ちゃんのお母さん経由で「仙骨ショック」がどうやら整体的な考えかたからきているらしいということを…
前回の記事で紹介したように、産後、左右の骨盤が揃うまで起き上がらない生活を実践している人がいることを琴子ちゃんのお母さん経由で知った時には、本当に驚きました。 病院や診療所で勤務していると、なかなかそういう人に出会うことはないからです。 と…
整体を調べていると、整体という言葉自体が何を指しているのか全体像が見えてきません。 整体のサイトをみると、ある人は野口整体一筋であり、ある人はカイロプラクティックを取り入れて整体と呼んだり、中にはきちんとあん摩指圧マッサージ師の国家資格があ…
こちらの記事で、野口晴哉氏の「誕生前後の生活」の序文を紹介しました。 1973(昭和48)年に出版された、この整体の妊娠・出産に関する講義をまとめた本の序文の最後の部分には、明らかに助産や産科医療への批判が書かれています。 再掲します。 斯くの如く…
前回、野口晴哉氏の「誕生前後の生活」(全生社、昭和53年)の序文を紹介しました。 本文では、たとえば予定日超過の妊婦にどう対応するか、新生児仮死への対応などかなり医学的な「治療」の領域に踏み込んだ内容が書かれています。 こちらの記事で紹介した…
妊娠・出産・育児に関しての「整体的な考え方」はこの本に行き着くのではないかと思われる、野口晴哉(はるちか)氏の本を紹介してみようと思います。 整体法叢書「誕生前後の生活」(野口晴哉著、全生社、昭和53年初版)です。 私の手元にあるのは、20004(…
私自身は肩こりとも無縁で、また他人にマッサージなどで体を触れられることは苦手なので、整体やマッサージの世界はよく知りませんでした。 ただ、助産師の世界には骨盤ベルトや骨盤ケア、べびぃ整体など整体という言葉を耳にする機会が多いのでだいぶ前から…
今回は、日本の近代医学と代替療法がどのように変遷してきたのか、私自身の頭の整理をかねて書いてみようと思います。 <日本の近代医学と病院の変遷> 16世紀末のオランダで、医師教育のために大学内に病院、植物園(薬局に相当)を付設したあたりが、現代…
現代の日本では、当たり前のように病院があり、医学にもとづく治療と看護を受けています。 まるでずっとずっと昔からそのシステムがあったかのように。 前回に引き続き「看護のための精神医学 第2版」(中井久夫・山口直彦著、医学書院、2008年)の「《歴史…
前回の記事で紹介した代替療法の一部のリストを見るだけで、その数の多さに圧倒されそうです。 それだけあれば、なにかひとつぐらいは自分にあったものがありそうな気さえしてきます。 「医療従事者のための補完・代替医療 改訂2版」(今西二郎編、金芳堂、2…
「全人的な」という言葉が臨床で聞かれ始めたのは、1980年代終わり頃だったでしょうか。 主に癌の終末期を迎えた患者さんに対して、心身ともに穏やかに死を迎える準備の中で使われ始めたように記憶しています。 その後、ホリスティックという言葉で、終末期…