2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧
トラウベで胎児心音を聴取する時代からドップラーで聴取する時代への移り変わりというのは、もしかしたらただ単に機械化されたとか便利になったという次元の話ではなく、胎児の存在そのものへの受け止め方が社会の中で大きく変化したということではないかと…
私の助産婦学校時代の教科書の産科手術として、「胎児縮小術」が載っています。または「切胎術」と言います。 どのようなものだったのでしょうか? 近年産科学の進歩に伴い、比較的重篤な母体も保存および帝王切開術で容易に分娩が行われ、胎児死亡も著減す…
少し間があきましたが、また医療介入について考えてみようと思います。 前回は「胎児の安全がわかるようになった時代」として、「『出てくるまで生きているか、元気か、死んでいるかわからない時代』もそう遠くない昔」だったのではないか、ということを書き…
「助産雑誌 9月号」の巻頭インタビュー「いのちをつなぐひとたち」は、河合蘭氏(出産医療ジャーナリスト)でした。 最初のページには、次のようなキャプチャーがあります。 これからは、ハイリスク出産にも助産師のケアが必要な時代 そしてインタビューは以…
私が助産師になってからの二十数年は、ちょうど「自然なお産」や「いいお産」の呼び声が高まっていく時期に重なっていました。 その動きは、病院の安全性に加えて快適性をという方向ではなく、医療介入をしないことが良いかのようなイメージの方向にむかって…
「助産雑誌 9月号」は、「事例検討から学び、活かす」という特集でした。 「助産雑誌」医学書院 http://www.igaku-shoin.co.jp/jurnalPortal.do?jpurnalPortalId=665 お産の経過はどれひとつとして同じものはないことは当然です。 「こんな進みかたがあるの…
2012年5月10日の「助産師の世界1 <助産師に感じる違和感>」http://d.hatena.ne.jp/fish-b/20120510からだいぶ間が空きました。 タイトルではなく、「助産師の世界」をカテゴリーにして続編にすることにしました。 助産師向けの雑誌には、医学書院から出…
私が助産師になった1980年代後半には、自然なお産を求める動きが日本でも高まって、国内外の書籍が数多く出版されました。 自然なお産に強い関心を持っていた私は、当時、必ず購入していましたが、現在手元に残っているのは数冊ほどになりました。 著者は助…
RQ「分娩時にルティーンの点滴は必要か?」の結語の部分を再掲します。 ルティーンの点滴は医師のマンパワーと助産師の判断能力により、リスクのある産婦に限定して実施されることが望ましいが、安全性を特に追求したいのであれば、ヘパリンロックによる静脈…
今まで分娩時の血管確保の実際について書いてきました。 今回は、「科学的根拠に基く快適で安全な妊娠出産のためのガイドライン(改訂案)」のリサーチクエスチョンについて考えてみようと思います。 RQ10:分娩時にルティーンの点滴は必要か? http://sahsww…
延々と分娩時の血管確保についての記事が続きますが、もう少しお付き合いくださいませ。 日々分娩に関わる私たちにとって出血とは本当に怖いものであり、その母子、家族の運命に大きな影響を与えることでもあるのです。 2010年4月に日本産婦人科学会など5学…
緊急時の血管確保について書く前に、分娩の緊急時とはどのような状況でしょうか。 分娩時出血についてネット上で公開されている文献がありました。 「分娩時出血の初期対応(止める、入れる、送る)について」 弘前大学医学部付属病院周産母子センター (青…
静脈内に留置針を挿入して点滴をつなげ、いつでも必要な薬剤を静脈内に注射できるようにすることを「血管確保」といいます。 薬を口から飲む内服の場合には薬の効果が出始めるまでに30分程度はかかりますし、効きかたもゆっくりです。 皮下注射、筋肉注射と…
前回、私個人としては分娩時の血管確保はルティーンの処置にしたほうが良いと考えていることを書きました。 私自身、二十数年前に助産師として初めて勤務した総合病院では分娩時には点滴もしていませんでした。 赤ちゃんが生まれた時点で、外回りのスタッフ…
分娩時に点滴をした記憶がある方が多いのではないかと思います。 点滴と血管確保、そのどちらも静脈に留置針を入れることですが、目的は大きく二つに分けられます。 分娩進行中に発熱があったり、産婦さんが水分や食事を取れないときの脱水予防のために水分…
前回の記事で紹介した「快適で安全な妊娠出産のためのガイドライン」でリサーチクエスチョンとして挙げられている項目は、1996年にWHOから出された「Care in normal birth:a practical guide」の流れを汲んだものといえるでしょう。 その翻訳が「WHOの…
8月21日の琴子ちゃんのお母さんのtwitterで、タイトルにあるガイドラインに対しての意見公募があることを知りました。 平成24年度厚生労働科学研究 分担研究 「科学的根拠に基く快適で安全な妊娠出産のためのガイドライン(改訂案)」の意見公募 http:/…
妊娠中の医学的管理や妊婦健診の内容に関して、「それは過剰な医療介入だ」とか「妊婦健診の回数を減らせ」という議論はあまり目にしません。 おもに出産に関して、過剰あるいは過度な医療介入という批判が向けられるのではないかと思います。 どのような受…
今日の記事は妊婦健診の話の続きなのですが、助産師の中では妊婦健診と保健指導の法的根拠があいまいなまま、あるいは恣意的にあいまいにしたままその言葉を使っているのではないかという疑問について書いてみます。 会陰裂傷縫合やエコーの使用など自らの業…
ここ数年でようやく「飛び込み分娩(出産)」という言葉が社会に認知されて、そのリスクや妊婦健診の重要性が伝えられるようになりました。 経済的理由で受診を控えることがないように公費負担制度も2009年から始まり、一歩も二歩も前進したという印象があり…
前回の記事で、私自身の母子手帳について紹介しました。 今日はもう少し、くわしく見ていきたいと思います。 その母子手帳に「妊娠初期の状態」というページがあります。 母は23週で初診なので、すでに初期を過ぎていたためか真っ白で何も記載がされていませ…