行間を読む 213 近江鉄道日野駅と日野商人

近江日野商人の街並みが残る場所までバスを利用することにしました。

バスの時間まで少しあります。

 

駅舎のそばに日野駅鉄道資料展示室があるのに気づき、立ち寄ってみました。

 

日野駅 鉄道ミュージアム

 

日本最古級の現役木造駅舎 100年の歴史を未来につなげたい

日野商人ら44名が発起人となり明治29年(1896年)に近江鉄道が設立され、明治33年(1900年)には日野駅が開業しました。

大正期に駅舎の改修がされましたが、築100年を超える数少ない木造駅舎です。駅は通勤や通学、人生の旅立ちの出発点など、想い出のつまった場所として、多くの皆さんにこよなく愛されて来ました。

しかし、長年の風雪により老朽化がすすみ、駅舎の存続が危ぶまれる事態となりました。

 

多くの皆さんの思い入れのある駅舎の存続に危機感を抱いた日野町と地元住民は、平成28年(2016年)に「日野駅利用促進活性化懇話会」を組織し、近江鉄道に協力を呼びかけ、今の姿を後世に残そうと「近江鉄道日野駅再生プロジェクト」をすすめました。

 

駅舎の改修では、「木造駅舎のやさしい木の温もり」「懐かしい雰囲気」が失われないよう、柱の一本一本に至るまで生かせるものをすべて生かした「再生工法」を用い、過去の記憶を残し、思い出を未来に繋げることとしました。

 

写真を撮った時はよく読んでいなかったのですが、この駅舎もまた日野商人と深い関わりがあるものだったようです。

 

「駅は通勤や通学、人生の旅立ちの出発点など、思い出のつまった場所」

便利さや安全性と引き換えにこうした風景や生活がなくなっていくのを受け入れなければいけないのも仕方がないのですが、その場所が生活の一部でも「地元住民」とみなされないくらい巨大な街は悲しいですね。

 

 

近江鉄道

 

2020年に初めて近江鉄道に乗りました。美しい水田地帯を走る列車に、いつか全路線を乗ってみたいと思っていた夢が今回ほぼかないました。

 

3月中旬に乗ったのですが、4月から近江鉄道が変わるような内容のポスターが車内にありました。

Wikipedia「近江鉄道」「概要」にその経緯が書かれています。

2019年2月4日、鉄道事業赤字問題で、鉄道の存続について検討している滋賀県と沿線5市5町の会合が東近江市役所で開催され、地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会を、10月に設置する方針が示された。その後、自治体の支援により存続した場合とバス転換した場合の比較検討を実施した結果、2020年3月に全線の存続が決定した。

その後、運営方法の検討が行われ、2024年度の上下分離方式への移行が決まり、運行は近江鉄道が引き続き担い、施設は県と沿線10市町で構成される一般社団法人近江鉄道管理機構が保有・管理することとなった。2024年4月1日より、「上下分離」によって従来の近江鉄道の資産は近江鉄道線管理機構に移管され、近江鉄道は鉄道事業の運営のみを行う(第二種鉄道事業者)形態に移行した。

 

こうした地方鉄道には厳しい時代ですが、前回近江鉄道に乗った時には廃線の危機の最中だったようです。

今回また乗ることができたことは僥倖でした。

 

 

*「辛苦是経営」*

 

日野駅鉄道資料展示室には、開通当時の写真や古い機械類などが展示されていました。

その時にはぼんやりと「さすが近江商人の財力だなあ」と思いながら眺めていたのですが、帰宅してからもう一度Wikipediaの「歴史」を読むと、全く違っていました。

 

近江鉄道は会社設立当初から資金難に悩まされた。終着駅が深川から貴生川に変更されたのも、距離の短縮によって建設工事費を削るためであった。1898年(明治31年)1月に西村捨三が代表取締役を辞任した際には「辛苦是経営」という教訓を残しており、現在も近江鉄道本社ビル脇にこの言葉を刻んだ石碑が建てられている。一部沿線住民から「近鉄」をもじって「貧鉄」とあだ名されたり、「上り列車は『借金々々』とはしり、下り列車は『足らん足らん』と走る」と冷やかされたりしたこともあるという。

 

赤字路線に対して「空気を運んでいる」と馬鹿にする「コスト重視の現代」の風潮は嫌だなと感じていたのですが、昔からそんな雰囲気があったのですね。

 

2020年に初めて近江鉄道を利用したときに西武鉄道の古い車両が使われていたのを見て、当時は古い車両はこうして地方で再利用されるのかと思っただけでしたが、今回の散歩で西武鉄道近江商人の流れを汲む企業だったことを知りました。

 

展示の中に「二代目社長 庄野玄三」の写真があったのですが、近江日野商人の「日野合薬」を読むと、初代庄野玄三は「元禄14(1701)年に合薬の製造販売を始め」とあります。

鉄道の歴史は、それぞれの地域のことを知ることができて面白いですね。

 

ああ、今度は近江鉄道のひと駅間を歩いてみたい、また無謀な計画ができてしまいました。困りましたね。

 

 

*おまけ*

 

今回はたまたま3日間全てを1デイスマイルチケットを利用できました。乗る側にしたら平日にも使えるとうれしいですが、鉄道を支えるためにはどんな方法がいいのでしょう。

 

 

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