2012-10-01から1ヶ月間の記事一覧
1980年代初頭に看護師として働き始めた頃は、今のように医療用のディスポ(使い捨て)製品が潤沢にある時代ではありませんでした。 血液が付いたガーゼも、消毒・洗濯して再滅菌して使う施設も珍しくはありませんでした。現在の医療従事者の感覚では「信じら…
分娩台のお産というと、「仰臥位のお産」「脚を固定される」などが主な批判だと思います。 これらの批判はもちろん分娩台の構造上の問題もあると思いますが、どちらかというと助産師の分娩介助技術をどれだけ標準化し安全に実施できるかという管理的な問題に…
分娩進行中、産婦さんができるだけ自由な姿勢で快適に過ごせることは看護の基本として大事なことだと考えます。 「できるだけ」というのは、時には母子の安全上、産婦さんの望む姿勢ではないことが必要な場合もあるからです。 1980年代の自然なお産を求める…
妊娠中の母親学級あるいは両親学級で、院内見学として分娩室の見学を組み込んでいる施設が多いでのはないかと思います。 初めての妊婦さんだと、やはり分娩室を見ると緊張されるようです。 「えー、手術室みたい」「怖いなぁ」「あの台で産むのですか?」な…
病院のお産というと「機械(分娩監視装置)で身動きができない」「仰臥位のお産」「分娩台に足を固定される」「分娩台のお産は医療者の都合」「冷たい分娩室」など、これまでたくさんの批判がありました。 たしかにそうだと思う点もある反面、現実はすでに違…
私が最初に看護師として働き出した頃を含めた30年ほどを振り返ると、医療が急速に進歩した時代に重なっていたことをこれまでも何度か書いてきました。 医療の進歩とともに、医療安全対策という言葉が出て医療従事者の意識も大きく変った時代だったといえるで…
胎盤・臍帯を通して生きていた胎児が、母胎外へ出た瞬間から独立して生きていくための呼吸や血液循環が始まります。 産道から頭が出た瞬間から「うぎゃっ」と泣いて自力の呼吸が始まる新生児もいます。 多くは、体全てが産道から出て、「胎児」から「新生児…
今年に入ってから、カンガルーケアあるいは早期母子接触についての注意喚起の話題がたびたび聞かれました。 少しずつインシデントレポートやヒヤリハット報告などが蓄積されてきたということでもあり、その結果が公開されることはよいと思います。 ただし報…
「『早期母子接触』実施の留意点」の中で、新生児蘇生法(NCPR)について書かれています。 http://www.jspnm.com/sbsv12_1.pdf (NCPR: Neonatal Cardio-Pulmonary Resuscitaion) 3.分娩施設は、「早期母子接触」実施の有無にかかわらず、新生児蘇生法(NCPR)…
出生後早期から母子が直接肌と肌を触れあい互いに五感を通して交流を行うことは、人間性発露の面からみても、親子が育みあうという母子の当然の権利ともいえる。 <裸でなければだめなのか?> 正期産の新生児に対する早期母子接触で、よくわからない点がこ…
今日から「医療介入シリーズ」に戻る予定でしたが、うさぎ林檎さんからの指令に応えて、10月17日に出された「『早期母子接触』実施の留意点」について書こうと思います。 えぇ、「黒い内容で行け」という指令だと認識しました。 <カンガルーケアと早期母子…
自分自身を振り返ってみると、科学的な思考とは程遠い世界で生きてきたと思います。 むしろニセ科学的なものに積極的に近づいていたといってよいほどでした。 小さい頃から、宗教的な家庭で育ちました。 生きるということはどういうことか、死ぬとはどういう…
私がブログを始めようと思った理由として、あちらこちらのブログに書き込ませていただいたコメントを、もう少し掘り下げて表現したいと思ったこともそのひとつです。 kikulogのコメント欄でのやりとりは、本当に目の前が広がったといえるような機会になりま…
何ヶ月ぶりかで、kikulogが復活して読めるようになりました。 http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?display=box コメント欄が膨大な量なので、パソコンで読むことがお勧めです。 琴子ちゃんのお母さんのブログ「助産院は安全?」で、…
現在の陣痛計は、2種類あります。 妊産婦さんの腹壁に直径8cmぐらいのトランスデューサーを当てる外測法と、ストローぐらいの太さのチューブの先端にトランスデューサーが付いたもので子宮内圧を直接測定する内測法の2種類です。 外測法の方が簡便であり、…
陣痛促進剤と書くと、「危険」とか「不自然」という感情まで一気に呼び起こされてしまいそうな薬剤かもしれませんが、この薬剤によって生命の危機を乗り越えられた母子や無事に経膣分娩を終了できた母子はどれだけいることでしょうか。 今まで胎児心拍の測定…
1980年代というのは、わずか10年間の間に病院での医療が大きく変化した時代だったのではないかという印象を強く持っていました。 血管確保のところで静脈留置針の普及について書いたのも、そのひとつです。 分娩監視装置に関しても、病院や診療所での普及…
「胎児が生きているか、死んでいるか」しかわからなかった時代から、分娩監視装置によって「胎児が元気かどうか」わかる時代に入ったのはそう遠くない30年ほどであったことを書いてきました。 今日は、「科学的根拠に基く快適で安全な妊娠出産のためのガイド…
陣痛がある程度規則正しくなってからの、陣痛と胎児心拍の関係を連続モニターで見る機会ができたことで、自分自身がまだまだ分娩経過で知らないことがたくさんあることを前回書きました。 今回は、その続きです。 <アクティブ・バースについて> 1988年に出…
トラウベや携帯用ドップラーで心拍数を確認するだけではわからなかった胎児の世界が、分娩監視装置のグラフ化された記録から見えるようになったと思います。 たとえば前回の記事に書いた私の体験のような場合には、入院時にトラウベやドップラーだけで胎児心…
分娩に携わっていると、日頃は心の奥底に封印しておきたい経験というものがあります。 私にとっては誕生という喜びを期待している場での死、です。 その場面を思い返すと、なぜあの時から自分はこうして生き続けているのかという罪悪感と、人はこうしてずう…
<分娩監視装置と産婦さんの快適性> お腹に陣痛計と心拍計の大きなトランスデューサー(直径6cmぐらいで厚みも2cm以上あります)を2本の太いベルトで固定するわけですから、「産婦さんの快適性」を問われれば、身体的には快適とはいえない状態だといえるで…
1970年代からの「自然なお産」の動きは、日本だけでなくイギリスやアメリカ、世界中のいろいろな国で高まっていたようです。 1980年代終わりの頃に「自然なお産」に影響され始めた私は、そういう各国の動きはある程度同じ段階で、同じ方向を向いていると思い…
1970年代初頭では大学病院でさえ、携帯用ドプラーでの胎児心音を聴取する程度であったのなら、一般の病院や開業助産婦はまだしばらくトラウベで耳での聴診方法しかなかったことでしょう。 そして、1970年代終わりに看護学生の実習で分娩監視装置(胎児心拍陣…