I'm OK, you are also OK. (2013年10月26日訂正あり)

1980年代の看護の中で、交流分析という心理学の一方法がしばしば研修などで取り入れられていました。


心理学については専門知識はほとんどないので、現在この交流分析が心理学の領域でどのように評価されているのかはわかりません。


私も1980年代にこの交流分析の研修を受けたことがあります。
その理論的なことはほとんど忘れてしまったのですが、今でも活用していることがひとつあります。


それは、会話を次の4つの視点から捉えるものです。

● I'm OK,you are also OK.

 今日の題名にも取り上げたものですが、私もあなたも良い状態であるような話し方とでもいえるでしょうか。
その他の3つは以下の通りです。

● I'm OK,but you are not OK.
● I'm not OK, but you are OK.
● I'm not OK, you are also not OK.


3番目は「あなたはいい状態だけれど、私は駄目」とう感じでしょうか。
ニュアンスとしては自己否定であったり、自己否定にたった相手への嫉妬であったりといったところでしょうか。


4番目は「あたなも駄目なの?私もそう」という感じで、両者ともに落ち込んでいる状態かもしれません。
ただこの場合には「わかるよー」というお互いへの共感があるので、場合によっては、1番目の「I'm OK, you are also OK」へと一緒に、前向きになっていける可能性もあります。


この会話の流れを、交流分析の中ではParent, Adult, Childのストロークで表現しています。
ちょっと自己流の解釈ですが、以下のような感じだと理解しています。


「I'm OK, you are also OK」は、Adult とAdultの対等な関係でありとても安定した会話だといえます。


3番目は、自分がChildの存在で、相手がAdultという関係になります(*)。
4番目はどちらもChildで、ありのままの感情などが表されます。



<I'm OK, but you are not OK.>


さて、残りの2番目です。


日常生活の中でもこの2番目の会話の方向性が、人間関係をややこしくしたり、相手を傷つけあるいは自分も不愉快になりやすいのではないかと思います。


「まったく、何であなたはそうなの?」という感じでしょうか。


たとえば、昨日の記事の中の看護スタッフの言動もこれにあたると言えるでしょう。


おっぱいが出ないのではないかという不安と乳首の痛みの苦痛で一晩過ごしたお母さんに、「経産婦なのに、何で痛いの?抱き方をこうすれば大丈夫でしょう?」という言葉とその裏にある感情は、まさに「I'm OK, but you are not OK」ではないでしょうか?


ちょっと相手の一晩の大変さと夜勤のスタッフはどう対応したか、そして引き継いだ自分は何をすればこのお母さんの「今」に一番よい関わり方になるのかを考えることができれば、同じ状況でも「I'm OK, you are also OK」の状況に変えられるのではないかと思います。


「一晩、大変だったでしょう?そういう夜もありますよね。どんな方法を試してみましたか?」
「赤ちゃんが変化していくので今良い方法がそのまま良いとは限らないし、人によっても経過が違うので正解はないかもしれませんが、こんな方法も試してみてはどうでしょうか?」


そんな感じであれば、負のストロークにならなくて済むかもしれません。


自分の言い方が「I'm OK, you are also OK」になっているか、少し気をつけてみると案外自分の言動のパターンも見えてくると思います。


そして、相手が同じように「I'm OK、you are also OK」のストロークを出してくれれば、私も心を開くことができます。
たとえそれが耳に痛い忠告だったとしても。



<おまけ>


ただし「こうすれば幸せになる」「こうすればよくなる」のような一見元気づけてくれそうな会話、自己啓発セミナーとか代替療法、あるいは特定の思想などへの入り口にも、この「I'm OK, you are also OK」のストロークが使われやすいのではないかと思います。


何にしても自分が良かったからといって、あまり簡単に人には勧めないという慎重さが大事かもしれません。





(*)2013年10月26日訂正
「Parent」と書きましたが、Adultなので文章を変更しました。