体重の謎あれこれ 2  <50kgの壁>

女性にとっては、体重50kgというのは何かひとつの壁なのでしょうか?


中学生で50kgを越えて以来、それ以下になる可能性はほとんどない私にはあまり理解できないのですが、どうも心理的に50kgとは認めたくないというものがあるのではないかと日々感じています。


それは、妊婦健診にいらしゃる方々の非妊時体重(妊娠前の体重)をみて感じています。


140cm台の小柄な方から170cm台の方まで身長はさまざまです。
ところが初診時に妊娠前の体重を自己申告してもらって記録するのですが、48kgという数字がやけに多いのです。
印象としては、半数近い方がこの体重から妊娠がスタートしています。


たとえば160cmで48kgであれば、BMIは18.4ですから低体重ぎりぎりです。


身長が170cm近い方でも48kgと書く方も珍しくなく、スーパーモデル並みのスタイルになる、はずです。
時には「49.8kg」や「49.9kg」という記入もあり、50kgとは書きたくない乙女心があるのではないかと思えるのですが、皆さんいかがでしょうか?


非妊時体重はあくまでも自己申告です。
というのも、妊娠の可能性があって初めて産科を受診されるとすでに妊娠5〜6週になっていますから、中にはつわりなどで体重が減っている方もいらっしゃいます。
妊娠前の体重は、あくまでも本人の記憶によるものを参考にするしかないのです。


この自己申告の非妊時体重をもとにBMIを計算しているわけですが、ここ数年で月の分娩予定者の半数がBMI20未満ということが増えました。



そして非妊時のBMI20未満の方の中に、妊娠30週ぐらいですでに非妊時体重から10kg以上も増加した方が目立ちます。
これから妊娠後期にかけて胎児の成長とともにさらに母体の体重が増える時期です。
「12〜13kgぐらいまではいいけれど、急激に増えないように注意してくださいね」と説明することが増えました。


でも、非妊時体重はもしかすると本当はもう少し多い可能性もあります。
であれば、30週ごろに急激に増えたわけではなかった可能性もあります。
つわりで少し減った体重や50kgの壁より少なめに申告した人もいるかもしれません。


本当に正確なBMIなのかも疑う必要があると思っています。


でも全体にやせ型の妊婦さんが増えたような印象があります。
いえ、このあたりはその妊娠・出産への影響も含めてきちんとした全体調査を待つ必要があるのですが。


日本社会全体に、スリムな体を求める傾向は強くなったと感じます。
そして女性の50kgの壁はそのひとつではないかと思うのです。




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