観察する 24 <川風>

小名木川を歩いて、中川船番所資料館へ到着した時は日差しも暖かく、少しがある程度でした。


中川船番所資料館には旧中川に面してテラスと休憩所があって、コーヒーやちょっとしたおやつも楽しめるようになっていました。
「よし、資料館を見たらここでちょっと休憩して川面を眺め、旧中川を渡ってみよう。できれば、荒川と中川にかかっている新大橋通りの大きな橋を渡ってみよう」と、いろいろと計画がふくらんだのでした。


ところが、30分ほどして外へ出てみると、歩くだけでも大変なほどの風に変わっています。
旧中川の水面は風で荒れて、波が立っています。


天気予報では強風注意報も出ていなかったはずだし、いったいこの変化はどうしたのかと驚きました。
旧中川どころか、荒川にかかっている橋の上を歩くなんて、とてもできそうにないほどの風でした。
テラスでのんびり川をながめてコーヒーを楽しむこともあきらめ、吹き飛ばされそうな風の中、もう一度、小名木川へと向かったのでした。


あまり風が強ければ、扇橋閘門はあきらめて途中から電車で帰ろうと思って、小名木川の遊歩道へ降りました。
さっきまでの風がうそのように、そこは穏やかです。


あれは一体どうしたことだと、帰宅してから検索したら、川風というのですね。


たしかに、水元公園へ行く途中、柴又から歩いて江戸川の土手に上がったとたん、強い風を感じて驚きました。
高低差もまた、風の強さに関係があるのでしょうか。


そういえばこの日、江東区のプールに立ち寄った時に、更衣室で高齢の方達が「今日は風が強くて大変。○○さんは、今日は出かけないって」といった話をしていました。
その時には「え?風はたいしたことないのに。高層の建物があるから、ビル風でも強いのかな」と思って聞いていたのですが、もしかしたら、水路が縦横無尽に走っている地域ならではの風かもしれませんね。



海に比べて川は穏やかなイメージがあるのですが、この川風を観察し、うまく利用しながら暮らして来たのかもしれないと、中川船番所資料館でみた江戸時代からの水運の歴史が、その資料館を出たときの強風でよりリアルに感じられたのでした。




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