散歩をする 58 <スミレを探す>

母の暮らしている施設は駅から遠く、最寄りのバス停も森の中の道を歩くしかないような場所です。いつもならタクシーを使う面会の帰り道、森を通らなくて良い遠回りの道を歩いてみようと思い立ちました。


それでも見渡す限り、片側は雑木林、片側は水田や畑があるのですが、車は通っても人気がほとんどない道です。
ちょっとびびりながらも春の変化を見たくて、歩いてみました。


あちらこちらに緑の草が目立ち始めて、水仙が満開になっている場所もありました。
ムスカリも咲いていたので、もしかしたらと期待したのでした。
でも、残念ながらその地域ではまだ1ヶ月ほど早いので見つけることはできませんでした。


父の面会に行く途中にあったスミレの群生桃源郷のような風景を今年も見ることができるようにと祈っていましたが、かないませんでした
反応の少なくなる父に数日毎に会いに行くのは体力的にはきつかったのですが、とても穏やかな気持ちになる時間でした。
このままずっとこの面会が続くといいなと思うほど。


息をしている父のそばにいることはもうかなわないのだという想いが、「今年はあのスミレの群生をもう見ることはないのか」という気持ちに置き換わっているのだろうと思います。


そんな時に、神代植物公園公園のつぶやきでスミレが咲き始めたという知らせがありました。


自宅の近くを目を凝らしながら歩いているのですが、今年は全くスミレを見つけられません。
神代植物公園に行けばスミレを見ることができるのですが、休日の時間はどんどんと過ぎて、出かけるタイミングを逸してしまうことがしばしばです。


いつも行き当たりばったりの散歩ですが、地図を見るとまだ行ったことがない公園が自宅のそばにあります。
家から300mぐらいのところです。


ふと思い立って、行ってみました。
子どもたちがにぎやかに駆け回って地面が踏まれてしまっているし、こんなところにはないだろうなとは思ったのですが、なんと入り口からわずか数メートルのところにスミレが咲いていました。
それなりに広い公園を一周してみましたが、そのあたりだけ咲いていました。
タチツボスミレはどうやって広がっていくのか、不思議ですね。



昨年、やはり神代植物園の「公園のつぶやき」でスミレの閉鎖果を知りました。その翌日には植物多様センターの「タチツボスミレの二刀流」という資料も公開されて、とても参考になりました。
そして、あとかたもなくなるまで、面会の道すがら、スミレを観察したのでした。


今年はこんなに近くでスミレの群生を見ることができるなんて、小学生の観察日記を始める前のようなちょっとワクワクした気持ちです。


もうひとつ、こんなに近くの公園で、区が自然保護のためにいろいろな動植物の観察をしていることを知りました。
自宅から離れた場所ばかり散歩に選んでいましたが、灯台下暗しですね。




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