観察する 7 <足のいろいろな部分>

前回の記事では、足の「指」と書きましたが、解剖学的には「趾」という漢字を使います。


看護学生の時にはあまり何も感じずに、この足偏に止まるという漢字をそのまま覚えたのですが、よくよく見ると、足の指の機能をよく観察してできた字ですねえ。


足の指を怪我したり、指が思うように動かせなくなったり、あるいは指そのものを失ったら立つためのバランスをとることさえ難しくなることでしょう。
小さな足の指がどれだけ大きな仕事をしているか。


こちらの記事で、ペンギンの足について「ふしょ」ということを初めて知ったことを書きましたが、その時には漢字に変換できませんでした。


「しょ」という漢字は、ふだんは「せき」と読んで使っています。
代表的なのが掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)という病名で、看護学生時代に皮膚科の授業で学びました。
そうだ、「掌蹠膿疱症」で入力すればよかったのだ、と後で気づきました。
「蹠(せき)」の慣用読みとして「しょ」が使われるようです。


「蹠」も、なんだか足の指が大地に密着して足の裏全体で立っているようなイメージがわく漢字ですね。



でも、足偏に「付」の「ふ」はやなりMacでは転換できないし、初めて見た漢字です。
手元に漢和辞典がないので、この字の意味がわかりません。解剖でも使った箇所を見た記憶がないのですが。
あー書店に行かなければ。


<「趾」と「蹠」>


上でリンクした「ペンギンぺんたあず」の「ペンギンの身体」に、このふしょ骨の詳しい説明があります。

 ペンギンの脚部骨格も、他の鳥類には見られない特徴があります。鳥類には、踵(かかと)と足の指の『趾骨』をつなぐ『ふ骨(ふこつ)』と『蹠骨(しょこつ)』が一体化した『ふ蹠骨』があり、二足歩行をする鳥類の体全体を支えています。ペンギンの場合、この『ふ蹠骨』が極端に丈夫にできています。
 ペンギンの足は、水中で理想的な流線型を保持するため、他の鳥類に比べて後ろ側についています。この姿勢のおかげで、踵に相当する場所にあった『ふ蹠骨』が丈夫になっていったと考えられています。

なるほど、「つなげる」役目が、足偏に「付」の骨にあるということなのでしょうね。


「蹠」という漢字を検索していたら、「蹠行」「趾行」という言葉があることを、初めて知りました。


蹠行(せきこう)


蹠行(せきこう、しょこう)は、踵を含む足の裏全体を使って歩行すること。これを行う生物を蹠行動物と呼ぶ。霊長類やパンダなどがこれに含まれる。


足裏全体を地につけるため、直立時の安定性がよい。従って、四足歩行をする動物でも、直立する姿勢を常用する動物にこれらが見られる。犬やネコのように趾行の動物も後肢で立ち上がることはあるが、安定性を欠く。
しかし、素早く動くのには適していない。ヒトはかかとが特に発達しており、この歩き方に強い適応を示しているが、素早く移動する(要するに走る)場合にはかかとをつけない、趾行に近い形になる。


私が踵から老化を感じたのも、そのためだったのでしょうか。


趾行(しこう)


趾行(しこう)とは、踵を浮かせた爪先立ちの状態で直立し、歩行すること。これを行う生物を趾行動物と呼ぶ。爪先立ちになることで、脚全体の長さを稼ぐことができ、特に高速での移動において有利となっている。なお、休息時には踵を地面につける。イヌやネコ、虎など多くの地上性ほ乳類、全ての鳥類がこれに含まれる。

うーむ。
たかが「足」されど「足」、いろいろなことが観察されて表現されているのですね。



それにしてもペンギンは、「ペンギンの身体」では「蹠骨」がないのですが、でもこの分類からみると「蹠行動物」になるのでしょうか。



世の中知らないことばかりですね。





「観察する」まとめはこちら