思い込みと妄想 19 <「小指をたてる」>

本当は、久しぶりに「新生児のあれこれ」シリーズの手の動きの続きで、この「小指をたてる」を書くつもりでいました。


生まれて半日から1日ぐらいで、新生児の小指がピンと延び始める愛らしいしぐさが見られるようになります。
授乳の時のように全身で何かをしている時にも、あるいは眠っているときでもふと小指がたっています。


生後2〜3日ぐらいで哺乳瓶の授乳を何回か経験した新生児だと、哺乳瓶の乳首のネジのあたりにこのたてた小指をあてる様子があります。
時に、深く口の中に哺乳瓶の乳首を押し込まれそうになると、この小指でぐっと押しやってまるで防御しているかのような動きの時もあります。


新生児の親指は出生直後から比較的まっすぐなのですが、他の4本の指は屈曲しています。
少し開いたかなと思っても、音や振動などの刺激があるとギュッと握ってしまい、その指を開かせるのはけっこうな力が必要なほどです。


その4本の指で最初に伸展し始めるのが、この小指なのではないかと思います。


毎日のように新生児を見ている私には、それは新生児の発達の段階の法則性のひとつなのだろうと思っていました。


ところが、kikulogの「舌癒着症?」のコメント欄で(現在はコメント欄がなくなってしまいましたが)、舌小帯切除を勧める理由のひとつに「小指がたっている」というのがあることを知って驚いたのが2009年でした。


どうやら「新生児・乳児の小指がたつ」⇒「体が硬い」⇒「舌小帯切除をすれば体が柔らかくなり育てやすい子になる」ということらしいので、二重にびっくりしたのでした。


なぜ新生児の小指がたつのか当時も今もよくわかりませんが、ごく普通にほとんどの新生児が同じようなしぐさをするのですから、何が問題なのか理解できないものです。


また新生児や乳児の「体が硬い」も、何を意味しているのかわかりません。
冷えと同じく、医学的には概念もないものです。


この舌小帯切除についても、いつかブログでもう少し書きたいと思っていたのですが、こちらの記事を書いてからずいぶん時間がたってしまいました。
最初はタイトルを「舌小帯切除は不要 1」にしたのですが、続きがいつになるのかわからないので改題しました。


もうそろそろこの舌小帯切除を勧める人は少なくなっただろうと期待していたのですが、この記事を書くために「新生児・小指をたてる」で検索したら、「舌癒着症 赤ちゃんの症状」として「指は伸ばしたまま、もしくは小指を立てている」という某医院の記事がありました。
2015年1月の日付でした。


「舌癒着症研究会会報第8巻 1998年から引用」とあります。


赤ちゃんが小指を立てると、異常に見えてしまう方々の気持ちはいかばかりでしょうか。





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