コンフリー

今日のお題のコンフリーという名前に記憶があるとすれば、50代以上の年代の方でしょうか。


小学生の頃だったので、1960年代終わりから1970年代初めの頃だったと思います。
我が家の庭に、コンフリーが植えられていました。
母がどこからか聞いて来て、「体にいいらしい」と栽培を始めました。
英語名の植物が植わっていることになんだか誇らしい気持ちになったのでしょうか、この名前はいまだに忘れずに記憶しています。


けっこう大きな葉っぱで、天ぷらにして食べた記憶があります。
青じそがまだ一般的ではなかったので、天ぷらに緑のきれいな色が加わったのは、このコンフリーのおかげでした。
味はあまり記憶にないのですが、苦みはあまりなくくせのない味だったと思います。


庭から取ってきて手軽につかえたことも、母には助かったのでしょう。
当時は、街へ買物に出かけるのも不自由な場所でしたし、野菜もそれほど種類が豊富ではなかった時代でしたから。


いつの間にかコンフリーを見かけなくなったなあと、似たような植物を見るたびに思い出していたのですが、検索して驚きました。


健康被害が生じるおそれがあると、注意が出ていたようです。


「ヤサシイエンゲイ」のコンフリーには以下のように書かれています。

日本には明治時代に入ってきて、観賞用に栽培されていました。葉にビタミンB12やタンパク質を多く含み、1970年代には健康食品として扱われていた時期もあります。庭先に植えておき必要なときに採って、天ぷらなどにして食べた方もおられるのではないでしょうか。主に肝機能障害を起こす弱い毒性があることがわかり、現在は摂取を控えるように厚生労働省から通達が出ています。


リンク先の厚生労働省「シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取り扱いについてに具体的な健康被害について書かれています。



これが出されたのが2004年ですから、健康被害が注意喚起されるまでには、この植物が社会に広がってから30年余りの長い年月が必要だったようです。


母が「体にいいらしい」と調理していたのは、1970年代の数年ぐらいだったように記憶しています。
我が家ではいつの間にかコンフリーは忘れられていったのですが、産地リレーのように野菜の流通が発達して、年中さまざまな野菜を食べられる時代になったことが理由だったのではないかと思います。


たぶん、「健康被害があった」ことは母も知らないままだろうと。



ところで「ヤサシイエンゲイ」で、コンフリーの名前の由来が書かれていて興味深いですね。

葉は水分をたっぷり含んでおり、すりつぶすと粘りけのあるペースト状になるので、ヨーロッパでは古くからねんざやうちみに効く民間の湿布として利用されていました。コンフリーの名前は「骨を接合する」という意味のコン・フィルマ(con firma)が転訛した言葉とされています。学名のシンフィッツムもギリシア語のシンフォ(接合する、結合する)から来ています。

なるほど、類感呪術のたぐいでしょうか。


まだ庭にコンフリーがある方は、愛らしい花を愛でるにとどめておいたほうがよさそうですね。