目から鱗 9 <陰謀論>

こちらの記事で紹介した「時代が求める自律した助産師への期待」という論文に対して、助産師に感じる違和感がこの国の助産師教育を担っている人たちには根深くあるのだと思いました。


それと同時に、この論文の中で使われている「GHQ」に、「陰謀論」と言う言葉が浮かんだのでした。


ちょうどこの論文がだされた2009年当時、私はkikulogに出会った頃で、その中で初めて聞いた「陰謀論」と言う言葉に目から鱗のような、そしてちょっとドキリとさせられたのでした。


当時、コメント欄では9.11陰謀論についての議論が続いていました。


アメリカ同時多発テロ事件は、テレビを持たない私がどこでみたのか記憶にないのですが、あの映像をニュースでほぼリアルタイムに見ていました。


まるで現実感が感じられない映像でした。
はっと我に返った時に、真っ先に思ったのが「アメリカ政府の自作自演ではないか」ということだったのです。


でも、しばらくして、被害の全容が明らかになるにつれて、さすがのアメリカでも多数の自国民を巻き添えにするわけはないので、最初に思ったことを自分の中で打ち消したのでした。


なるほど、あれが「陰謀論」の入り口だったのかと、kikulogの議論を読んでヒヤリとしました。


<なぜそう思ってしまったのか>


なぜ私は、9.11をアメリカ政府の自作自演と真っ先に思ってしまったのでしょうか。


1980年代の難民キャンプでの活動や、90年代に東南アジアを行き来して、右手で援助、片手で搾取と思いたくなるような状況を見て、詳細な地図まで作ってしまうアメリカの情報力や影響力の大きさに驚いていました。


現地のNGO(民間団体)の活動では、アメリカの影響力についてさまざまな情報が広がっていました。


「開発援助で作られた港には、アメリカの潜水艦用の基地が作られている」
アメリカのPeace corpsボランテイア(海外青年協力隊のような組織)はCIAのスパイ活動だ」
まあ、これなんかは陰謀論というよりも、非常時には軍事用に使われる規模の国際空港を作っているあたりから、少し現実味はありますね。


びっくりしたのは、「アメリカはプランテーションに人工降雨の技術を使っている。だから周辺の地域は干ばつになる」といったもの。
周囲には水量豊かな川がまだまだある地域だったので、それよりは農業用水を整備したほうが簡単そうです。


現地の人たちの情報にも注意が必要かなとブレーキがかかったのですが、やはりこうした地域で暮らしていると不気味な程にアメリカの力が感じられてしまったのだと思います。


東日本大震災のあとに、「アメリカによる人工地震テロ説」があることを知った時には、さすがに馬鹿なんじゃないかと思いましたけれど。


<知ったかぶり>


「馬鹿なんじゃないの」と思った時には、同時に、自分の9.11当時を思い出して恥ずかしいと思いました。


たぶん、世の中わからないことが多い中で、何か結論めいたものを求めたかったのだろうと思います。
人よりはちょっとだけ、東南アジアでのアメリカの影響について実際に知ったあたりから、なんとか背伸びをしていたのだろうと。


まあ、ひと言で言えば知ったかぶりですね。


陰謀論」という言葉は目から鱗でした。
その言葉を、自分自身の失敗に基づいて理解したのでした。




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