事実とは何か 16 <オキシトシンの効果>

「子どもから見たお産と産後の母子の関わりについて〜バースハピネスから考える〜」の「3. オキシトシンのお話(オキシトシンと母体の関係性)」があります。


2000年代に入って、オキシトシンの名前をよく耳にするようになりました。助産師の中でも話題にする人が増えました。
おそらく「オキシトシンー私たちのからだがつくる安らぎの物質」晶文社、2008年)あたりが影響しているのかもしれません。


オキシトシンで検索すると、頼みの綱であるWikipediaでさえ「『幸せホルモン』『愛情ホルモン』とも呼ばれストレスを緩和し幸せな気分をもたらす」と書かれているので、今回はリンクは見合わせました。
皆さんも是非、オキシトシンで検索してみてください。
驚く世界が開けてきます。


オキシトシンは、産科病棟では陣痛促進剤や子宮収縮剤として日常的に使われている薬品で、アトニンと呼ばれています。その開発された頃の話はこちらの記事で紹介しました。


その添付文書の【効能・効果】には、「子宮収縮の誘発・促進並びに子宮出血の治療の目的で次の場合に使用する」としか書かれていません。
「幸せになる」という効能はまだ追加されていないようです。


冒頭の講演内容で、以下のように書かれた部分があります。

 オキシトシンが十分に分泌されなかった場合、点滴からこれを注入する。内因性のオキシトシンが娩出前に眠気と気持ち良さをもたらし、娩出後子育てにのめりこませる働きを持つ反面、点滴から入れられたオキシトシンは脳内に入らず、陣痛を増強させる働きしかない
 また、内因性のオキシトシンには娩出後に恍惚感を残すという作用もあり、赤ちゃんが周囲の雰囲気を感じ取るということも踏まえて、やはりお産においては内因性のオキシトシンの分泌が最も重要であるといえるだろう

内因性のオキシトシンは幸福感をもたらすけれど、陣痛促進剤のオキシトシンは陣痛増強しか働かない。
なんだか変ですよね?


それなのに、「外から投与するオキシトシン」でも自閉症になんらかの効果を期待して研究している人もいるわけですし。



オキシトシンの薬理作用とか生理学的なことはど素人のレベルなのですが、ただ日常的にお産を見ている立場からすると、お産のどこかで眠気を感じるタイミングがあるということは言えそうです。
ええ、オキシトシンを点滴している産婦さんでも。


そのあたり、次回に続きます。




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