「医療介入とは」 まとめ

最近私が接する妊婦さんたちは、出産時のご希望や質問をしても「無事に生まれればそれでいいです」とおっしゃる方が増えてきました。


「分娩台はいやだ」「点滴はしないで欲しい」「自由な格好で産みたい」という方もほとんどいらっしゃらないです。
「前回のお産は促進剤を使えず時間がかかりとても疲れたので、今回は適切に使って欲しい」という声は時々、経産婦さんにはありますが。


まあ、「医療介入はしないで」というご希望を持った方々とは、うまく施設間で棲み分けができ始めたという点もあるかもしれません。


それでも、特に初産婦さんからは「できるだけ促進剤は使わないで『自然に』産みたい」「会陰切開は避けたい」といった希望はあります。
その都度、「こういう状況ではお母さん、赤ちゃんともに必要なことがあります」と説明すれば、ほぼ全員の方が「必要があれば構わない」というお気持ちに変化するようです。



必要に応じてされる医療行為が、なぜ最初から「不必要な処置」のように受け止められるのか気になります。
それでも、1990年代から2000年代にかけての出産時の医療介入に対する批判ムードの時代に比べれば、受け止め方の変化を感じるこのごろです。


ただ、またもし、冒頭のような気持ちを「主体的なお産ではない」といった批判的な風潮がでてきたら、反動から反動へと振り子が大きく揺れて、医療介入に対する批判も強くなるのかもしれません。


「医療介入」ってどういうことだろう。
素朴な疑問を書いたものです。


<2012年>
1. 医療介入とは
2. 初産と経産
3. 初産と経産 続き
4. 妊娠の診断
5. エコー
6. 妊婦健診について
7. 半世紀前の妊婦健診
8. 未受診、飛び込み分娩のリスク
9. 「過度」の医療介入とは何をさしているのか
10. 「科学的根拠に基づく快適で安全な妊娠出産のためのガイドライン
11. WHOの59か条、お産のケア実践ガイド
12. 点滴、血管確保、子宮収縮剤 その1
13. 〃    その2
14. 〃    その3
15. 〃    その4
16. 〃    その5
17. RQ、分娩時のルテインの点滴
18. 血管確保のまとめ
19. 胎児の安全がわかるようになった時代
20. 胎児生存を客観的に確認する方法
21. 胎児とはどのような存在だったのか
22. ドップラーとCTGのトリビア
23. CTGと助産婦、1970〜90年代の変遷
24. 「自然なお産」と分娩監視装置
25. 分娩監視装置ー胎児の状態を連続して知る為の唯一の機械
26. 産婦さんの快適性と胎児の快適性
27. 分娩監視装置で広がった世界
28. 〃  続き
29. RQ、分娩時胎児心拍数の観察は?
30. CTGの普及と助産婦の「自然なお産」の時間的なずれ
31. 陣痛計と子宮収縮剤の開発
32. 陣痛計と子宮収縮剤、続き
33. 産婦さんにとって快適な姿勢
34. 分娩台と分娩室
35. 分娩台、助産師にとっての快適性
36. 分娩台と医療安全対策
37. 院内感染標準予防対策の始まり
38. 畳の上のお産について
39. 畳や床の上のお産、清潔と不潔
40. 分娩台に対する感じ方のあれこれ
41. お産と重力
42. 主体的なお産とはどのようなことか
43. 「産ませてもらう」お産
44. 「産ませてもらう」と感じる時は?
45. 「産ませてもらう」と感じる時ー妊娠編
46. 〃 ー出産編
47. 「自分で産む」という表現
48. 再び、「主体的なお産」とは何か
49. アクティブ・バースとフリースタイル分娩
50. 「仰向けのお産」は医療者の都合?
51. 「終始自由な体位」とは何かー分娩第1期
52. 「分娩第2期のケア」学生時代の教科書より
53. 赤ちゃんを「取り上げる」こととトリアゲバアサン
54. 昔は「自由に」動いていたのか
55. 物のなかった時代のお産
56. 「血のケガレ」とさまざまな風習
57. 明治から昭和の出産と風習
58. 旧産婆と近代産婆の登場
59. 近代産婆と仰向けのお産
60. 近代産婆の分娩介助、臍の緒を処理する知識と技術
61. 近代産婆と急がせないお産
62. 近代産婆に関する資料1 開拓産婆
63. 近代産婆に関する資料2 信州の産婆
64. 産婦さんがお産のあいだ横になれるということ
65. 仰向けの出産、近代産婆から助産婦へ
66. 仰向けのお産と「いいお産」、1990年代初頭
67. 分娩台への批判、1990年代後半
68. 再び分娩台について
69. 出産の医療化と分娩室
<2013年>
70. 臍帯をいつ切るかについての医学的議論
71. 臍帯を切るタイミングの自然と不自然
72. 臍帯を切ることに関するあれこれ
73. 助産師と超音波検査
74. 助産師と医療機器に関する法律
75. いつ頃から助産師が超音波画像診断機器を扱うようになったのか
76. 1990年ごろの助産師が使った超音波診断装置とは
77. 実際に助産師はどのように超音波診断機器を使用しているのか
78. 院内助産システムと超音波画像診断機器
79. 「助産師業務要覧」と超音波画像診断機器
80. 助産師と超音波画像診断機器、現在の法的解釈
81. 助産師と超音波画像診断機器、本当に必要?
82. へその緒を誰が切るか
83. 臍帯切断は医療行為以外の何ものでもない
84. 胎盤を食べさせないための啓蒙
85. 「水中分娩」の適応と要約
86.  分娩監視装置と30代の出産
87. CTG(分娩監視装置)は何を表し、何をどうやって知ることができるのか
88. CTGは何を表しているのかー生活者としての胎児
89. CTGは何を表しているのかー陣痛の個人差
90. CTGと看護技術
91. CTGに対する看護技術化の変化
92. CTGに対する看護技術化の遅れ
93. 「医療を使わない助産」のようなものの幻想と幻滅
94. 導尿(どうにょう)
95. 導尿とWHOの59か条
96. 「体感」と「データー」による客観化
<2015年>
97. 輸液の歴史
98. 臍帯と胎盤はどのように扱われてきたのか
<2017年>
99. 医療と植物園
<2018年>
100. 病院はどこに建てられたか
101. なぜヒトは臍帯切断が必要か、そしてそのために道具が必要か
<2019年>
102. 重荷のケア
103. 診断名がつく
104. 切迫早産
<2020年>
105. 新型コロナ感染と妊娠の記事
<2021年>
106. 未曾有の事態でもこの国の医療はぶれない
107. 「介入」と「恩恵」
108. 子宮の中に残さず、妊娠を終了させる
<2023年>
109. どこまで対象を把握するのか
110. 「熱中症」が常識になるまで40年