数字のあれこれ 18 <10秒とか、45秒とか>

昨日の記事にある踏み切り事故は、その後のニュースで、自殺のために踏切内に留まった方を助けようとしたことが新たに伝えられていました。


その電車の前に立ちはだかろうとした男性は何を思っていたのだろう、助けに入った男性はどんなに恐怖だったことだろう、そして急ブレーキをかけながらその二人を見ていた運転士さんはどうしていらっしゃるのだろう。
そしてそれぞれのご家族や友人は、どんな思いで今をすごされているのだろう。
本当にいたましいことです。


自殺のために踏切内に入った人を救助するのには、本人の抵抗もあって相当力が必要だったかもしれません。
ただ、昨日書いた私の経験でも、もし踏切周囲に誰もいなくて、その女性が渡り切るのにあと2〜3秒ぐらいかかるようだったら、私もホームから飛び降りてその女性をなんとかしなければならなくなっていたと思います。


動けない人というのは、案外重いものです。
また、以前、踏切のレールに自転車の車輪が入り込んで立ち往生していた高齢の男性がいました。80代前後だったでしょうか。
手伝おうとして声をかけたら、「ほっておいてくれ」と言わんばかりに強く拒否されてしまいました。
もしかすると、自転車の脱輪ももどせないぐらいに老いた自分(男性としての自分)を認めたくないのかもしれません。
その時には、電車が通過した直後だったので、次に遮断機が降りるまでは2〜3分は時間があると予測して、その男性が踏切の外に出るまで離れた所から見届けました。


そのわずか1〜2分の長く感じたこと。


<救助にどれくらい時間がかかるのか>


今回の事故に関するニュースでは、秒単位の数字が印象に残りました。


たとえばNHK NEWS WEBの「踏切に入ってから約45秒で事故か 川崎2人死亡踏切事故」(4月17日5時02分)ではこう書かれています。

これまでの調べで、高齢の男性が踏切に入ったあと、児玉さんが遮断機をくぐって入り、高齢の男性を救出しようとしたと見られています。


その後の調べで、防犯カメラの映像などから、高齢の男性が踏切の中に入ってからおよそ45秒間で事故が起きていたことが警察への取材でわかりました。


今朝の「踏切2人死亡事故 接近電車の危険認識も救助か」(4時51分)では、さらに細かい時間の分析が書かれていました。

防犯カメラの映像から、児玉さんは駅の改札付近から踏切に向かったということですが、その後の調べで、男性が立ち入った踏切に向かっておよそ10秒にわたって大声で繰り返し呼び掛けている様子が目撃されていたことがわかりました。


児玉さんは男性を引き戻そうとしていたとみられ、その後、踏切に入って数秒後に事故に巻き込まれていたことが警察への取材でわかりました。

駅で電車を待っていると、45秒、いえ10秒でさえも長く感じるのに比べて、電車が近づき始めるとホームにはかなり速い速度で入ってくるのだと感じることがあります。


たとえば、通勤途中で私は各駅停車から急行に乗り換えるのですが、「急行がくる」アナウンスとともに200mぐらい向こうにすでに急行電車が見え始めます。
目の前に到着するのに何秒ぐらいかかるのだろうと、以前、目算でカウントしてみたのですが、わずか12秒でした。



停車するために徐行し始めた電車でさえこのスピードですから、踏切内で誰かを救助するには数十秒は短すぎるのかもしれません。


その路線には近年センサーがつけられたのだと思いますが、安全確認のために時々急停車することがあります。
結局は何もなくて運転再開されるのですが、事故の可能性が少しでもあれば早めに列車を止めることは必要だと、あらためて感じたのでした。




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