水のあれこれ 65 <水の中で同調する>

7月15日から世界水泳がブタペストで開かれています。
毎日、録画を観るのに時間に追われていますが、水の中っていいなあと観ているだけで元気をもらっています。


それと、番組の冒頭や途中で映し出されるブタペストの街が、とても美しく印象的です。
中世からの建物が続き、その前をゆったりと流れる川というか運河でしょうか。


川沿いに車道もあるようですが、川沿いは人が歩くように整備されていて、人工的でありながら風景を損なわない、そんな感じです。
そこを歩くだけで、時間がゆっくりになり、人生が豊かに感じられそうです。
最近、都内でも少しずつ水辺が整備されてきたのですが、日本とヨーロッパの水辺に対する文化や歴史の差を感じる映像でした。



さて、十数年前からシンクロナイズドスイミングも録画して観るようになったのですが、その頃に比べると、どの国も同調性が「圧巻」と感じられるほどレベルが高くなったような印象です。
あくまでも、ど素人のお茶の間評論家の感想ですが。


シンクロナイズドスイミングの得点がどうなっているのかよくわからないのですが、「すごい。これくらいぴったり息があっていれば、90点ぐらいにはなるのでは」と思う国が80点台前半だったりするので、素人の主観とは違う複雑な採点方法のようです。


その中でも、ロシアの同調性は本当に別格で、最初から最後までこちらもぐいぐいと魅き込まれていくものがあります。
日本の演技も、いつも鳥肌が立つほどすごいと思って観ているのですが、ロシアとの違いは何だろうと言葉で表現できないものがあります。


こちらの記事で、「陸上で全員の動作を合わせるだけでもとても大変なのに、それを水の中で揃えていくというのはもう常人にはできないこと」と書きました。
競泳選手が百分の一秒のレベルで泳ぎの再現性を追求していることだけでもすごいことですが、シンクロの場合は他の選手との動きを合わせる同調性まで求められるのですから。



その同調性への挑戦が、シンクロナイズドスイミングの魅力だと私は感じています。


そのシンクロナイズドスイミングの名称を「アーティスティックスイミング」に変更することが決定したというニュースが、シンクロの開催中にありました。


もともとは水中バレエと呼ばれていたようなので、そこへの回帰を求める人たちの声が強くなったのでしょうか。
ロシアの同調性を追い越せる国が当分現れそうにないので、別の方向性を求めているのかなとふと感じたのですが、その後ニュースを追ってみるとそんな雰囲気もあるようです。


まあ、そのあたりの政治的な動きはよくわからないのですが、もはや水中バレエとシンクロナイズドスイミングは分けたほうがよいのではないかと思うほど、求めている技術が違うように思えます。


こんな例えをするとシンクロ関係者の方々には失礼かもしれませんが、あの葛西水族園のグルクマに1匹のマアジが混ざって泳いでいてもわからないぐらいの魚の同調性を再現するくらい難しいことに挑戦しているのがシンクロナイズドスイミングではないかと、私には思えるのです。


正直なところ、私には選手のメイクや衣装、あるいは音楽というのは二の次で、たとえ男子シンクロや男子新体操のように派手な演出がなくても楽しめる。
それがシンクロの魅力のように思います。まあ、好みの問題なのでしょうけれど。


そして順位を競うことよりも、それぞれの国の同調性の個性を楽しむ、でいいのではないかと思っています。



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