坂川の遊歩道を歩き、歴史を知ったあと、その水源地に行ってみたくなり、一週間後の4月上旬に出かけてみました。
水色の線をたどっていくと、流山と柏の間に弧を描くように小さな流れがあり、さらに左岸側からの数本の水の流れを集めています。
そのうちの一つの流れのそばにあるのが野々下公園です。
東武アーバンパークラインの豊四季駅から歩くのが近そうです。
地図で見ると坂川に向かってすり鉢のような地形のようにも読めましたから、散歩の始めは下り坂の方が疲労感が少ないかなと思いました。
豊四季、なんだかすてきな名前の駅名で、どんな場所なのか楽しみになってきました。
*天形星神社を目指す*
豊四季駅を降りて北口から住宅街へと向かいました。ところどころに畑があって、もうじき収穫の時期でしょうか、白いカブが土から見えています。蝶が飛び交い、花が咲き、のどかな春の風景です。
しばらく行くと、地図にはない不思議な場所がありました。
雑木林が残っているのですが、そこに道があり、「長崎散策の森」と記されていました。
この「森」の用地は、土地所有者のご理解を得て、流山市が土地を借用し、地域の皆様にご利用いただいている「森」です。
車道を避けるような近道になっているのですが、なんとも静かで落ち着いた場所です。
足元を見ると、スミレがあちこちに咲いていて秘境の趣です。これだけでも訪ねてよかったと満ち足りた気分です。
そのすぐ先に、最初の目的地である天形星(てんけいせい)神社がありました。
地図で見つけたその名前が、今までに耳にしたこともないもので、是非訪ねてみようと思ったのでした。もしかすると、坂川の水の神様かもしれませんしね。
「社殿 改築記念の碑」によれば、このあたりは戦国時代からすでに集落があり、寛文2年(1662年)にこの神社が建てられたようです。
そして「石見社の由来」にこの辺りの新田開発の歴史が書かれていました。
「いわみさま」は寛政年間、徳川幕府の房総三牧の野馬方総取締まりをされた旗本岩本石見守をお祀りしたお宮です。
長崎、野々下の両村は三牧の一つ小金牧の野付けの村として隣接した牧内に野馬入り新田を開拓することは多年の願いでした。この願望を認めてくれたのが石見守で寛政6年のことでした。この新田を原新田と呼びました。林畑です。この神殿には株の育成、松、杉、橘等の植林がなされ、薪、炭の生産も成果を上げ豊かな村となりました。
村民一同、石見守の人徳のお陰と感謝の念を深めました。報恩の一念から文化9年には「岩本大明神」の石碑を建て、明治初年にはこの碑を御神体として長崎一丁目七四二番地に境内を定め、社を設け、鳥居も建てて代々祭祀を続けてまいりました。昭和六十二年七月十五日天形星神社境内に造営竣工された新社殿に遷座されました。
小金牧によれば、軍馬の放牧場だったようです。
200年ほど前の、この辺りの生活はどのような感じだったのでしょうか。また知らないことがたくさん出てきました。
天形星神社の前には、広い敷地のカトリック豊四季教会がありました。ホームページを読むと、元々は松戸教会から始まり、柏地区の信徒の急激な増加から1971年に柏市東台に柏教会が建てられ、1991年にこの地に移転してきたようです。
豊四季教会の近くを歩くと、野々下公園の方に向かって、崖のような場所もありました。
*野々下水辺公園へ*
おそらく1960年代から70年代ごろに開発されたのではないかと思われる住宅街の道を下っていくと、反対側に丘陵があり、そこから先が開けています。
野々下公園までその丘陵の裾のそばを歩いたのですが、あちこちから水が染み出している場所がありました。
子どもの頃に遊んだ秘密基地を思い出します。
この水が集まって坂川になるのかと感動しながら歩くと、整備された公園に出ました。
真ん中に池があり、滔々と流れる水路があります。
ああ、ここが水源地なのかと駆け寄りました。
そばに公園の説明板がありました。
野々下水辺公園(北千葉導水路)
野々下水辺公園とは、小川の雰囲気を再現した、のんびりと水辺の散策ができる公園です。
せせらぎには北千葉導水路の水流の一部を利用しています。
北千葉導水路の3つの役割
北千葉導水路は利根川と江戸川を結ぶ全長28.5mの人工河川で、以下の3つの役割を果たしています。
大雨や台風のとき、手賀沼、坂川の水を排水することで氾濫を防ぎます。
2. 江戸川の都市用水の確保
東京、千葉の飲み水の重要な水源となっている江戸川に利根川から導水し、江戸川の水量を確保します。
3. 手賀沼等の水質浄化
「小川の趣き」の水路をたどると、そこにはまるで滝のように流れ出る場所がありました。
公園内の「小川」の下を通っている導水路からの水でした。
手賀沼を訪ねた時に、目にしたような気がします。あの時には、まだまだこの全体像が全く見えていなかったのでした。
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