青山上水の半分を歩いて数日後に、また乃木坂駅から今度は六本木、飯倉、芝方面へと、残りの半分を歩きました。
乃木坂駅からすぐのところに東京ミッドタウンがあり、その中に檜町公園があります。
以前ここが防衛庁だった頃、このあたりを歩いたことがあるのですが、こんな公園が昔からあることに地図を眺めていても気づきませんでした。
再開発で手入れがされたこともあるのでしょうが、池を中心に木々に囲まれた美しく静かな庭園です。
驚いたのは、青山上水が通っていた外苑東通りからこの公園に向けて、今もかなりの傾斜があったことでした。公園内に小さな滝があったのですが、地形からすると人工的に作られたものではないのかもしれません。
防衛庁はこんな急斜面のある土地に建てられていたのですね。
六本木の交差点で、あの喫茶店アマンドの横から急傾斜で下る道をみて、また驚きました。
「六本木ってこんな坂のある道だったのか」と。
青山上水が尾根伝いに作られ、その後、外苑東道路になったことがようやく見えてきました。
30年ぐらい前、渋谷から六本木へと流れて遊んだ時代もあったのですが、もっと平坦な土地だと思っていました。
さらに飯倉までいくと、物々しい警備の中にロシア大使館があります。
地図ではわかりにくいのですが、ロシア大使館は青山上水が作られた尾根の「きわ」に建てられていました。大使館の裏はかなりの急斜面になっているようです。
そして飯倉交差点に立つと、左右に道路が下がってそこが尾根だったことがわかります。
目の前にある東京タワーの近くが、こんな高低差のある場所だったこと、その理由が交差点近くにある芝給水所までの「水の道」にあったことが、つながりました。
<青山上水から古川方面へ>
六本木交差点から、急斜面になっていることが気になって、後日そこを散歩してみようと地図を眺めました。
そして散歩のコースが決まりました。
青山上水の尾根と、渋谷川から古川沿いの高低差を確認しながら歩いてみようと思い立ちました。
急な坂道を降りると六本木ヒルズがあり、そこに毛利庭園があります。Wikipediaの説明を読むとウイスキーの工場があったようなので、やはり水が豊かにあったのでしょうか。
その少し先に、青山上水の尾根に向かって急な坂道があります。
その角に、国際文化会館が、六本木にいるとは思えないような鬱蒼とした森の中にあります。
この国際文化会館を見たいというのも、今回の目的のひとつでした。
30年ほど前に、インドシナ難民キャンプで一緒に働いたアメリカの大学生が日本を旅行するために来日した際、ここに宿泊をしました。その時に、来たことがあります。
六本木の駅から歩いた記憶では、平坦でしたし、その先に急な坂道があったことも気づかないほどでした。
その後、鶴見良行氏の著書の中で、記憶に間違いがなければ確か、鶴見良行氏がベ平連の活動をされていた頃に、この国際文化会館で集会を開いたことが書かれていました。
いつか、もう一度訪ねてみたいと思っていたのですが、まさか「都内の上水と高低差」というテーマでつながるとは思ってもみなかったのでした。
そこからしばらく、左手に青山上水のあった高台側との高低差を感じながら歩くと、じきに「一の橋」にぶつかります。
地図では高速道路と川が、ぐいっと東京湾側へと右へ大きく曲がっている場所です。
そこを流れている川は、天現寺橋あたりで名前が渋谷川から古川になることは何度となく、川関係の本で読んでいました。
なんで都会の真ん中で、こんなに大きく川が蛇行しているのだろうと、地図を見るたびに気になっていたのですが、渋谷川の説明には、「天現寺橋から下流の古川では、古い石積護岸が今も残る」とあるので、もともとの川の流れがこうだったのでしょうか。
気になっていた川の流れを、実際に歩いて目で確認できて大満足の散歩でした。
そしてもうひとつ、この日の散歩の目的は、古川沿いにある在日韓人資料館を訪ねることでした。
地図を眺めていたら、偶然、見つけました。
その散歩の日から1ヶ月後に、その首長から関東大震災に関する迷走した発言を聞くことになるとは思いもよらないことでした。
「散歩をする」まとめはこちら。