散歩をする   81 <水の神様>

先日歩いた笹塚周辺の地図を見ているうちに、牛ヶ窪を超えて玉川上水新水路の上を走る都道との交差点から北東の方向に、ちょっと蛇行した道が始まっています。


以前、玉川上水新水路を歩いた時に、玉川上水新水路よりも低い位置に街が広がっていたことが印象に残っていました。
もしかしたら、玉川上水から神田川方向へと流れていた川の痕跡かもしれないと地図をたどると、暗渠化された歩道が神田川に向かってところどころ地図にあります。
ここを歩いて見たいと思いました。


おそらく、神田川笹塚支流にの「地理」書かれている「さらに右岸から、笹塚駅付近の牛窪、幡ヶ谷駅付近の地蔵窪、初台駅付近の小笠原窪(出羽様の池、旗洗池)などから流れ出す支流の湧水を集めて流下する」の一部だろうと思います。


地図だけでは道に迷うかもしれないという心配は杞憂で、実際に歩くと暗渠の上に歩道があるので道なりに歩けばたどることができましたし、何よりもやはり微妙に下り坂になって神田川方向へと続いていました。


この道を歩いてみようと思ったもう一つの理由は、半径数百mぐらいの場所に氷川神社が3つあったことでした。
ひとつはこの暗渠沿いにあり、もうひとつは方南通りへ出て東大付属前交差点にあります。
もうひとつは、神田川を渡って中野坂上交差点から山手通り沿いにしばらく行ったところです。


氷川神社


都内を散歩しているとよく見かける氷川神社ですが、以前目黒川を歩いた時に見た池尻大橋にある氷川神社が、高い石垣の上に建てられていて印象に残りました。
目黒川を見下ろすように建てられているので、何か「水」に関係した神社なのだろうかと漠然と思ったのですが、湧水や川があるところには神社があるのでそれ以上は調べずにいました。


氷川神社を読むと、大宮市に「東京都・埼玉県近辺に約200社ある氷川神社の総本社」があるとのこと。
地図で見ると大きな公園の中に、池がありその側に氷川神社があるようです。
駅からも近いし、深い森がありそうなので、残暑が厳しくても大丈夫だろうと出かけました。


大宮公園駅から歩いてすぐ、県立歴史と民俗の博物館があります。
「水とくらし」という展示室の説明には以下のように書かれていました。

利根川・荒川という2大河川をはじめとする諸河川は県内を縦に走り、時に大雨による氾濫や浸水などの水害をもたらしてきました。その一方で、雨は作物の生育や生活のためになくてはならないものでもあり、洪水と同様、日照りや少雨も人々の生活を脅かしました。

最近、こういう何気ない一文がズキンと心に響きます。


きっとこういう地形と気候が、氷川信仰が「農業用水として役割が大きい反面氾濫を起こす暴れ川・荒川の本支流域に多く」広がっていったのでしょうか。


大宮氷川神社は予想以上に広い池が広がっていて、「蛇の池」という説明書きがありました。

古来、蛇は水神の化身とされご祭神の須佐之男命はその大蛇(八岐大蛇)を退治した伝承に困り水を治める神とされる。ご祭神の神威神徳に由来し、この池は蛇の池と呼ばれる。
蛇の池は境内の神池やその先に広がる見沼の水源の一つで現在でも地中深くより水が湧き出ている。この神秘的な湧水があった為に、この地に当社が鎮座したとも伝えられ氷川神社発祥の地と云われる。


地図で見るとこの大宮氷川神社の周辺は蛇行した道で取り囲まれていて、住所も「高鼻」となっているので、周囲よりも小高い場所に本殿があるのだろうと行く前には想像していました。
ところが実際にはそれほどの高低差もない場所でした。


見沼の水神様はやはり「田の神様」で「田のそばや用水路沿いに祀られていることが多い」あたりでしょうか。





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