散歩をする 36 <塩の道を歩く>

川辺のテラスでコーヒーを飲み、船堀橋を渡るのであれば1時間ぐらいで散歩は終了になってしまいます。
行く前に地図を眺めながら、もう少し歩く計画をたてました。


江東区小名木川のように、江戸川区東西に流れる運河がいくつかあるようです。
以前から気になっていた新川を歩いてみることにしました。


Macの地図と航空写真を見ると、ところどころ新川の川辺には道が無いように見えるので、川沿いをずっと歩くことはできないかもしれないし、コンクリート護岸の用水路のようなものかもしれないとイメージしました。
距離は小名木川よりは短いのですが、川から離れたり迂回する必要があれば、端から端まで歩くのは無理かもしれないので、歩けるところまで歩いてみようと思っていました。


水上派出所のそばには西水門広場があり、そこからは私の想像を越える整備された歩道が始まっていました。


江戸川区の施設「新川さくら館」のサイトの、新川周辺のみどころにあるように、東水門から西水門まで両側に遊歩道が整備されています。
まるで、江戸時代にタイムスリップしたか、映画撮影所を歩いているかのようです。
全長約3kmの歩道が、周囲の住宅街とほどよい間隔を保って続いていました。


休日のためかけっこうな人が歩いていたのですが、歩道の幅もゆったりとしているので混雑している感じはありませんでした。
川面を眺め、魚が飛び跳ねる様子や水鳥が泳ぐ姿、あるいは周辺の水草や木々をぼーっと眺めているだけで、一日を過ごせそうです。


Wikipediaの新川の歴史には、新川から小名木川は行徳の塩を江戸へ運ぶ重要な運河として発展してきたことが書かれています。
その後、運河の役割や姿は時代とともに変化し、過剰な地下水の汲み上げによる地盤沈下ゴミや排水を流すための厄介な存在とされてきた1960年代からは、こんなに美しい水辺の風景になるとは誰も予想もしていなかったことでしょう。


こういう人工的なものやお金のかかることへの受け止め方はいろいろとあると思いますが、新川の遊歩道をゆったりと歩いている人たちを見ると、なかなか良いのではないかと思います。


荒川・中川から新川の遊歩道を経て、旧江戸川まで小一時間で到着しました。
旧江戸川の対岸は千葉県です。
江戸川区を横断して、都県境の川を確認したことになるので、なんだか充実感。


もう少し歩けそうでしたので、新川の元の川になる「古川」まで行ってみようと思いつきました。
地図には細く青の線が蛇行しているぐらいにしかわかりません。
なぜこの川に興味が沸いたかというと、日本で初めての親水公園があることを散歩の前に知ったからです。


旧江戸川を少し一之江方面へ向かって歩くと、江戸川から分岐した旧江戸川と新中川が合流するところがあります。その近くに、古川親水公園がありました。
川幅1mもないこじんまりとして浅い流れですが、きれいな水が流れていました。
「1970年頃までには悪臭が漂ういわゆるドブ川となっていた」ことが信じられないくらい、近隣の住宅街を引き立てるような水辺でした。


人工であれ、自然であれ、やはり美しい水辺というのは人の心を落ち着かせてくれるものですね。




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