散歩をする 35 <川の安全を守る>

春の気配を感じ始めた暖かい日に小名木川を歩いたのですが、あっという間に川風が強くなり、川に面したテラスでのんびり川面を眺めようと思ったのにできませんでした。


中川船番所資料館前にある、旧中川にかかっている橋を渡るだけでも強風に煽られそうな川風に驚きました。
本当は、その橋を渡って、さらに荒川と中川にかかる橋を渡りたいと思っていたのですが、恐怖に感じるほどの風の強さに断念しました。


いつかはあの大きな橋を渡って江戸川方面へ行こうと、地図と天気予報の風速を見ながらその日を待っていました。


11月初旬かと思う気温から一転して夏日になった先日、江東区江戸川区の風速を確認すると2mほどでしたので、絶好の日だと思って地図を見ながら歩くルートを決めました。


東大島から水彩テラスへ>


前回は平日で、しかも強風だったので川辺には誰もいませんでしたが、今回は休日でお天気だったので、川辺はけっこうな人でした。
ベンチがたくさんあって川面をのんびり眺めている人、釣りをしている人、そしてカッターボートの練習をしている人など、こんなに川が近くにある日常生活を送っている人たちがうらやましいなと思いました。


テラスにあるカフェは、「川の道 水彩テラス」というようです。


コーヒーとドーナッツを買ってベンチでしばしの休憩、って散歩が始まったばかりなのですが、これをしたかったのでした。
目の前の公園の紅葉が始まった木々と、秋の青い空、目の前にはサギやカワウに似た水鳥がのんびりと羽づくろいをしていて、静かに川が流れています。


ああ、幸せ。
でも、今日はまだまだ計画があります。
先を急がなければ。


船堀橋を渡る>


2つ目の目的は、荒川と中川をまたぐ船堀橋を歩いて渡ることでした。
ほとんど風がなく、橋の散歩日和です。


「橋の総延長の内、荒川渡河区間は534.05メートルで、中川との間に5.5メートルの橋台を挟み、中川渡河区間は169.75メートル」とあるので、橋の部分だけでも709.3メートルはあるのですね。
どおりで歩いても歩いてもなかなか対岸につかず、10分ぐらいはかかったような気がしていました。


Wikipediaの「概要」には淡々と橋の構造が書かれているけれど、あれだけの水量や風に晒される場所に、巨大な橋を建設するための知識や技術に圧倒されました。
その施設を維持し安全を守ることがどれだけ大変なことなのか、考えるだけでも橋の上でくらくらとしそうです。


地図では、橋を渡って右に曲がったところに「東京湾岸警察署中川水上派出所」とあります。
もしかしたらかつての水上生活者と水上警察に関連した施設なのかと興味がわきました。
堤防上を歩いてもイメージしていた建物がなくて、見つけたのは小さな建物と警視庁の巡視船の船着き場でした。
まあ、そうですよね。「派出所」ですから。


ちょうどその時、派出所から1人の警察官が巡視船に乗って出かけて行きました。
あの人は、どんな偶然があってこの水上派出所で働くようになったのだろう。
巡視船に乗り、川の警備をするためにはどれだけのどのような業務があり、どのような知識が必要なのだろう。


川を歩くだけで、さまざまな施設があることを実際に見ることができて、そこにはそれぞれの膨大な業務が確実に行われているからこそ平和な散歩を楽しめる生活があるのだと、最近は自分の仕事と重ね合わせながら思っています。


世の中の、さまざまな仕事の生活史のようなものや、熟練していくまでの段階を知りたいなと思うようになりました。


川や周囲の設備の安全ひとつとっても、本当に知らないことばかりですね。




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