赤ちゃんに優しいとは 11 <「赤ちゃん」ってどの段階なのか>

久しぶりの、「赤ちゃんに優しいとは」です。


上野動物園パンダの赤ちゃんの成長・発達の様子が刻々と報道されていますが、6月12日に生まれて、6月14日に初めて体重と身長の計測が行われた時には143g、14.3cmだったのが、10月31日の16回目の計測では9.1kg、77.8cmですから、ヒトの子に比べてすごいスピードだなあとびっくりです。


ただ、興味深いのが、身体の成長のスピードに比べて、発達はゆっくりだという点です。
犬や牛などが、出生直後から自分で歩き始めるのに比べて、たとえば9月1日の10回目の計測の時点でも「四肢の力はますます力強くなり、前足をふんばって前進する姿も見られますが、四肢でしっかり立つにはいたっていません」とあります。
むしろ、ヒトの身体的自立に近いようなゆっくりさですね。


パンダの「赤ちゃん」といっても、ヒトと同じく、日齢や月齢によってそれが表現する状況は幅広いものだと印象です。
出生直後のまだ白黒もはっきりしていない小さな存在に比べれば、今はすっかりパンダの姿なのですが、やはり「なんだか赤ちゃん」ではあるのですが。


<ヒトの「赤ちゃん」とは>


日常的に使われる「赤ちゃん」という言葉ですし、特に私自身は職業柄、一日に何度も使わざるを得ない言葉なのですが、「どの段階の赤ちゃんなのか不正確な表現だなあ」とためらいながら使っています。


Wikipedia赤ちゃんもあっさりとした説明しかないところを見ると、おそらく生後1年間ぐらいのヒトの成長・発達があまりにも幅広すぎて、その世代を表現する言葉が未だに見つからないのではないかと思います。
Wikipediaだけでなく、手元にある周産期や小児科関係の本にも「赤ちゃんとは」という言葉の説明はまず見当たりません。
胎児と新生児、乳児の時期の区別がある程度です。


生後28日未満までの「新生児」にしても、教科書的な生後7日までの早期新生児とそれ以外の区別では不十分に感じるくらい、生後2〜3日あたりでの変化もまだまだ表現されていないのだろうなと日々感じています。


生後2日ぐらいまでの新生児と退院間近の生後4〜5日の新生児を比べると、後者は「人生の大先輩」の風貌になっているかのようです。
そこに生後1ヶ月ぐらいの乳児を一緒にすると、もう地上と宇宙の世界の差ぐらいに感じます。
まあ、これは私のいい加減な感覚ですけれどね。


ですから、「赤ちゃんに優しい」とか「赤ちゃんによい」とか耳にすると、それはいつのどの段階の赤ちゃんなのかがとても気になってしまいます。




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