数字のあれこれ 24 <パンダの身長測定>

上野動物園が時々公開している、パンダの身体測定の様子がとても愛らしいですね。


ヒトの出生直後の体重・身長測定と、それ以降、毎日体重測定をすることはあまりにも日常業務過ぎて、それが他の人が見たらどんな感情を起こすのか、あまり気にしていませんでした。
たしかに、出産を終えたお母さんのすぐ横に置いたインファントウオーマーの上で、出生直後の赤ちゃんの身長や頭囲、胸囲を測定していると、お母さんたちの熱い視線を感じることがあります。


パンダの場合、飼育員さんが手慣れた様子でパンダをごろんごろんと動かしながら測定しても、それもご愛嬌といった感じで微笑ましいのですが、ヒトの場合にはあまり手慣れた様子で測定すると「雑にわが子を扱われた」という印象になりやすいので、そこはヒトのほうがもっと丁寧にゆっくり測定しているかもしれません。


それでも、頭の周囲にメジャーをぐいっと巻いたり、身長を測るのに新生児のM字型に屈曲した股関節をグイッと伸ばす測定方法自体が、見慣れない方には乱暴に映るかもしれません。
その間、新生児は「何をするのか!」と言わんばかりに大泣きしますからね。
こういう出生直後の身体計測も、「お母さんと引き離し乱暴な医療介入」と受け止める方がいらっしゃって、それが助産院での出産を選ぶ理由のひとつになったことは忘れてはいけないのかもしれません。


測定方法自体は変えられないので、せめて「手荒く」見えないようにすることと、私は、生まれたばかりの赤ちゃんに一応、何をするのか説明するようにしています。
「身長を測りますね」「頭囲を測りますね」「怖くないですよ」と。
出生直後はギャン泣きだった新生児も、退院の頃にはあの体重計に乗せられる時にも、声をかければ泣かなくなる子もいます。
ホント、日々成長だと、身体計測しながらも感じます。


パンダの赤ちゃんも、最初は体重計に乗せられたり、身長を測る時はかなり緊張することでしょうね。


<さまざまな種のさまざまな身長測定>


パンダの赤ちゃんの身体計測の様子を初めて見たときに、驚いたのが身長の計測方法でした。
鼻のあたりからメジャーをあてていき、背中からお尻まで、その湾曲に沿った値を測っています。
最後の方は、飼育員さんの手が少しお腹側へと入り込む様にしているのですが、鼻からどこまでを測っているのでしょうか。
公開されている映像では、尾の部分は別に計測しているようにも見えます。


その様子を見て、20年ほど前に「そんな測り方は不正確であり得ない」と思ったことを思い出しました。
ヒトの場合には、新生児を仰向けにして脚を伸ばした状態で身長を測定します。
ところが、一緒に働いていたスタッフが、新生児を横向きにして、頭から背中、そしてお尻まで測定し、ちょうど体が曲がっているお尻から足先までを測定していました。
その方法だと、通常の測定方法に比べて「距離」が長くなる可能性があります。
でも、そのスタッフは出身の学校でその計測方法を習ったとのことでした。


ずっと、その方法は正確なのかが気になって、書店に行くたびに新生児の計測方法を探したのですが、1冊だけその方法も併記されている本がありました。本の名前は忘れてしまいましたが。


それからじきに、「脚をぐっと伸ばして身長測定をすると股関節に負担がかかる可能性があること」「新生児の正確な身長は測定不可能であること」から、身長測定は無理にしなくてもよいような話が広がりました。
それがどこまで信頼できる話なのか現場ではよくわからないのですが、いずれにしても以前ほどは脚をぐいぐい伸ばさず、「適当」に測っています。


ヒトもパンダのようにうつ伏せにして頭頂から臀部、そして踵まで裏側を測る方法もありかもしれないと、公開映像を見るたびに思います。


先日、ゴリラの赤ちゃんが生まれたニュースがありましたが、残念ながらまだ身体計測はこれからのようです。


さまざまな生物を、それぞれどのように測定するのだろうと気になりました。




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