存在する 10 <存在感に気づいた時には遅いこともある>

なぜ、いつ頃私がハシビロコウの存在を知り、動物園に会いに行こうと思ったのかもうきっかけは思い出せないのですが、その姿のおもしろさに最初は惹かれ、そして絶滅危惧種に指定されていたことでした。


私が子どもの頃の動物園や水族館というと、物珍しい動物を集め、動物にショーをさせて楽しむ場所のイメージでした。
まだ絶滅危惧種なんて言葉は、普段耳にすることはないものでした。
地球環境なんて概念もなじみのない時代でしたから。


初めてハシビロコウを見に行った時、絶滅危惧種であることが書かれていました。
Wikipediaハシビロコウの「人間との関係」では以下のように書かれています。

農地開発や牧草地への転換などによる生育地の破壊、石油採掘や農業・皮革廃液などによる水質汚染、家畜に踏みつけられることによる巣の破壊、食用・卵や雛も含めた飼育目的の狩猟・捕獲などにより生育数は減少している。1987年にワシントン条約付属書2*に掲載されている。生息数は1997年には12,000-15,000羽とする報告例があるが、2000年には5,000-8,000羽、2006年には10,000羽以下とする報告例もある。
(*はローマ数字)

人間による飼育期間が長くなるほど、攻撃性が高まる傾向がある。このため、人の手による繁殖は非常に難しく、世界的にも手詰まりの状態にある。


人間の影響が大きいのだろうと感じますが、人間もまた自然との闘いの中で生き延びる必要もあり、たとえ人間が関与しなくても、動物同士の中での力関係や感染症の広がりなどでも容易にあっという間に一つの種がこの地球から亡くなってしまうのかもしれません。


生物の保全という分野にはほとんど知識がなくて、何をどう考えたら良いのか私には大きすぎる問題なのですが、少なくとも「生物多様性保全活動」という言葉がある時代に生きることができ、葛藤することができてよかったと思っています。


ハシビロコウを過去の生き物にしてはいけない、そんな気持ちになることができたのも時代のおかげですから。



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