アイリッシュ・ダンスとタップダンス

今年はアイリッシュダンスが来日する年で、チケット発売日には購入して公演の日を楽しみに待っていました。
2014年2016年についで、3回目です。
なんでこんなに惹かれるのだろうと、自分でも不思議です。



席に着くと、カーテンの向こう側で最後の調整をしているのか、タップを踏む音が聴こえてきます。
聴こえるというよりは、地響きのように震動が伝わってくる感じ。
それだけで、期待感でいっぱいになりました。


今年は、今までに比べると衣装も控えめな黒が多かった印象でした。
途中で、ボーカルの方のスピーチの中でアイリッシュ・ダンス・カンパニーの創始者の一人が亡くなられたという話をされていたので、追悼公演のような意味合いもあったのかもしれません。
最初から最後まで、息を呑むように惹きこまれて、あっという間に2時間が過ぎました。
会場からも自然と手拍子が起きて一緒にリズムを刻んでいく楽しさが、アイリッシュダンスにはあります。


子どもの頃からたまにテレビでタップダンスを見ることがありましたが、足の動きはすごいと思っても、子どもだったからかそれ以上の興味は湧きませんでした。
10年ぐらい前だったか、偶然、ネットでアイリッシュダンスの映像を見ました。
上半身をほとんど動かさない地味な動きなのに、目が離せなくなる魅力を自分の目で観たいと思い、2014年に初めて観に行きました。


大好きなアイリッシュ音楽がバックミュージックのこともありますが、普通にギターとドラムだけとか、時には何も伴奏がない時もあります。
伴奏がなくても、タップだけで惹きつけられるリズムがあることに毎回、新たな驚きがあります。
さらに、いつもタップ音が聞こえるのではなく、時にバレエのような足の動かし方で、動いている音が全く聞こえないこともあるのですが、手足だけでの表現にまた惹きつけられます。


ダンスとか音楽にそれほどのめり込んだことがなかったのに、今になって夢中になることもびっくりです。
10代ごろに出会っていたら、きっとアイリッシュダンスの門を叩いたことでしょう。残念。


今年は公演を観ながら、タップダンスアイリッシュダンスの違いがふと気になりました。
帰宅してから、余韻に浸りながらアイリッシュダンスの映像を観ていたら、「Tap vs Irish Dance」を見つけました。


途中で、タップダンスのダンサーが上半身を真っ直ぐにしておどけて踊っている場面があります。それに対して、アイリッシュダンス側が上半身を好き好きに動かしてタップを踏んで「どうだ」と返しているあたりに、そうそうこんな違いだと思いました。


タップ自体は似ているのに、いろいろな表現方法が広がっていくのが面白いですね。


それぞれのダンスにはそれぞれの歴史があるけれど、抑圧されていた中で発達してきたという共通点があるとも言えるのかもしれません。
それをダンスとして芸術的に発展させるとともに、重い何かを感じさせる。
だから惹きつけられるのかもしれません。




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