つじつまのあれこれ  13 <水平という基準点を定める>

歩いている時や車窓から見つけた風景で、少し段差や高低差があるところを見つけると、その地域の歴史を知ってみたいと心が踊るこの頃です。


あちこちの歴史資料館や郷土資料館に展示してある過去の写真や、「渋谷の記憶」のような自治体が出版している写真集を眺めていると、わずか半世紀ほど前の都内23区でもまだ平屋建ての住宅や農地などが広がっていた風景を想像できるようになってきました。
あの段差はその辺りが少し小高い場所だったからだろうな、とか。


少しずつ4、5階建のビルや高層ビルに覆われて、いつの間にか昔のなだらかな丘だったことも、川に沿って急峻な地形があったことも、覆い隠されていった都内の風景です。


あちこちを歩いていると、昔の凹凸の地形そのままが利用されて、建物が建っていることがわかるようになりました。
道路に接する場所が、坂に合わせて斜めに作られていたり、坂を利用して1階部分は半地下になっていたり、道路面も水平ではなく斜めになっている場所もあります。


建物を建てる時には、地面をガーっと削って平らにした方が効率が良さそうなのにと思って見ています。
でも、掘った残土をどうするかとか、地質の問題とか、土地の所有権の問題とか、素人にはわからない問題がたくさんあって、現在のような複雑な地形をそのまま使った建物が織りなす街ができていったのでしょうか。


<水平に建てる>


建物の土台になる場所が平らではないところで、どうやって床が水平な建物がきっちり立てられていくのだろう。
最近、そのことが気になってめまいのような感覚になります。


以前、偶然にみたテレビ番組で、少し傾いているだけで住んでいる人が平衡感覚がおかしくなったという手抜き工事の話題がありましたが、実際のところはどうなのでしょうか。


東南アジアの村で暮らしていた頃は手作りの家だったのですが、竹でできた床はきしむのでそもそも水平にならないし、家を建てるところを見ていても、適当に木や竹を組んでいくので何かを測量している訳でもありませんでした。
でも、平屋建てならそれでなんとかなるのでしょうが、2階3階がある建物になると1階という基礎になる部分は大事ですよね。


当たり前のように家やビルが水平に建っているので、水平とは何か、勾配とはどうやって測定するのか、その基準になるものは何か、どうやってその基準を見出したのか、全く知らないまま生きてきたことにめまいがするのです。



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