数字のあれこれ  41 < 水準点と水準原点、標高と海抜>

散歩をしていると、海抜が書かれたものが目に入るようになりました。
そうした標識がそれまでも同じように存在していたのに、見えているはずなのに見ていなかったこともあると思いますが、私自身の東日本大震災の記憶からより見えるようになったこともあるかもしれません。
あるいは、標高20mぐらいの場所にある新しい標識を見ると、実際に2011年以降、そうした標識が増えたのかもしれませんね。


先日のリンド技師の記念碑から、「水準点」という言葉が気になっているのですが、昨年行った地図と測量の科学館の展示でも確か詳しく説明があったと思います。
「確か・・・」というぐらい、やはり数字に関するものは避けたいという苦手意識からなんとなく読んで通り過ぎたのでした。


江戸川水位尺(Y.P.。Yedokawa Peil)という「川の水位を図るための基準点」がある清龍寺のそばを実際に歩いて見て、水準点とその周囲の土地との差が私にはよくわからないぐらい特徴のない場所だったような気がしたのですが、なぜリンド技師はそこを基準点としたのだろう、そんなことが気になっています。


基準点、言い換えれば「ゼロ」という高さを決めるということなのではないかと思うのですが、ゼロとはなんだろうという無とは何かのような禅問答みたいですね。


<「日本水準原点と水準点」>


国土地理院のホームページにある「ことばのミニ辞典」に、日本水準原点と水準点の説明があります。

 高さの情報は私たちの生活に欠かせないものです。上下水道をはじめ、水を導き有効活用する工事などでは、土地の高さの測量が必要です。
 我が国の土地の高さ(標高)は、東京湾の平均海面を基準(標高0m)として決められています。海面はいつも動いているので、東京湾の平均海面を地上に固定するための設置されたのが、日本水準原点です。

 日本水準原点は、地盤がとてもしっかりした武蔵野台地上の国会庭園(北庭)にあります。東京湾の平均海面は、原点の建物の中に格納されている、水晶板の0の目盛りが指す下方24.39mにあります。

 この日本水準原点を出発点として、物差しと測量器械(レベル)を使って高さを0.1mm単位で測量する水準測量によって設置されたのが水準点です。水準点は、全国の主要な道路に沿って、約2万点設置されています。水準点は、道路や河川の維持管理、地番沈下量の測定などの高さの測量の基準として使われてますので、大切にしてください。


こども向けに「小学校5・6年のページ」があり、その中にも標高と海抜と水準点という説明がありました。


ふーん、なるほどとわかりやすい説明を読んでわかったような気になったら、もっとわからないことが出てきました。
どうやって、東京湾の平均海面を出すのだろう。
なぜ、国会議事堂付近の地盤がしっかりしているとわかったのだろう。
国会議事堂付近を散歩すると、ものすごい坂道があったり高低差が激しいのですが、なぜ「24.4m」ではなく「24.39m」の場所が水準点なのだろう。
地面というのは全く平坦ではなくて砂や石がある中で、「0.1mm単位で測量」するというのはどうやっているのだろう。


社会の基礎というのは、かくも詳細な観測によって成り立っているということだけはわかりました。




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