水のあれこれ 88 <「水道の水はつくられる」>

三浦半島をまわった時に、有名な三浦野菜の畑が広がる風景に農業用水はどうしているのだろうと気になりました。
三浦半島の説明では「水田は少なく、ダイコン、キャベツ、スイカその他各種野菜の栽培が盛ん」と書かれていますから、わずかでも水田もあるようです。


台地や高台の地形では水を得ることが大変なことは、武蔵野台地の歴史で知りました。
玉川上水を開削し、その水を福生のあたりから武蔵野台地へと引き上げることによって武蔵野台地は作物を安定して作れるようになりました。


三浦半島を路線バスで行くと、高台からまた急な下り坂で沿岸部を走る場所があります。
相模湾に面した場所は入り組んでいて、江奈湾、毘沙門湾、宮川湾と小さな湾に沿ってバスが行きます。
わずかの平地に家が密集して、すぐそばは海食台の断崖のような地形です。
ここに川や湧水からの水が集まったとしても、玉川上水のように台地へ水を上げることはできそうにもありません。


海抜20〜30mぐらいの高台には、道路沿いに家がたくさん建っていて、たくさんの人が生活をしていることがわかります。
昔なら、井戸水と雨水でなんとか暮らせたのかもしれませんが、これだけの生活用水はどこからくるのでしょうか。


<「みうらの水道」>


三浦市のホームページに、「水道水はどこから来るの?」というまさに私の疑問に答えるかのような説明がありました。(直接リンクできないので「みうらの水道」で検索してみてください)


現在、三浦市の水道水は、横須賀市上下水道局や神奈川県内広域水道企業団(神奈川県、横浜市川崎市横須賀市の水道局が共同で作った団体)の協力を得て神奈川県の北西にある「宮ヶ瀬ダム」を主として水源を求めています。


「水道の水はつくられる」に具体的な説明がありました。

水は「タダ」「安いもの」という思いを持たれる方々がいられると思いますが、井戸水源施設に数千万円、ダム水源には、数十年の歳月と数千億円、安心して飲める水にするため、水をきれいにする工場(浄水場)に数百億円の建設費用がかかっています。

相模川から三浦市まで水を送る施設(送水管:45km)
市内に一時、水をためておく施設(配水池:現在5池)
各家庭に水を配るための施設(配水管:現在約214km)
これらの建設や維持をするために多くの費用がかかっています。


45kmかけて他の地域から送水していることも驚きですが、あの複雑な地形に214kmもの配水管が張り巡らされて清潔で豊富で、低廉な水道水が供給されているのですね。
私が生まれた1960年代初頭では、三浦市の水源は自己水源(井戸水)がほとんどだったようです。


半世紀ほどの水道の普及と、この地域の風景の変化はどんな感じなのだろう。
農業用水はどうなっているのだろう。
当時の生活を垣間見れるような記録は残っているのでしょうか。もう一度、行ってみたくなりました。




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