シーズン到来

意外ですが、競泳のシーズンはこの真冬の2月に始まります。
今日から日本選手権(25m)水泳競技会が開催されます。
http://www.swim.or.jp/sub2_games/11/swim_15.html


競泳の大きな大会というのは、通常長水路といって50mのプールで行われるのに対して、シーズン開幕のこの大会は25mの短水路での競技です。
短水路では、長水路に比べると同じ距離を泳ぐのにもターンの回数が増えます。ターンがうまくいけばよりスピードが出るので、長水路に比べて速い記録を出せる競技です。
長水路短水路では泳ぐペース配分も違うし、ターンが得手か不得手かということも大きいので、長水路では常に入賞するような選手でも、短水路は苦手という選手もいます。
長水路に比べると注目度は低い大会かもしれないですが、応援してきた選手の成長やこれから新たに活躍しそうな選手を見つけ出せる大会でもあります。


身長や体格のハンディもあってアジアの国から金メダリストを出すことが難しかった自由形(クロール)で、韓国のパク・テファン選手が北京オリンピックで400mで優勝し注目を集めました。
あのパク・テファン選手がまだまだ無名の頃、この短水路選手権に出場したことがあります。無駄のないきれいな泳ぎをみて、ふとすごい選手になるかもしれないと思った記憶があります。
(今年は日本選手権なので国内選手の出場だけですが、年によってはJapan Openで外国選手も参加できるようです。)



はっきりと覚えていないのですが、競泳の日本選手権を観にいくようになってかれこれ10年ぐらいになります。
世界水泳が福岡で開催された時にオーストラリアのイアン・ソープ選手の泳ぎをテレビで観て、競泳に魅せられるようになりました。
最近の競泳大会は会場もいっぱいになることが多いですが、あの頃はまだマイナーな競技だったのか空席も多く最前列のチケットも簡単に手に入りました。
トップスイマーの美しい泳ぎを観られる至福の時間です。
2月の短水路選手権、4月の長水路選手権、それ以外の国際大会と通い続けました。


昨年は短水路選手権は観に行けましたが、4月の長水路選手権はずっと観戦し続けてきて初めて会場に足を運ぶことのできない年になりました。
震災の影響で会場の辰巳国際水泳場も点検が必要となり、浜松での開催に変更になりました。
大会を目標に頑張ってきたのに直前になって十分な練習ができなかったり、震災で参加できなくて涙をのんだ選手もいたことでしょう。
予選、準決勝、決勝とそのわずか3本を泳ぐために、1年間の過酷な練習をしてきているのです。
最短の50m競技はわずか二十数秒でおわります。


震災後、ほとんどの公共のプールが節電のため5月頃までは休止していました。
再開して泳げるようになっても、喜びの反面なにかぜいたくをしているようなうしろめたい気持ちが今もあります。
本当に大変な年でした。


今日と明日、今年も短水路の選手権が開催されます。
寒さ厳しい季節ですが、春の近づいたことを感じさせる明るい陽射しの中、かたいつぼみをつけた桜並木を辰巳のプールに向かって歩く時のあの幸せな気分。
辰巳に通うことのできる平穏な日々に心から感謝です。