滑らかな泳ぎ

競泳日本選手権が終わって一週間以上も過ぎているのですが、録画を見ながらまだ余韻にひたっています。


毎年、競泳の選手権はNHKが放送するので、会場で直接観戦したあとに録画を観ています。


NHKの競泳の放送がとても観やすいことは、こちらの記事に書きました。あくまでも、スポーツ観戦に関する個人的な好みの問題ですが。


もうひとつ、会場で直接観戦しているだけではわかりにくい水中映像と、プール真上からの映像、そして技術的な面での解説者の説明がとてもわかりやすく編集されている点がよいと思います。


会場で直接観戦している時の自分の視線は、応援している選手が参加している種目ではその選手を中心に追いますし、それ以外のレースではやはり速い選手に目が行ってしまうことが多かったです。


会場には大型スクリーンが2台設置されていて、8レーン全体の泳ぎやトップの争い、世界記録や日本記録を超えているペースではラインが示されたりします。
直接、選手の泳ぎを目で追いながらそのスクリーンにも視線を向けていると、最初の頃は「何かを見逃してしまっていたのではないか」という不満足感が強く残りました。


帰宅してからNHKの録画を観て解説者の話を聞くことで、観戦のポイントが少しずつわかってきたような気がします。


最近では、ただ先頭を速く泳ぐ選手だけに気を取られることなく、選手それぞれの泳ぎ方やペースを観て、なんとなくですが、各選手のレース展開や記録、順位を予測しながら観ることができるようになりました。



それはNHKの放送の技術的なレベルの高さとともに、10年以上競泳を続ける達人級の選手が増えて、レベルの高い泳ぎを観続けることができたことも理由のひとつではないかと思います。


今回の大会で、印象深いレースがいくつかありました。
私にとっては記録や順位よりも、泳ぎそのものが無駄がないか、水と一体になっているかという点がポイントなのですが、なんといっても北島康介選手の泳ぎに惹きこまれました。


大会最終日の200m平泳ぎでは決勝には進めずB決勝の2位という結果でしたが、そのB決勝での泳ぎは、北島選手ならでの大きな伸びのある美しい平泳ぎだったと思います。
最初からぐんぐんと伸びて先頭を行き、大きなストロークで泳ぎ続け、そして最後は富田選手に抜かされてしまいましたが、失速したわけでもない疲れの見えない泳ぎに見えました。
あの金メダルと世界記録をとった時の泳ぎそのままでした。


背泳ぎの酒井志穂選手も、決勝、B決勝で泳ぎを観ることができました。
記録や順位は思うようにならない中で悩んでいらっしゃるのではないかと思いますが、酒井選手は美しいフォームが武器ではないかと思えるのです。
それは体幹がしっかりしていて、水への抵抗の少ない泳ぎに見えます。
あと少し何かがかみ合えば、2009年の短水路で世界記録を出した頃を越えられるように見えるのですが。


美しい泳ぎといえば、バタフライ200mの星奈津美選手の泳ぎもいつも惹きこまれてしまいます。
そして淡々とレースの振り返りと目標を語り、気負ったところのない姿が、お気に入りの選手の一人です。



しばらくは、録画を繰り返し観る日々が続きそうです。