競泳ワールドカップ2017東京大会

11月14日、15日に辰巳国際プールで競泳ワールドカップ東京大会が行われました。
2011年から東京で開催されていますが、2011年はチケットは取ったのに急用で会場に行けず涙を飲みました。
この秋の時期に、応援している選手の方々や海外選手の泳ぎを観ることができることを楽しみにして、2012年からは毎年観戦して今年は6回目になりました。


オリンピックや世界水泳に比べるとマスメディアにはマイナーな大会のためか、このワールドカップについての情報があまりないので、最初の頃は観戦の方法も手探り状態でした。
どうしても勝負や記録に目がいきやすく、結果に一喜一憂してしまっていました。


特に25mの短水路はターンの数が多いので、あっという間に壁にタッチしてターンの繰り返しになります。
最初の頃は、まばたきを惜しんで凝視しても、選手がどのように泳いでいるのかほとんど見えていませんでした。
最近は、その点、まるでスローモーションビデオを観ているかのように、ふと泳ぎ方のポイントが見える時もあります。
その選手の技術的なうまさのようなものがわかる瞬間は、観客として私自身が成長しているようで観戦の充実感もアップします。


今年は、「水泳でも賞金を稼げる大会。松田𠀋志が語る『競泳W杯はここが面白い』」(web Sportiva)を前日に読むことができたので、このワールドカップの位置づけがよく理解できました。


その中に、「賞金レースである」ことが書かれています。
このことは今までも知っていましたが、具体的な賞金額や方法は知りませんでした。
オリンピックや世界水泳で活躍した選手が、つぎの2年後4年後にも泳ぎ続けるためにはスポンサー探しやモチベーションを維持するための環境など本当に大変なことだろうと、松田𠀋志氏を応援していた頃からやきもきとしていました。


そんな自身の経験からも、松田𠀋志氏が「賞金レースである」ことの意味をこう書かれていました。

 私も何度もこのW杯シリーズに参加した。好きな大会だった。いわゆる冬場の泳ぎ込みのシーズンは選手にとってもつらい時期だ。さらに目標となる大会までも時間があるため、トレーニングのモチベーションを保つのが難しい時期でもある。


 そんな時期に行われるW杯シリーズはいい目標になる。世界のさまざまな都市でレースができる喜びと刺激。海外の選手とも一緒に転戦しレースを重ねる中で、自然と仲よくなり、いい友人関係とライバル関係ができてくる。これはいざ世界選手権やオリンピックの決勝で勝負する時に意外と重要だ。そこに顔なじみの選手がいるだけで、その舞台に自分も溶け込むことができ、緊張がほぐれるのだ。さらには頑張れば賞金ももらえる。


 スピード感は長水路よりあるから、泳いでいても気持ちいい。短期間で転戦、そして1大会の中でも何度もレースをするので、体力的にはしんどいが、それ自体がいい高強度トレーニングにもなる。

 これらのことから、競泳のW杯はその大会自体で活躍することが目標というよりは、その先にあるメインの大会に向けて、強化の一環でもあり、短水路でスピード感を身体に覚えさせながら技術を磨き、さらには賞金も狙っていける。選手にとって魅力的な大会だ。世界選手権やオリンピックよりもスピード感のあるレースとなるため、観る方も楽しめる大会だと思う。

観戦を重ねるごとに、この意味がわかるようになっていました。
そしてこの記事の最後に書かれている、競泳の「ナショナルチームとしての活動を年間通してできるようにしたい」という方向性が大事だと思います。
それまでどんなに練習を積んできても、また日頃は世界大会で闘える能力がある選手でも、予選、準決勝、決勝のどこかでわずか百分の1秒の差で、代表入りを逃したりメダルを逃したらその選手は注目されなくなる、というあまりにも過酷すぎるのが競泳でした。
これでは、長く競泳を続けたいと思う人も少なくなってしまうことでしょう。


また、観る側にとってもこうした国際大会を間近に観ることで海外選手が身近な存在になり、世界には今どういう選手がいるのか、どんな泳ぎ方をするのか理解が深まるのではないかと思います。


結果的に、そういう観客側のものの見方もまた「息の長い選手」を育てるための応援になるといいなと、2日間辰巳に通いました。




2012年からのワールドカップ観戦の記事のまとめ。

競泳ワールドカップ東京2012
FINA競泳ワールドカップ2013
FINAワールドカップ東京大会がなくなってしまうのが残念
事実とは何か 2 <言葉で表現するのが難しい>
水のあれこれ 50 <鉄が泳ぐ>