10年近く定期購読している「通販生活」の表紙や内容に残念な思いが積み重なってきたので、今期限りで購読をやめようかと考えています。
カタログハウスのお店が近かったこともあって、いくつか購入した商品がけっこう優れものだったことが購読のきっかけでした。
また商品に関する良い点と不評だった点までが雑誌に掲載されていること、そしてリサイクルまで行っていることに、先駆的なイメージがありました。
あと、好きだった落合恵子さんがインタビュー記事を書いていることも楽しみにしていました。
落合恵子さんがラジオ・パーソナリティとして「レモンちゃん」の愛称で人気があった時代より私は少し後に、小説家としての彼女のファンになりました。
女性がまだまだ男性より一歩下がって歩くのが当たり前だった1980年代の日本で、彼女は恋愛小説の中でさりげなく男性と対等に生きる女性の姿を描いていました。
「女がお茶を入れ、食器を洗うのは当たり前」
日常の中で当たり前とされていたことに対して、疑問を持つことに勇気をくれました。
血縁重視の家族ではなく、一人一人の信頼で成り立つ小さな家族を描いた小説は、家族に息苦しさを感じていた私の心を少し変えてくれました。
落合恵子さんが書かれている女性は、「凛とした」という雰囲気が伝わってきて、私にはとても大人の女性に見えたのでした。
<「ニセ科学」に出会ってから>
カタログハウスで購入した商品で一番のお気に入りはハンドクリームです。
仕事柄、ひっきりなしに手洗いと消毒薬にさらされますので、良質のハンドクリームを探していました。
一度塗ると、数時間ぐらいは何度手洗いしても皮膚が荒れなくなり、かれこれ10年近く愛用しています。
それ以外にも、いくつかカタログハウスでしか購入できない優れものがあります。
さて、2009年頃に助産師の一部にホメオパシーが広がっていることに不安をもったことからkikulogに出会ったことは、こちらの記事に書きました。
kikulogを読むようになってから、カタログハウスの商品についても少し疑問を感じることがありました。
kikulogの「論理:マイナスイオン」の最初のほうにあるきくちさんのコメントに次のようなことが書かれています。
・・・いやいや、いまだに通販カタログには「オゾンが出る」ことを売りにしている商品があります。
ありゃー。まさにその「オゾンで消臭」をうたったものを以前、購入したのでした。
でも、だんだんと医療現場でもオゾンの殺菌灯を使わなくなってきていた時期でしたので、購入したもののなんとなくお蔵入りになっていたのです。
いつの間にか、「通販生活」からその商品は紹介されなくなりました。
「オゾン」(=何かに効果がありそう)で思考停止していた自分に気づき、それからは少し疑いながら「通販生活」を読み始めました。
優れものや信頼できる商品もたくさんけれど、有名人の「個人的体験談」と「○○に効果がある」という宣伝が多いことが気になり始めたのでした。
どうやってその効果を検証したのだろう・・・と。
<福島第一原子力発電所事故以降>
以前から、「通販生活」にはチェルノブイリの原発事故後の医療支援を応援する記事が掲載されていましたし、それ以外にも政治的な記事はけっこうありました。
政治的な姿勢を表明すること自体はかまわないと思います。
自分と考え方が違えばその部分はさらっと読み流せばよいし、私自身は商品の選択には影響したわけではありませんでした。
また、実際にチェルノブイリの状況を伝え続けてくださったことは、とても貴重だったと思います。
でも2011年以降の「通販生活」は、まさに「善意と正義感」の雑誌になっていくようでした。
2013年秋冬号の表紙は「どう考えても原発ゼロでしかないよ。」というものです。
そこまでは許容範囲でしたが、「福島のお母さんたちはいま、どんな気持ちで暮らしているのか。」(p.128〜)では以下のようなことが書かれています。
子どもの貧血、鼻血は放射能のせい?と気をもむ毎日
子どものガラスバッジはお守りなんかじゃない。
・・・
これでは研究のために外部被ばく量のデーターを集積しているだけで、私たちはまるでモルモットみたいと感じてしまいます。
あるいは「福島の子どもたちの甲状腺検査 緊急特集」では「『甲状腺がん』と認定された子が18人、『疑いのある』子が25人」「これは原発爆発時に放出された放射能『ヨウ素131』と関係があるのだろうか、ないのだろうか」というキャプションが出ています。
原発を推進する専門家は、政治的な影響力を行使して「安全だ」と言います。
「健康への影響よりも不安を持たせることが一番よくない」という信仰が専門家たちにはあります。
「通販生活」を購読しないことが、私自身の精神衛生上よさそうだと思うようになりました。
こういう人たちの「気持ち」を変えることは難しいことは、ニセ科学の議論でも原発事故後の不安の大きなうねりの中でも何度も感じたものですから。
あ、ハンドクリームはこの冬もまた購入しますよ。