人工乳首の話の続きのはずが、いきなり全然違う話ですみません。
しばらく授乳関連の話題から離れるかもしれません。
先日、電車の中で降車駅がわからなくて困っている様子の外国の方を見かけました。まだ1歳にもなっていない小さな愛らしい女の子をベビーカーに乗せていました。
話かけてみると「アフリカから来て日本に住んで1年」とのことでした。
1986年、東南アジアのインドシナ難民キャンプで働いたあと、アフリカのある国でも2ヶ月ほど働きました。
当時の記憶がいろいろ蘇って、目の前の初めて出会った彼女とその国への関心が抑えられなくなり、電車を降りるまで十数分ほどでしたがおしゃべりをさせてもらったのでした。
彼女はカメルーン出身でした。
地図ではアフリカ大陸の西側の「あのあたり」ぐらいしか思い浮かばなかったのですが、何かの番組でカメルーンのサッカーチームのキャンプ地となった大分県の中津江村のことを見た記憶がありました。
「サッカーのナショナルチームと交流のある村が九州にあるのを見たことがある」と話すと、「以前は強かったけれど、今はちょっと・・・」とのことでした。
その番組のカメルーンの紹介シーンでは、東南アジアの国々に似て緑が多く、市場や街の雰囲気も、私が過ごした東南アジアの国に似た印象がありました。
私がアフリカで働いた国はどちらかというと緑がほとんどない国でしたので、アフリカへ赴任した当時の私は緑と水に恵まれた東南アジアの国を思い出してホームシックのようになっていました。
ですからなんだかカメルーンに親近感を覚えて、「テレビで見たときは、暮らしやすそうと思いました」と伝えると、彼女から返ってきた言葉は「でも貧しいから」という一言でした。
あ、この「私の国は貧しいから」を東南アジアで暮らした時に何度聞いたことでしょう。
それは違う。
単に経済的には豊かか貧しいかという尺度にすぎないのに。
そういう意味を込めて、「『経済的には』貧しいといういうことはあるかもしれないけれど、暮らしとか生き方とか文化という意味では貧しいということではないと思う」と言ってみたのですが、彼女にうまく伝わったのでしょうか。
電車を降りてからとても気になりました。
私の言った言葉が、「日本は経済的に豊かな国だから」と強調して印象に残ってしまったかもしれない、と。
途中で彼女が「フランス語は話せますか?」と聞いてきました。
公用語は英語とフランス語の両方のようで、彼女はどちらかというとフランス語の方が得意のようでした。
それぞれが母国語ではない言葉で、どこまで真意が伝わったでしょう。
あーーー、あなたの国が「経済的に」貧しいことと、たまたま私が日本に生まれて経済的豊かさを享受していることに、何かもっと別の言葉にならない想いがあるのです。
うまく伝えられない部分だったので、「こうしてカメルーンの方に直接お話できて、その国のことをもっと知ってみたいと思う機会があったことがとてもうれしいです」「家に帰ったら、さっそくあなたの国について調べてみますね」と伝えて別れたのでした。
言葉ではうまく伝えられなくても、その人の体全体から表現されるもので十分に共感できていることは伝わることが、それまでの海外の生活でもあるいは日本人同士でもあるので、「あなたに出会えて楽しかった」という想いがどうぞ伝わりますように・・・と。
で、帰宅してからお手軽ですが、wikipediaをさっそく読んでみました。
というわけで、バーチャルなカメルーンへの小旅行をしたいと思います。
しばらく私の妄想&回想の記事が続くかもしれません。
「世界はひろいな」まとめはこちら。