世界はひろいな 10 <ヒト以外の排泄のあれこれ>

*排泄に関する話題が苦手な方はご注意ください



1980年代終り頃に私が助産婦学生で新生児室に実習に行った時、付属の医学部の方が新生児の胎便の研究をしていたらしく、赤ちゃんのうんちを回収していました。


その時にはあまり胎便にも、うんちの変化にも関心がありませんでしたが、なにかそのことが頭の隅に残っていたようです。


当時はまだ新生児の腸内細菌叢に変化についてかかれたものも記憶になく、新生児のうんちは関心ももたれていなかったと思います。


もし、もう少しヒトの新生児のうんちの変化について研究が進んでいたら、今頃かなり分厚い1冊の本にまとめられていたのではないかと思いますが、未だにみたことがありません。


そして、新生児のうんちの変化と新生児の泣き方や吸い付き方などの行動の変化が観察されていれば、そこになんらかの法則性があったことがわかったのではないかと思います。


そうすれば、「育児は母乳から始る」かのように授乳のテクニックを教えることばかりに重点をおいて、お母さん達を追い込まなくても済んでいたのではないかと悔やまれます。
まぁ、歴史にもしはないのですけれど。


<ヒト以外の動物の赤ちゃんの排泄>


毎日、新生児のうんちの変化を見ながら、気になっているのが他の動物の排泄は出生直後からどんな変化があるのだろうということです。
きっと獣医学部や動物園の飼育をされている方々なら、さまざまな知識や体験があることでしょう。


出生直後のさまざまな動物の排泄の変化についてまとめたものはないのか、書店や図書館にいくたびに探しているのですが見つかりません。
どなたかご存知でしたら、是非教えてください。


さまざまな動物の胎便はどんな色や性状をしているのだろう。
刻々とその胎便が変化していく様子はどのようなのだろう。
排泄は母親や介助者の手(口)が必要なのか、それとも出生直後からすぐに自分でできるのか。
腸蠕動が活発なことが、激しい鳴き声になったり眠らないなど行動の変化を起こすこともあるのか。


ヒトの新生児に比べての変化を是非知りたいと思うのです。


<みつけたちょっとトリビア


前回の記事を書くために動物の赤ちゃんの排泄について検索していたら、「へぇーーー」という記事をいろいろと見つけました。
私の忘備録ぐらいの意味です。


まずは「牛飼い哲学と基礎技術 No.82」の「胎児と子牛の便を学ぼう」という記事です。


牛に関しても「胎便のデーターは殆ど目にする機会がない」そうですが、牛の場合も生後1〜2日目を胎便ととらえているようです。


「胎児は食物を一切口にしないため、胎便には糞便特有の食物の残滓が存在しないはずである」はヒトも同じですが、おもしろいのは「そのため糞便は黄金色であるという感覚があり、全く異様な黒光りの軟固形物が排泄されると戸惑いを覚えるようだ」という部分です。
ヒトの場合、「胎便というのりの佃煮のようなうんちが出る」ことはどこからのもなく知識として知っていて「想像通り」という反応が多い印象なので、ちょっと意外でした。


次の牛の排泄のトリビア「坐っていた牛が立つと、なぜすぐ糞をするのですか?」です。


牛は「横臥姿勢で排泄が抑制される」「起立という体の動きで大腸の蠕動運動が活発になる」そうです。
立ち上がろうとしている牛には近づかない方がよさそうですね。


もうひとつ、子馬の初回排泄です。
「馬医者修行日記」というブログの中に、「胎便停滞 予防的浣腸」という記事がありました。

新生子馬には、ほとんどの生産牧場で胎便停滞の予防のために浣腸をしていると思う。

へぇー、ですね。

ほとんどの子馬は分娩後4時間以内に胎便を排泄し、24時間から48時間までに乳を飲んでできた便を排泄する。
胎便停滞は雌子馬より雄子馬に起こり易い。

その前後の記事を読むと子馬の予防的な浣腸には議論があるようですが、ヒトの赤ちゃんもおおよそ24時間を目安に胎便が排泄されないと消化管の閉塞や肛門周囲の神経叢の異常を考える必要があります。


それにしても、出生直後に胎便を出させるために浣腸をされている動物がいるなんて想像もしていませんでした。馬だけなのでしょうか?

いやぁ、世界は広いですね。


このような胎便排泄や移行便への変化など、ヒトの新生児と他の動物の仔胎を比較した研究があるとおもしろいと思いますね。
あ、私ぐらいですか、そんなことに関心があるのは。




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