新生児の表情 2 <何が変るのか>

前回の記事で「生後2日ぐらいまでの新生児」と書いたのには、訳があります。


生後2日を境に、表情がぐっと変るのです。
一言で表現してみると、「もう卒業しました」という感じです。


何から「卒業」したのかというと、「新生児にとって哺乳行動とは何か5 <移行便〜母乳便>」http://d.hatena.ne.jp/fish-b/20120307と「同6 <腸内細菌叢>」http://d.hatena.ne.jp/fish-b/20120310で書きましたが、出生直後から始まったうんちとのたたかいです。


・・・ここまで書いたところで、前回の記事にtmさんからコメントをいただきました。tmさんも産科クリニックで働いて新生児を日々観ていらっしゃる方ですが、やはり「生後2日」と感じていらっしゃるようなので、ちょっとうれしくなりました。ありがとうございます。


<外見上の変化>


tmさんのコメントにあるように出生直後から頭の形も変化していますし、平均数%ぐらい体重が減るのでそれだけでも顔がすっきりした感じになります。


また、程度の差はありますが生理的黄疸も出るので皮膚が赤黄色に変化しています。


そんな中でも私が一番注目しているのは、眉毛の濃さです。
出生直後からある程度はっきりと眉毛がわかる新生児もいますが、どちらかというとほとんどわからない場合が多いです。


その眉毛が、時間を経るにつれて濃くなっていきます。
最初は、眉間に近い部分です。
少しずつ、少しずつ、外に向かって刻々と濃くなっていき、だいたい生後2日にはラインを引いたようにはっきりとしていくのです。


私にはうんちを出すたびに眉毛が濃くなっているように感じるのですが、これはそれこそ眉唾の話。


よく漫画で生まれたばかりぐらいの赤ちゃんの顔を描くときに、眉毛のあたりをほんわかとぼかしたように表現していますが(なんとか麻呂のような感じ)、あれはよく観ているなと思います。


出生直後から赤ちゃんの薄い眉の周辺はほんわかと赤くなることが多いです。
どんどんと眉毛をつくるために血液循環がよくなっているのかもしれません。


眉毛が濃くなるのに反比例するかのように薄くなっていく部分もあります。
それは額の産毛と、鼻の上のコメドという皮脂腺の白いつぶつぶの部分です。


出生直後の新生児の顔や背中をみて、「わー毛深い!猿みたい」と多くの方が驚かれます。
それと、「この鼻の白いのは何ですか?消えますか?」とかなりの割合で気づかれる方が多いのが、このコメドです。


その二つも、生後2日ぐらいでだいぶ薄くなっていきます。
眉毛もはっきりして、うんちの闘いも終わって、ふと表情が変る生後2日目ぐらいには、もう出生直後の顔を思い出すのが難しいぐらい変化をします。
「1ヶ月目ぐらいの少年少女の顔になった」感じです。


「うんちの闘いも終わったし、これからは飲むからね!」という感じで、その日の夕方ぐらいから急に飲み方がぐんぐんと力強くなります。
またそれまで浅い眠りが続いていた新生児も、深い眠りが増えていきます。


新生児にしたら、あのネバーっとした胎便を出し腸内細菌がどんどん増殖して母乳便(乳汁便)に変るまで、本当に危険な時期を乗り越えたという達成感があるのだと思います。


この母乳便(乳汁便)が出た後の得意の表情に、すごいな、いとおしいなという気持ちがわーっと湧き上がってきます。
・・・あ、でもこれは単に私がジジババの涙もろい世代になったということでしょうか。


ということで、今回は外見上の変化を書いてみました。
次回は表現力について書いてみようと思います。


*<水の中>のタグがついている話は根拠に乏しい話なので、くれぐれも信じないようにご注意くださいね。


<おまけ>


新生児の産毛の濃さ、コメド、そして爪が指先から越えてはえている3つを「成熟徴候」と、学生時代に習いました。今もそうなのでしょうか。


エコーである程度正確に出産予定日を出せるようになったのはまだ20年ちょっとです。
それ以前は最終月経からの計算なので、かなり不正確でした。
ですから生まれた赤ちゃんをみてだいたい36〜37週以降の赤ちゃんであるかどうかを判断するために、この3つのポイントが重要でした。


でもお母さんたちも、だいたいこの3つを発見して質問してくるのが不思議ですね。
お母さんたちがよく観察している証拠でもあり、また新生児にしたら観察してもらうためのポイントとして備えられているものなのかもしれません。