小金がまわる 4 <空き家と居住費>

今年に入って、「入院食事代、200円上げ」(時事ドットコム、1月11日)というニュースがありました。
その政府の決定の前に「入院時の食費『自己負担を増やすべきではない』」(CBNews、1月7日)という全国自治体病院協議会会長の記者会見ニュースがありました。


入院食の歴史のようなものと一部定額自己負担が始まった頃までの話は「病院で食べる食事」に書きました。
今回の値上げは入院食の食材費の自己負担1食260円が460円になるというもので、1日1380円の負担になるというものです。
1日1380円もあれば、高齢者夫婦二人分の食費よりも高くつくかもしれません。


ただ自宅で調理するのとはちがい、「人に作ってもらう」「配膳や片付けをしてもらう」という労働に対する対価を支払う必要はあります。


ちょうど父が脳梗塞で昨年末に入院した時の領収書が手元にあります。
ちょうど7日間の入院で、支払い総額約3万8000円のうち「食事療養費」「食事負担金」を合わせると約1万6000円でした。


医療従事者としては医療費が安過ぎるのだという思いと、家族としては医療費も食費も高いという気持ちのはざまという感じです。


それでも父は発症直後も3食完食していましたので、1週間の食費が1万6千円でも元気になったからしょうがないと思うのですが、同室の患者さんの中には、いつも配膳されても一口も手をつけずに下膳されていた方がいました。


<介護の中の居住費>


入院中の食費の自己負担額が1食460円、1ヶ月では約4万1千円になると、介護での食費の自己負担と同額になります。


厚生労働省「『居住費』や『食費』は介護保険の給付の対象外となり、利用者にご負担いただくようになります」にあるように、2005(平成17)年10月から特別養護老人ホーム介護療養型医療施設ショートステイ・デイサービスなどで居住費・滞在費、食費の自己負担が始まりました。


医療や福祉にかけられる財源は無限にあるわけではないので、快適性をもとめれば自己負担額が生じたり増加することもしかたがないとは思っています。


ただ介護の場合居住費と食費というのは、それまでの家族の家計から一人分だけを切り離せば良いという単純計算をできないところに難しさがあるのではないかと思います。


たとえば父が脳梗塞で入院し、現在は介護療養型病院に入院していますが、いつでも今までいたグループホームに戻れるようにそちらへも支払いをしています。
こうした有料老人ホームやグループホームあるいはサービス付き介護住宅の入居費の大半が「居住費」のようです。


「老人ホーム・介護施設の費用・料金について」を見ると、有料老人ホーム・サービス付き介護住宅などは月に平均15〜17万円かかりますが、施設によっては居住費として8〜10万円ぐらいに設定されていたりします。
(あまり細かい点は不勉強なので、不確かなところがありますが)


私の両親の場合それぞれの施設の居住費を合わせると月に十数万円かかっているわけですが、父のように入居中に体調が悪くなって介護療養型病院に入院すると月に9600円ぐらいを居住費として重複して支払うことになります。


そして空き家にしている自宅は持家なので家賃はかかりませんが、家に対する固定資産税と維持費で年間10万円以上かかっています。


家賃を払わなくてよい自宅を確保して安泰ではなく、高齢になればなるほど居住費が必要になることも頭に入れて備えておかなければと、両親をみてつくづく思います。





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