昨年4月に「原則屋内禁煙」の都の条例が出たあと、近所の踏切の遮断機が降りているときに副流煙をすわされていた自動販売機の前の灰皿もいつも間にかなくなり、ほっとしました。
ところが、先日、その自動販売機にステッカーが貼ってあることに気づきました。
「年間二十数億円のタバコ税が皆様の暮らしに役立っている」という主旨です。
23区ですが、その某区では二十数億円のタバコ税が入ってくるから「みなさん、暮らしに役立っていると思って吸ってくださいね(世の中の禁煙ムードに罪悪感を覚えなくていいですよ)」という意味でしょうか。
こういうのを矛盾というのでしょうね。
私が経済に疎いのは、百万円単位ぐらいまではお金の価値を体感できるのですが、それ以上になるとその金額が何を指しているのか世界が違いすぎてわからなくなることも理由のひとつです。
区税の二十数億円って、どんな割合なのだろう。それがなくなると、暮らしにかなり影響があるのだろうか、というあたりがすぐにパッと思いつきません。
*「たばこが原因の損失は医療費だけ?」*
いちおう医療関係なので、喫煙というと健康被害にかかる医療費がすぐに思い浮かぶのですが、具体的にどうなのだろうと検索してみました。
日本医師会の「禁煙は愛」というサイトがあって、「日本のたばこの害による損失は、病気から介護、火災まで」にこう書かれていました
2018年8月に厚生労働省から、たばこの害は社会全体の大損失になるという驚きの研究結果が出されました。2015年度の医療費や介護、火災などたばこによる損失を合わせると、その額は推計で2兆500億円!
主な内訳は、たばこが原因と考えられる病気(がん、脳卒中、心筋梗塞、認知症)にかかる医療費が1兆6,900万円、これらの病気で必要になった介護費2,600万円、たばこによる火災などの関連費が1,000億円でした。
「兆」になるともう頭がついていかないのですが、比較的人口が多い一つの区の二十数億円の税収なんてかすんでしまう損失額のようです。
そういえば、年末から放送されていた「孤独のグルメ」の第1回目の放送の中で、五郎さんが店先でたばこを吸っているシーンがありました。
2012年ですから、この8年間でこうしたドラマでの喫煙シーンもなくなり、社会の中での喫煙に対する考え方や行動が驚異的に変化する時代でしたね。
2000年代初めまで、ナースステーションでも当たり前に黙々と紫煙が漂っていたのですからね。
そうした時代の変化に、そしてこの新型コロナと喫煙の影響がいわれている時期に、あえてこういうステッカーを貼る意図はなんだろう。
これはちょっと筋が悪いなと思いながら、毎日そこを通っています。
たばこが関連する区の損失はどれくらいなのだろう。
私も勉強不足でした。
「小金がまわる」まとめはこちら。
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