助産師の世界と妄想 20 <胎内記憶とかバーストラウマとかからもっと危ない世界へ>

昨日の記事から「胎内記憶」を連想された方も多かったかもしれません。特に、このブログを最初の頃から読んでくださっている方々は。


1990年代にはまだ「胎内記憶」という言葉を私自身は聞いたことがありませんでした。
でも、「3歳ぐらいまでの子どもは、生まれた時のことを覚えているらしい。それ以上の年齢になると忘れてしまうみたい」という話は、けっこう助産師の中で耳にしました。
今のようにネットの時代ではなかったので、まだ情報の伝播はゆるやかでしたが。


確かに、「暗いところを通って来たら、そこはまぶしくて白衣を来た人がいた」とか答える子どももいて、「えーーーすごい」と感動したこともありました。


でも根が天の邪鬼ですから、なんだか怪しいなと感じていました。
というのも、自分の欲求さえ言葉でうまく表現できないほど、まだまだ複雑な概念のない年齢で、なぜお産のことだけ明瞭に言葉で表現できるのだろう、そんな素朴な疑問でした。


kikulogのコメント欄で、「そのくらいの年齢層というのは、周囲の会話から自分が期待されている答えや会話がわかるのではないか」といった内容を書き込まれた方がいらっしゃって、なんだかストンと胸のつかえがとれた感じでした。


ところが時代は反比例するかのように、胎内記憶やらバーストラウマといった言葉が妊娠・出産・育児の情報の中で広がっていきました。


「記憶の錯覚」という言葉を知っていたら、助産師もそれを広げる片棒を担がなくてすんだのに残念に思います。


助産師の新たなトレンド?ヒプノセラピー



さて、10年ぐらい前から助産所の業務の定点観測をしていますが、「助産所の業務内容」を見ると、ほんとうにまあよくここまで自由に好きなことを助産師の肩書きで取り入れることができるものかと驚きます。
そしてそれに対して、内部からほとんど批判の声がないことにも。


実際に、ホメオパシーや抱っこ療法など事故まで起きているのですけれど。


10年ぐらい前に、「これはいったい何か」と検索してもよくわからなかったのがヒプノセラピーでした。
当時は、まだ記憶にある限り、ある助産所しかそれを紹介していませんでした。


その後、うさぎ林檎さんからの情報で、かなり危ないものだという認識に変わりました。


たとえば、こちらのTweet

2012年01月25日(水)


こんなん素人がやったら絶対いかんよなー。 日本ヒプノ赤ちゃん協会「年齢退行療法アドバンスコース(5日間) in 横浜 講師:宮崎ますみ

2013年10月10日(木)


宮崎ますみはこれだ→「日本ヒプノ赤ちゃん協会」hypunoakachann.com 前世療法、年齢退行療法を素人相手にセミナー&資格商売してる。

さすがに、これに手を出す助産師は増えないだろうと思っていたのですが、最近、ヒプノセラピーを検索すると、それを扱っているという助産師が何人もいて驚きます。


ホメオパシーの時に、助産師という資格が広告塔にされバイブル商法に加担させられたことにも気づかず対応が後手後手になっている業界だから、また同じことを繰り返しているとしか思えませんね。




助産師の世界と妄想」のまとめはこちら