「産後ケアとは何か」まとめ

「産後ケア」という言葉を耳にしたのはいつ頃だったか記憶にないのですが、周産期看護では認められたかのようなこの言葉も、案外、歴史は短くて定義もされていない言葉だと私は認識しています。


未だに、助産師向けの本にも「産後ケア」の定義も書かれていないし、1冊の専門書もないくらいですから。


たしか私が最初にその言葉を耳にしたのは、「骨盤ケア」のような「産後の養生」「産後の体のメインテナンス」といったニュアンスの代替療法的なものだったような記憶です。


そのうちに、2004年以降の産む場所がない産科崩壊の時代に入って、入院期間の短縮から退院後に別の施設に留まる「産褥入院」が「産後ケア」として紹介されるようになりました。
「自然なお産」「助産所や自宅分娩」を謳った助産所も、分娩数を増やすことができなかったのでしょう。
開業助産師の次の生き残り策かのように、この産褥入院や産褥ケアという言葉も広がりました。



どこかの自治体か、産後のお母さんをホテルに招待して高級なフレンチを食べてもらい、助産師がマッサージをすることも「産後ケア」としてニュースで紹介されたのを見て、それはないよなと思った記憶があります。
現実のニーズとはかけ離れてこの言葉が広がった背景には、政府の『骨太の方針』があったのかもしれません。



「産後ケア」ってなんだろうと考えていくうちに、出産後のお母さんは休む必要があるという認識が社会に広がったのもたかだか半世紀にすぎないことも見えてきました。



時代とともに変化する産後のニーズは何だろう。
「産後ケア」というのはどのように定義できるのだろう。
そんなことをつらつらと書きました。

1. 産褥入院
2. 早期退院推進と産後ケア
3. 産後ケア施設に関する法律
4. 産後ケア施設に関する研究の紹介
5. 韓国の産後ケア施設
6. 新生児のケアと新生児黄疸
7. 里帰り分娩の受け入れ中止と実母の手伝いの変化
8. 「昔はよかった」のか、昔とはいつか
9. 日本のここ一世紀の産後の過ごし方
10. 産屋(うぶや)と小屋場ー昭和30年代から40年代の変化
11. 母子保健センターの変遷と資料
12. 「長野県における母子保健センターのあゆみ」より
13. 岩手県の1970年代の母子保健センターの記録より
14. 昭和40年代、無介助分娩が多かった地域
15. 昭和40年頃の母子保健の課題
16. 産後ケアとレスパイト事業の経緯
17. 産褥(さんじょく)入院ー入院延長への補助
18. 「産褥入院」ー宿泊型ケア施設の利用
19. 宿泊型ケア施設の需要と現状
20. こういう施設もあります
21. 「産後ケア」が意味するもののあれこれ
22. ぽむぽむさんの韓国産後院見学ツアー記事のご紹介
23. 関連記事のまとめ
24. 出産後の女性の継続的なケア
25. 産後ケアについての医療と代替療法の違い
26. 周産期マネージャーがいたらいいな
27. 激しく泣く赤ちゃんを育てるお母さんへのケア
28. イメージの中のケアの対象
29. 産後ケアに足りないもの「重荷としてのケア」
30. 「産後うつ予防、健診2回分助成」?
31. 産後うつ予防のための2回健診について思うこと
32. 助産師が『助言』『指導』?
33. 産後の受診のハードルの高さ
34. しょうこさんのコメントから考える
35. 産後ケアを推進する「産後ママを全力でエコヒイキ」
36. 「産前・産後ケア推進協会」とは


また唐突なタイトルですが「産後ケアと出稼ぎ」という記事も書きました。

1. 産後ケアと出稼ぎ
2. 途上国からの海外出稼ぎ
3. 母親の経済的要因、社会的要因
4. 赤ちゃんと母親が一緒にいられるということ


合わせて「ケアとは何か」まとめはこちら